転生王子の異世界生活〜8回目の人生は幸福であれ〜

玲央

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2章 少年期

2章5話 第1王子の恐慌とサロン ※挿絵メイド(エルフ)

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フェリーチェ第3王子は自分の護衛を護る為、貴族達の罪を暴き告発し、悪意には決して屈せず、正義を貫き、制裁し、断罪した。

これにて、ロレンツィオ王子の派閥貴族が企てた“”偽告発で黒騎士団を断罪“”という珍劇が失敗に終わった。

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一方、その頃ロレンツィオ第1王子は、自分の宮で「城下で噂になってる“”幸せの味・新肉串“”が食べたい」と駄々を捏ねていた。

いつも利用してやってる平民の宝石商人を呼び出し、買ってこいと命令したが「用意出来ない」と言われた。

何故か?と聞けば、「人気が有り過ぎて購入前に売り切れてしまうんです」と言われたので、「ならレシピを買ってこい。宮で作らす」と侍従の一人に命令した。

金貨を持たせた侍従が出て行き、王子は徐に「その娘は貴様の子か?」と、男の横でニコニコしている女の子に指をさした。そして、ニヤッと唇で弧を描き、「娘を寄越せ。その娘を俺のメイドにしてやる」と宣った。

それに激しく首を振り、「それはダメだ。やめて下さい」と激しく抵抗してきたので、「この私がメイドにしてやると言ってるんだ!!恭しく献上しろ!!」と激高した。

ロレンツィオ第1王子は、商人が連れてきた女の子に一目惚れしてしまったのだ。だから、傍に置いて愛でようと思っていたのに、拒否されて憤怒した。

側近に命令して、女の子を客間に連れて行かせた。娘を返してくれと訴える商人を鼻で笑い、「アレは私のだ」と、嘲笑い、火かき棒を侍従に持たせ殴り付けるよう命じた。

廊下で「父ちゃん!父ちゃん!」と泣き叫ぶ自分の娘の声に涙している商人を、侍従にもっと殴らせた。

「最初から言う事を聞いてれば手荒な真似はしなかったんだがな。平民風情が王族の要望を拒むのが悪い」王子はふんっと鼻で笑った。

床に跪いて、泣きながら娘に謝罪している男を「気に入らない」と更に棒で殴れと命じた。

頭や顔、腕や背中、見える部分を殴り続ける度に聞こえる音に、王子は笑い声をあげた。

6歳とは思えない残虐性に、部屋にいたメイドと侍従が震えていた。とんだ暴君である。

反応しなくなった商人を見下ろし、満足したロレンツィオは騎士に、「男を城下に捨てて来い」と命令した。

了承した騎士が出て行き、部屋の掃除を召使いに命令し、ロレンツィオは女の子が待つ部屋へと向かった。

そこへ一人の騎士が慌てて駆けてきた。その者から齎された報告を聞き、ロレンツィオはその場に立ち尽くした。

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ハヤテは今、凄い豪華なサロンにいた。目の前には、項垂れてるビスクドールみたいな王妃と、父である国王陛下が座ってる。

この場所には宰相のサイモンに案内されたのだが、知らない騎士と、高貴な貴族に囲まれるように連れて来られた。

仰々しい。大名行列かって。

そして到着しました部屋は、庭に面した壁がガラス戸になってて、開け放たれた先に見える庭は見事だった。

「王宮自慢の庭です。王妃様の為の薔薇が咲いてます」

宰相サイモンに説明され、薔薇に目を遣れば、赤、黄、白、ピンク、紫、青と、色とりどり咲き乱れており、美しさに感嘆した。

(青い薔薇…凄いな。さすがファンタジー)

「フェリーチェ王子殿下。この薔薇や花々は、我が領の特産でして、王妃様が気に入った物を厳選してお贈りしているのです」

庭の景色に魅入っていたら、それまで一言も話さなかった高貴な方が声を掛けてきた。

「そうですか、王妃様の……失礼。高貴な貴方様のお名前を拝聴しても?」

「すまない。美しさに見蕩れてしまって失念していたよ。私はセオドリック・ロレン・メイウッド。公爵位を賜っており、国王陛下の実弟だ。君の叔父になるね」

何となく「そうかな?」と思ってたら、やっぱり王弟殿下だった。しかし格好良い。そして若っ!!

