26 / 149
第一章 召喚前?
23 これってゲームだったのか?2/3
しおりを挟む
俺の正面に座る女性は微笑を浮かべたまま俺達を少しの間見渡していた。
なるほど…もう交渉は進んでいたのか。
相手を焦らして思考能力を減らすのが目的だったのだろう。
こんな状態では先に口を開いた方が主導権を持てるのだが、この様な状況では俺は完全にアウェーな訳で主導権を取られ様がこっちで持って様が状況的にはまったく変わらない。
だったら欲しい情報を自主的に聞いていく方がこっちの思うように話を進められるはず。
よし。
「とりあえずあなたとは初めてお会いすると思いますが私の名前はもう知ってらっしゃった様ですし、もし良ければお名前をお聞かせいただけませんか?」
相手の事を『女性』との呼称で認識しているとどうにも人物像が固まりにくいので聞いてみた。
「…そうね、あなたの事は大体知ってるわね。まぁ…名前はそうねぇ…あなたの世界の人の名前を使わせてもらったほうが理解し易いでしょうし…テラス様とでも呼んでください。」
俺の世界でテラス様?
さすがに家の建築用語を自分の名前にする様な酔狂な奴って事は無いとして…テラス?
…まさか天照大神の事じゃないよね?
見た目は古ギリシャの衣裳風なのに日本神話の神様の名前?
これって自分の事を神だと暗に言ってきたって事なんだろうか?
「そうですか。では一応テラス様と呼ばせていただきますね。では、説明お願いし…あぁ、そうか…もしよければですが、後ほど確認したい事を書いて残しておきたいので何かメモがとれる様な物を頂く事は出来ませんか?」
相手の出鼻を挫く様に話をこっちの主導で進めて行けば相手は思うように話を進められなくなり少なくない焦りを感じるのだが…
「…そうですね。ではこちらをお使いください。」
テラスはそう言って開いたままになっていた青い半透明の立体映像ビューみたいな物を操作して俺の体の前のテーブルに装飾の多い筆記用具らしき物と共に仕事中によく使っていた契約書などで使う事の多かった上質コピー用紙よりも肌触りの良い紙が10枚ほどいきなり目の前に現れた。
これはこの女にとってはメモに使える程度の質の紙と筆記用具と言う事なのだろうか?
交渉時においては自身の裕福度を見える形で提示するのも交渉の一部ではあるのだが…
このテラスさん…さっきから俺の目の前に座って大人の女の雰囲気を醸し出しつつ優雅にカップを口元に運んでいるのだが、俺が紙を半分に折ってメモに使いやすいサイズに切ったら『えっ?!そんな事しちゃうの?!』みたいな顔を一瞬だけしたんだよなぁ…気のせいだろうか?
ちなみにその焦った感じの顔をしたのは刹那の時間だったので最初見間違いかと思ったのだが…
でも、そんな視点でテラスを見ると…こいつの持ったカップ…小さく震えてるよな?
これは勝手な想像なんだが、このテラスって奴…大人の女のロールプレイをしている少女ってことは無いか?
だとしたら…ちょっと確認してみるか。
「あーこれはちょっと使い勝手が悪いですね。もし良ければですがテラス様…私が愛用していたタブレットPCを出して頂けませんか?最近文字を書く行為も電子化が進んでいたのでこの手のローテクなツールはもう10年程度使ってなかったもので。そうだなぁ…仕事場で貸与されていた奴位の物でけっこうですがどうでしょうか?」
俺がお願いしたらテラスが一瞬固まって青いビューを弄りだし何か小さな声でブツブツ言いながら指を折り折り何かを計算し始めた。
「これは…お小遣い…えっ?!ちょっ?!」
漏れて聞こえてくる声が段々と大きくなってるけどテラス…ちゃん…まったく気付いてない。
これはあれだな。
こいつの内臓って言うかテラスのガワを纏ってる奴って俺の姪とそう大して変わらない年齢みたいな気がする。
ちなみに姪の年齢だが、俺が最後に会ったのが1年ちょっと前でその時に小学校を卒業するとか言って『お祝いくれてもいいよ?』みたいな目でねっとり見続けていたので1個下の甥に気付かれない様に気をつけながら『ご祝儀袋を用意してなかったから申し訳ないけどこれで良いかな?』と言いつつ1万円札を渡したらほんの一瞬だけだが『ちっ…しけてんねぇ~こいつ!』みたいな顔をして『うんっ♡ありがとおじさん♡』って言葉を発してあっという間に次の狩りに取り掛かって行ったみたいだったが…
でも神様みたいな仕事をする様な奴にそんな精神年齢の奴を抜擢するような事ってあるのか?
