ゲームな世界の魔物として生きて行く事になった。

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25 動作確認と人類初遭遇

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こうして眺めていてもどうにもならない。
とりあえず俺専用車両を倉庫から引っ張り出し、シャッターのすぐ前の辺りで眺めてみた。

360度どこから見ても3輪車。
タイヤサイズは…これはバイクの奴かな?150/80-19みたいに書いてあるデコボコとしたオフロードで走りやすそうな感じの奴が後ろに2輪付いていて、前は後ろのタイヤよりももう少しだけ大きい感じ。
そしてシート部分はそこそこ固めのクッションが椅子みたいな形で1個だけある。
昔確か動画でレーシングカートの解説みたいなのを見た覚えがあるが、その車体に付いていた椅子と同じ様な形。
車両を見た感じではサスペンションとかがあまり確認出来無いんだけど…これ、長時間乗っていると尻が痛くなるんじゃないか?

「なぁアリス、これってお前どうやって乗るの?このシートに俺が座ってこのペダルを漕ぐんだよな?」
シートの後ろにはアシストモーターが収まっている部分があるだけで座れるような場所は無いんだけど…
「オージが座ったら私の座る場所ができるから大丈夫。座ってみて。」

ふむ…この形のままで動く訳では無いのか。
とりあえずシート部分にお尻を乗せてみる。

おっ?何かが刺さった感じがした。
生身の体であればかなり敏感な部分に…んっ♡

そして視界情報に回転数メーターと速度メーターが表示されてギア表示やヨーモーメントポイントだとか疲労限界だとか…よく判らない数値がずらずらと並んで見えた。
そして俺の股間部分を包み込む様にシート下部からベルト状の拘束具の様なモノが飛び出し体を固定したら、俺の腹の辺りから少し小さめのかなり座り心地の良さそうな椅子が出てきた。

「なぁアリス、1個聞いても良いか?」
「なぁに?オージ号?」
「…やっぱりそう言う扱いなんだな。もう聞きたかった事の答えがもらえたから大丈夫だ。」
「そう?じゃぁ少し動かしてみるわね。」

そう言って俺の腹の辺りに出来た椅子にアリスが座って俺の胸に背中を当てるように座って…ハンドルを持って俺の手の上に乗せた足でアクセルを踏み込んだ。

そう、俺ってこの車の運転手な訳ではなく、車のパーツだったみたいね。
とりあえず動力源と電池とアリスが座る椅子と背もたれと右手がアクセルで左手がブレーキになっちゃった。


それにしても…この車を作った奴って俺なんじゃないか?
すごく幸せなんだけど♡


だって俺…今、幼女に運転されてるんだぜ?

おっとアリスってばアクセルを踏みすぎたな。
このままだと斜面を飛び出して20m位飛んでしまう。すこーしだけスピードを弱めてやるしかないな♡
なんてすばらしいオージアシストシステム♡

まぁ…俺なんだけど。

そして一瞬飛んで着地したオージ号左にハンドルを切って後輪ドリフトをしつつ旧自衛隊敷地内をドリドリしつつ一周して戻って来た。
「こんな感じだけどオージは大丈夫そう?」
俺の口は今アリスの後頭部を支えるので忙しいのだが、とりあえず少しだけずれて答える。
「もっとフィットする感じに背中を押し付けておかないとアリスが飛びそうな感じが有ったからちょっとだけ怖いな。」
「あぁ、そう言えばベルト着けて無かったね。」
そう言って俺の肩の辺りとシートの下からベルトを引っ張り出して5点拘束ベルトで俺に自分の体を固定してくれた。


どうしよう…俺もう一生アリス専属椅子生で生きて行っても良い気がしてる♡

俺の胸にアリスの背中をぐっ♡と押し付けるシートベルトは若干の余裕がある状態でアリスが引っ張れば引き出される感じなんだけど、俺が危険だと思った瞬間に一気に引き寄せる事が出来るって事が判る。


そう、デコボコ道でアリスの体が俺シートから浮きそうになったらキュッって引っ張って…



「なぁアリス、ちょっとだけ悪路の走破性を確認してみたんだけどそんな道ってここらにある?」
俺は自分の欲望に忠実に生きる事にした♡

「そうね…確かこっちに行った先に実弾演習エリアが在ったはずだからそこなら自然の山の中を走る事が出来ると思うわ。行ってみる?」

「おうっ♡どこまでの機動力を持っているかをちょっとだけ確認しておかないとまかり間違って車が倒れるとかしたらアリスが傷ついたりして大変な事になるからなっ♡さぁ行こう♪」