しかも、今まで出逢った誰より美形で色気が凄い。めちゃくちゃ声が良いし、良い匂いするし、男相手にドキドキするわ。

「王弟殿下でしたか。僕の叔父様ですね?今はこんなナリしてますけど、本来は2歳なので国の事に無知なのです。知らなかったとはいえ、挨拶も無く失礼致しました」

ハヤテは謝罪し頭を下げた。が、「良い良い」と王弟殿下は目の前で手を振った。優しい……

少しトクンと胸が高鳴った気がしたが、それを振り払い「花が特産だから、王弟殿下はそんなに美しいんですね」と素直な気持ちを吐露した。

そして、領地に咲く花を想像し、(咲いてるのを出荷してるだけなのかな?香水とか化粧品、石鹸の香り付けとか、商品にもしてるのかな?)と、そんな事を考えていた。

セオドリックは目を丸くして「私が美しいと?あはは。口が上手いねフェリーチェは」と豪快に笑った。

そして「中身が2歳とは思えぬ立派な甥だな。神の子だと聞いていたが、然もありなんってな」そう言って、ハヤテに意味深な視線を寄越した。

神の子って…なんかこの人には、普通に接して貰いたいから、「……甥として仲良くして下さい叔父上」って言っておいた。

花の管理とか、商品は何なのか?等々を質問し、花は、庭師と花職人をたくさん雇ってて、叔父上も植物魔法の使い手だから、領民と一緒に育ててると教えてくれた。

「素晴らしいです。領地もさぞ美しいんでしょうね」

ロレンは庭を眺め、「美しい…そうだな、花は素晴らしいと私も思う」目を細めてそう言った。

でもな……と言葉が続き、「土を弄る男は好かれんのよ。だから未だに独身だ」とウィンクしてきた。

そして「まあ、女性が苦手だから結婚するつもりないがな」そう言って肩を窄めた。

ハヤテは王弟殿下の仕草一つ一つに見惚れていた。どんな事をしても絵になるセオドリックに魅入っていた。

それを悟られないよう慎重に声を発した。「……土を弄るのを嫌うなんて。それで咲く花を一番愛でているのは女性じゃないですか。意味が分かりません」と。

女性が苦手っていうのは、あれだな。身分にしか興味無い女性が群がるんだろう。その明ら様な視線や表情、態度や言葉に嫌気が差してるんだろうね。

ロレンも分からんと首を振り、「土を弄るより剣を持てって事だろうな。以前の婚約者に言われたしね」と溜息を吐いた。
が、「それよりフェリーチェ、あれはな……」とすぐ別の話題に切り替えた。

(婚約者いたんだ。剣を持たないから捨てたのかな…意味が分かんない)

「へぇ。じゃあアレは?……」

王弟殿下との話しが楽しくて、窓際で宰相そっちのけで談笑していたら、国王陛下と金髪女性のビスクドールが入ってきた。

女ビスクドールが手を広げて「きゃぁあ、可愛い!」と走ってきたので、避けた。ビスクドールだと思ってたら人だった。

女性は勢いそのままに、後ろに控えていた騎士に突っ込んで行った。でも騎士も避けた。そんな女性を受け止めたのはエルフのメイドさんだった。

「フェルちゃん何で避けるの!」とか言ってるけど、貴女の事を知らないし、(まぁ、王妃だと思うけど)いきなり抱き締めようとするのは、どうかと思う。

それに、ハヤテは無邪気な女性が一番苦手だ。無自覚に人の嫌がる事を仕出かすから。今まさに仕出かしたしな。

「お初にお目に掛かります。フェリーチェ・ハヤテ・アルカディアと申します。失礼ですが、唐突に男性に抱き着こうとするのは良くないと思います。それに初対面ですよ」

挨拶をして、そう告げたら、何人かのメイドから睨み付けられた。王妃に対して物申したからだろう。
でも、嫌な事は嫌だし、ダメな事はダメだと言わないと、良くないと思う。だから、メイドに問うた。

「その者共。私に対して言いたい事があるようだがな、人の嫌がる事はしないっていうのは常識じゃないか?
それと、初対面の男性に抱き着くのは淑女のやる事か?私が間違ってるなら答えてみろ」

ギンっと殺気を放ちながら聞いたら、青くなって謝ってきた。そんな彼女達に物申したのは、王弟殿下だった。

「フェリーチェの言う通りだと思うぞ。王妃の今の行いは間違っていたと私も思うな。それに、謝るくらいなら最初から睨み付けるな」

王弟殿下にまで咎められ、顔色を無くした彼女達の前に立ち、ガバッと頭を下げ謝罪してきたのはエルフメイドだった。

キミに謝られてもね。原因は突進してきた女性と、睨んできたメイド達だからね。「謝罪は結構」って手で払った。

国王が頭を下げ「妻の行動を止められなかった私にも責任がある。王妃として有るまじき行為であった。申し訳なかった」と王妃の行いに謝罪してくれた。

でも、国王として言ってるなら、頭は下げちゃダメだよ。

「顔上げて下さいね?王妃様ももうしないで下さい。ただ、彼女達には部屋を出て行ってほしい」と国王に伝えた。

ハヤテの言葉にメイドがすぐに雰囲気を変えた。「ほら、ちょっと何か言えば態度を変える。そんなヤツが本気で謝ってるとは思えないんですよ。上っ面の謝罪なんて必要ない出て行け。不愉快だ」

そう言って手でシッシッとしたら、騎士が追い出してくれた。エルフメイドは「姫様の傍に……」とか言うから残るのを許した。

長ソファに王弟殿下と一緒に座り、向かいのソファには王と王妃が座り、誕生日席に宰相が座った。

(王弟殿下、何故に腰を抱き寄せる?恥ずかしいんだが)