ゲームならいざ知らず…
ちょっとそこらも確認してみるか。
「あーさすがにちょっと高価すぎましたかね?ではこの紙と筆記具を使わせて頂くとして、お話を聞かせたいただきましょうか。どうぞ。」
「えっ?そう??」
テラスちゃん小さな声で『よかった♪』みたいに言ってた。
「では、あなたのこの世界での役割なのですが、一言で言うなら『この世界に技術を浸透させる』事です。」
テラスちゃん言いたい事を言い切ったみたいな晴れやかな顔してるが…
技術の浸透って言っても色々あるよな。
「ちなみにテラス様?ドヤ顔で言い切ったみたいな顔をしてらっしゃいますが…他には言う事は無いのですか?技術と言っても色々な分野があると思いますが?」
「えっ?色々??…あ~それは…ほら、あれよ!あれあれ!!」
テラスちゃんしどろもどろになってアレアレ言い続けてるが…
「とりあえずそうですね…技術と言うのは私の生活していた環境では戦争と共に発展して行ったという経緯がありますが…どんな産業を想定しているのですか?」
「えっ?!どんな産業?!?!え~…あ~…う~…そのぉ~…」
これはあれだな。
このテラスちゃんほぼ間違い無く日本で言う中学生前後の年代の知識しか持って無い。
ちなみにどんな環境で成長して来たのかによっては年齢は変わると思うが、知識レベルはその程度だと思われる。
はぁ~…とりあえず自分の置かれた環境がどんな状況なのかを確認する為にも今現在何が起きてるのかを確認するか。
「あ~テラスちゃん?とりあえずそうだな…今君がどんな目的で俺をここに呼び出したのか辺りから聞かせてもらってもいいかな?事によってはテラスちゃんの責任問題になるかもしれないので出来るだけ詳しく聞かせてもらえたら助かるんだけど…?」
「えっ?!責任って…でもさぁ?ここに清が呼ばれたのは私が何かした訳じゃないんだけど…」
その後テラスちゃんが語ってくれたのはこの世界の根本に関わる話だった。
なるほど…もう交渉は進んでいたのか。
相手を焦らして思考能力を減らすのが目的だったのだろう。
こんな状態では先に口を開いた方が主導権を持てるのだが、この様な状況では俺は完全にアウェーな訳で主導権を取られ様がこっちで持って様が状況的にはまったく変わらない。
だったら欲しい情報を自主的に聞いていく方がこっちの思うように話を進められるはず。
よし。
「とりあえずあなたとは初めてお会いすると思いますが私の名前はもう知ってらっしゃった様ですし、もし良ければお名前をお聞かせいただけませんか?」
相手の事を『女性』との呼称で認識しているとどうにも人物像が固まりにくいので聞いてみた。
「…そうね、あなたの事は大体知ってるわね。まぁ…名前はそうねぇ…あなたの世界の人の名前を使わせてもらったほうが理解し易いでしょうし…テラス様とでも呼んでください。」
俺の世界でテラス様?
さすがに家の建築用語を自分の名前にする様な酔狂な奴って事は無いとして…テラス?
…まさか天照大神の事じゃないよね?
見た目は古ギリシャの衣裳風なのに日本神話の神様の名前?
これって自分の事を神だと暗に言ってきたって事なんだろうか?
