船と共に

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No.1

SS2 魔法の訓練2

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「なぁ、これっていつまでやったらいいの?」
俺は今、大黒丸の甲板の上で腕立て伏せをしている。100回繰り返すセットを10回ぐらいやっていて、そろそろ限界が来ている気がする。
「筋肉が悲鳴を上げて、もう無理って状況になったら、そこからが本番だ」
ハバキはそんな事を言ってスクワットを繰り返している。ちなみにセルビスとラルクアは、大黒丸の入り口を守る兵士を背負って船の縁に近い辺りを周回している。
少し前に俺は、しっぺを繰り返して自分に対する回復魔法が使えるようになったおかげで、筋肉の痛みなどは素早く除去出来るようになったのだが、疲労感の除去までは出来ない。感覚的には急にマラソンを始めて足をくじいたりするような状況は簡単に治せるのだが、走り続けて筋肉が持った熱や老廃物の除去の辺りがうまく出来なくて疲労がたまっている状態。
確か連続動作で蓄積する疲労ってのは、細胞が動く為のエネルギー源を作った残りの乳酸を除去する必要があるなんて話があったが、実際には違っているっておやっさんが言っていた。なんかエネルギーを使った後で出る疲労因子なんてものが存在しているらしく、それを効率良く分解しないといけないとか言ってた。
他にも脳内からストレスを感じて出るホルモンが原因で精神的に疲労するなんてのも体が動かせなくなる原因の一要因とか言ってた。おやっさんがなんでそこまで人体の仕組みに詳しかったのかは聞いてないけど、「飯食わせるのに美味く感じる為には色々知識が必要なだけだ」なんて事を言っていたが…もしかしたらおやっさんって、それまでの人生の中で食事方面のトレーナーのような仕事を少しぐらいしてたのかもしれない。
まぁそんな訳で、俺は筋肉自体の修復がすぐできる為、筋肉量の増加はそこそこ効率よく出来るようになっているのだが、疲労だけがどうにもならない訳で、ここから根性論になるのかなぁ…なんて思ってたら、いきなり疲労感が消えた感じがした。今まで腕に感じていた熱っぽい感じや腕が重たくなっている様な感覚がまったく感じなくなってきた。
「おっ!なんか急に腕のだるさが消えてきたぞ!これが肉体強化の魔法が使えてる感覚なのか?!」
ハバキが俺の方をチラッと見て目を閉じ首を振って否定した。
「肉体強化はまったく出来ていない。それは疲れた何かを効率よく排除できている様だが、マサルの体の中全体で魔素が活発に動いてるだけで、筋肉に対して効果を及ぼしている訳ではない。もっと体を責め抜くんだ!」
ハバキはそんな事を言ってまたスクワットを繰り返し始めた。
なるほど?
俺は体の中の疲労物質の分解に伴う強化は出来るようになったらしいが、筋力を魔法的に増加する様な事は全く出来てないらしい。

…もしかしたらだけど、現代知識がある俺には、こっちの連中が肉体強化の魔法を使う為にこれまでしてきた訓練方法では習得できないんじゃないか?
そんな事を考えながら俺は腕立て伏せを100回繰り返すセットを全部で40回ほど行い、その日の訓練を終えた。
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