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エンカウントはまだまだ続く? いいえ、もうお腹いっぱいです(4)

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 ロイスの馬車ではビターとミュリエルを隣同士で座らせ、私とロイス、お姉様がその向かい側に座る。
 
 ……なんでロイスの隣が私なのかしら。
 
 いえ、お姉様の隣に座らせたりして、レーゼンベルク様に知れでもしたらそれはそれで大変だし、間違ってもミュリエルの隣も駄目だし。
 えぇ、ロイスは見た目だけは格好いいですからね?
 ビタールートを進み始めているのにロイスルートにも入ってしまったら、破滅フラグに近づいてしまうから。
 そしてビターの隣というのも、なんだかミュリエルとよい感じの隣には座りづらいでしょうし、私の隣しか無いとは思うのだけれど。

 妙に近くて、落ち着かない。
 馬車が揺れるたび、肩や二の腕が触れる。
 ほんの少しだけれど。

 だから、ロイスのほうは極力見ないようにしていたら、

「クリスは転ばないの?」
「はい?」

 急に、何なのか。

「転びませんが」

 そうとしか答えようがない。
 私の答えに面白そうに口の端を上げるけれど、ロイスは本当に何を考えているのか。
 この人の考えは読めない。

「んー、そしたら、俺と週末に出かけない?」
「何をどうしたら、その結論にたどり着くのですか」

 ちょっと。
 さりげなく肩に手をまわしてこないでくださいね?
 みんな見ているんですが……あぁ、お姉様まで珍しくはっきり顔に出るぐらい驚いてる。
 いえ、違いますからね?
 私とロイスに変な関係はありませんから。

「週末暇でしょ」
「いいえ、まったく暇ではございませんし」
「ルシアンティーヌはレーゼンベルクと出かけるし、ミュリエルとビターも出かけるし?
 俺とクリスが出かければ完璧でしょ」
「何がどう完璧なのですか。皆が出かけるからと言って、わたくしとロイス様が出かける理由にはなりませんから……っ」

 お断りします、と言い切ろうとしたところで、馬車が止まった。
 いつの間にか、学園の寮に着いていたらしい。
 
「じゃ、週末楽しみにしているよ」
「わたくしは了解していません!」

 反論する私を無視して、ロイスはさっさと馬車を走らせ去っていく。
 週末なんて、絶対、お出かけしませんからね?
 
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