あっ…アリスが少しだけ怪しんでる感じがする…ちょっとはしゃぎ過ぎたか?
アリスは特に何か言う訳ではなかったが俺の意図をある程度読んでいたみたいで…

あまり無茶な運転はしてくれなかった…

まぁでも舗装路じゃない場所で走り回ったおかげでアリスの柔らかさはしっかりと堪能させてもらえたので今日はこれぐらいで良いだろう♡

そしてある程度運転に慣れたのでそろそろ移動しようと思い、アスカさんと別れた建物の辺りまで移動して来たら男2人と女3人に囲まれて、アスカさん手の平に乗せられてキャッキャウフフなお花畑を周囲に撒き散らしていた。
「あっみんな、アレが私と一緒に旅をしてる…アリスって子と……ねぇオージあんたいつからアリスの椅子になり果てたの?」
「失敬な。俺は椅子になった訳では無い。アリスを守る…まぁ、椅子か。このオージ号はアリス専用車両だったってだけだ。というか俺がアリス以外を乗せたく無いからそう決めたんだけどな♡」
「なんとなくユニコーンとかを連想させる振るまいね…まぁあの椅子がオージって電池ね。」

アスカさんの説明が若干毒を含んでいた。

まぁでもユニコーンか…確かあいつらも俺と同じ様に可愛い処女の女の子しか乗せないって鉄の意思を持っていたって話だったか…まぁ同属の様なものだな。

その後アスカさんに紹介された5人は一番年上の男女2人が17歳と16歳の元同級生で、今現在夫婦らしい。
他の女の子1人と男の子2人を2年前に起きた3界の融合の余波の天変地異が治まった後にここらの近くで保護して一緒に生活をしているって教えてくれた。

「なぁ、なんであの壁に囲まれた大きな町に行かないんだ?こんな場所じゃ魔物とかが来るんじゃないか?」
とりあえず少し暗くなってきたので全員で彼らの寝泊りしている建物に入り込み話をしている。

年下の3人はアリスが降りた俺にとても強い興味を持ってくれたので、とりあえず女の子をアリスのシートに座らせて男2人をモモの辺りに座らせた状態で敷地内をアシストモーター駆動だけでゆっくりと何度か回ってやったら、すごくはしゃいでその後もずっと興奮状態でとても俺に懐いてくれた。
そして、電気が来てないこの場所では暗くなると寝るって生活習慣が出来上がっていたらしく、あっという間に3人1つのベッドに子猫みたいに固まって寝てしまった。

「実は…あの町の人達が少しづつおかしくなってきてるみたいで…」
女の子の方が躊躇いつつも話してくれた。

最初災害が続いていた頃は役場の人達が中心になって色々救助活動などをしていたそうだが、ある程度落ち着いて来た頃に町の若い女の子が居なくなるって事件が多発したらしい。
最初は災害で家族を無くしたもの達が集団で寄り集まり生活していたのだが、この少女も1度攫われかけたらしい。
その時は彼女を災害前から少なからず想っていた男の子がなんとか守ったらしいのだが、それ以降も他の女の子ではあるが攫われ続け、2人が一緒に居る時にその集団の中に居た奴が女の子を攫おうとした集団の中に居たのを見てしまったそうだ。

その後2人で一緒に生活をしていた集団から離れて廃墟の様な場所で生活していたらしいのだが、それまで率先して住民を守っていた自衛団の様な事をしていた奴らが女の子を攫っていくのを見てしまい、そう遠くない内に自分も同じ目に合うかもしれないと考え町を出たらしい。

ふむ…権力を手に入れた連中が好き放題し始めたって事だな。
「そいつらって魔物っぽい動きをしてたわけじゃないのか?」
「…特にそんな感じは無かったけど…」

ならば倒してどうって事は俺の仕事じゃないな。
魔物なら何かしら経験値的な魅力がある感じがするので…とりあえず倒しに行くのもやぶさかでは無いが。

そうそうここまで来る途中で何度か戦闘があったんだけど、どうも魔物を倒せば何か経験値的な物を手に入れるみたいなんだ。これは言葉そのままの意味で戦うって経験を積む事で体を動かす動作の効率的な動きを手に入れていく感じらしく、魔物の種類別にある程度の大きさとか動き方?例えば人型の魔物の戦闘経験がある程度出来たら近い姿の魔物であれば倒しやすくなるって感じらしい。
確かアリスが、『戦闘経験最適化システム=Combat experience optimization system=CEOシステム』って言ってたかな?

どこかの企業の最高経営責任者みたいな感じの名前だけどそういうシステムが俺達には内蔵されているらしく、戦闘行為を推奨されている。

「とりあえず人を対象とした戦闘行為は一応禁止されてるっぽいからなぁ…手助けは無理だよな?」
「そうね…あの町は忘れた方が良いわね。」
アリスも俺と同じ意見の様だ。

「あっ♪じゃぁさぁ♪ここに居てもみんな安心して生きていけないんだし、一緒に安全な所まで行かない?」
アスカさんがそんな事を言い出した。
「でも俺に乗せられるのはアリスと…まぁ、アスカさん位だぞ?5人と一緒に移動するのって無理じゃないか?」
「なんで?オージ号にリアカーとかを引っ張ってもらったら良いんじゃないの?」

とりあえずオージ号、アリスと俺とアスカさんだけが乗って移動するならそこそこ速いスポーツカーレベルの走りが出来るけど…引っ張るのか?この5人を乗せた何かを?
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