チラッと王弟殿下に視線を向けたら、「ん?」と返された。「いえ…」と首を振り、ドキマギしながら、エルフメイドが淹れてくれた紅茶を飲んだ。

(空気が甘い!!から紅茶の苦味が丁度良い……)

そして改めて自己紹介をした。宰相→王弟殿下→王妃→王。そして最後に俺。

「フェリーチェ・ハヤテ・アルカディアです。護衛や民達は“”ハヤテ“”と呼んでます。でも、好きなように呼んで下さって構いません。一応、2歳です。神界で色々あって成長してしまいましたが」

流石に“”神界“”というフレーズに、サロンに居る面々が驚愕した。で、答えられる範囲で神の事を教えてあげた。

王「最高神ゼウス…英雄リョウの書籍に出てきた神か。この世界の創造神より上級の神…凄い方の愛し子なのだな」

宰相「使命があり、それが技術革新…停滞している世界に技術を齎し発展させるとは」

王弟「確かに、帝国以外の国は何百年経っても発展してないよな。デーメーテール神もそれを憂いていると」

男共で話しをしていたら、ずっと項垂れてた王妃が復活した。そして挨拶してきた。

「先程は失礼致しました。改めて王妃のオリビア・リア・アルカディアよ。宜しくね」

宜しくお願いします。と返し、話しの続きに入った。

王に「具体的に何をどう発展させるのかは決まっているのか?」と聞かれたので、

「そうですね……」と、街を見て回った結果、改善する点が多々あったので、それを伝えようとしたら、廊下がガヤガヤしているのに気付いた。

「なんだろ??」何だか凄く慌ててる声がする。

扉前に立っていた騎士に、王が「開けろ」と目配せし、入ってきたのはサリバンだった。顔が真っ青だ。

「ご歓談中に失礼致します。急を要する事態が起きてまして、指示を頂きたく参りました。まず、黒騎士団は地下牢から解放、アクドーノ達は牢に投獄しました」

サリバンは気丈に振る舞い報告しているが、声が震えている。報告の内容は、信じ難い事だらけだった。

セバスチャンの尋問中に、伯爵がニコラスの居場所を吐いたと。現在伯爵邸の地下に軟禁していて、ジャウフレが数名の騎士を連れて救出に向かったと。

それと、ロレンツィオ第1王子殿下が王子宮で民を暴行し、城近くの草原に捨て置いた模様。そして、その者の娘を拉致し、王子宮の客間に監禁していると。

暴行された男性が倒れていたのを冒険者が発見し、保護しているらしい。息はあるが怪我が酷くて、ポーションでも治りきらなかったと。

情報は、その冒険者と仲の良い門番から齎されたと。 王子宮には王族以外は勝手に入れないので、娘を救出する為ハヤテに知らせに来た。との事だった。

「……ご苦労様。大変だったねサリバン。怪我したっていう男性の所へ案内して」

そう言って立ち上がったら、王弟殿下も付いてくると言う。「良いの?」と聞いたら「良い。民は王族が守らねばならんのだ」だって。格好良いわロレン。

国王は自分の息子の事だから王子宮に行って捕縛してくると。宰相は騎士を連れて娘の救出に向かうとの事。

王妃は心労で倒れてしまった。だから、エルフメイドに託し、男達はサロンを後にした。

――――――――――――――――――――――――

ロレンツィオ王子は、派閥の有力貴族が挙って居なくなった事に困惑し、廊下に立ち尽くしていた。

まだ6歳の子供だが、味方が減れば自分が失脚すると想像出来た。その未来が頭を過ぎり、頭を抱えた。

そこに現れた大臣の一人に、「王族の権力を使い、第3王子から民の支持者と黒騎士団を奪えば良い」と助言された。

それと「黒騎士団は獣の集団だが、力強い戦士たちであり、彼らが味方になれば、次第に民からの支持も得られるだろう」と言われた。

「それは良いな!」と、それを実行する為の計画を立てに、部屋へと向かった。

だが、そんな企ては決して上手くいかない。いく訳がないのだ。

第3王子は、ほぼ毎日のように王都の街中に現れては、民と交流していて支持率が高いし、黒騎士団員達と第3王子の絆はとても深いからだ。

ロレンツィオ王子は、部屋で計画を練っていた。側近に助言を貰いながら羊皮紙に書き綴っていた。

笑いながら呑気に、紅茶を飲みながら。

鬼の形相した国王が、覇気を撒き散らしながら部屋に向かって来てるのも知らず、「肉串はまだか」等と言い、寛いでいた。

捕縛されるまで秒読み開始……5ー4ー3ー2ー1……0

バーーンッ!!!突如開け放たれた扉を見て、ロレンツィオ王子は目を見開いた。

「近衛騎士よ!罪人ロレンツィオ並びに、部屋に居る者共を捕縛せよ!」

そして国王…自分の父親の捕縛命令に言葉を失った。


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※後書き

ロレンツィオ王子の恐慌描写、マズイかな?と思ってビクビクしてます。なんせ6歳ですから....


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