「そうですか。では一応テラス様と呼ばせていただきますね。では、説明お願いし…あぁ、そうか…もしよければですが、後ほど確認したい事を書いて残しておきたいので何かメモがとれる様な物を頂く事は出来ませんか?」
相手の出鼻を挫く様に話をこっちの主導で進めて行けば相手は思うように話を進められなくなり少なくない焦りを感じるのだが…
「…そうですね。ではこちらをお使いください。」
テラスはそう言って開いたままになっていた青い半透明の立体映像ビューみたいな物を操作して俺の体の前のテーブルに装飾の多い筆記用具らしき物と共に仕事中によく使っていた契約書などで使う事の多かった上質コピー用紙よりも肌触りの良い紙が10枚ほどいきなり目の前に現れた。
これはこの女にとってはメモに使える程度の質の紙と筆記用具と言う事なのだろうか?
交渉時においては自身の裕福度を見える形で提示するのも交渉の一部ではあるのだが…
このテラスさん…さっきから俺の目の前に座って大人の女の雰囲気を醸し出しつつ優雅にカップを口元に運んでいるのだが、俺が紙を半分に折ってメモに使いやすいサイズに切ったら『えっ?!そんな事しちゃうの?!』みたいな顔を一瞬だけしたんだよなぁ…気のせいだろうか?
ちなみにその焦った感じの顔をしたのは刹那の時間だったので最初見間違いかと思ったのだが…
でも、そんな視点でテラスを見ると…こいつの持ったカップ…小さく震えてるよな?
これは勝手な想像なんだが、このテラスって奴…大人の女のロールプレイをしている少女ってことは無いか?
だとしたら…ちょっと確認してみるか。
「あーこれはちょっと使い勝手が悪いですね。もし良ければですがテラス様…私が愛用していたタブレットPCを出して頂けませんか?最近文字を書く行為も電子化が進んでいたのでこの手のローテクなツールはもう10年程度使ってなかったもので。そうだなぁ…仕事場で貸与されていた奴位の物でけっこうですがどうでしょうか?」
俺がお願いしたらテラスが一瞬固まって青いビューを弄りだし何か小さな声でブツブツ言いながら指を折り折り何かを計算し始めた。
「これは…お小遣い…えっ?!ちょっ?!」
漏れて聞こえてくる声が段々と大きくなってるけどテラス…ちゃん…まったく気付いてない。
これはあれだな。
こいつの内臓って言うかテラスのガワを纏ってる奴って俺の姪とそう大して変わらない年齢みたいな気がする。
ちなみに姪の年齢だが、俺が最後に会ったのが1年ちょっと前でその時に小学校を卒業するとか言って『お祝いくれてもいいよ?』みたいな目でねっとり見続けていたので1個下の甥に気付かれない様に気をつけながら『ご祝儀袋を用意してなかったから申し訳ないけどこれで良いかな?』と言いつつ1万円札を渡したらほんの一瞬だけだが『ちっ…しけてんねぇ~こいつ!』みたいな顔をして『うんっ♡ありがとおじさん♡』って言葉を発してあっという間に次の狩りに取り掛かって行ったみたいだったが…
でも神様みたいな仕事をする様な奴にそんな精神年齢の奴を抜擢するような事ってあるのか?
ゲームならいざ知らず…
ちょっとそこらも確認してみるか。
「あーさすがにちょっと高価すぎましたかね?ではこの紙と筆記具を使わせて頂くとして、お話を聞かせたいただきましょうか。どうぞ。」
「えっ?そう??」
テラスちゃん小さな声で『よかった♪』みたいに言ってた。
「では、あなたのこの世界での役割なのですが、一言で言うなら『この世界に技術を浸透させる』事です。」
テラスちゃん言いたい事を言い切ったみたいな晴れやかな顔してるが…
技術の浸透って言っても色々あるよな。
「ちなみにテラス様?ドヤ顔で言い切ったみたいな顔をしてらっしゃいますが…他には言う事は無いのですか?技術と言っても色々な分野があると思いますが?」
「えっ?色々??…あ~それは…ほら、あれよ!あれあれ!!」
テラスちゃんしどろもどろになってアレアレ言い続けてるが…
「とりあえずそうですね…技術と言うのは私の生活していた環境では戦争と共に発展して行ったという経緯がありますが…どんな産業を想定しているのですか?」
「えっ?!どんな産業?!?!え~…あ~…う~…そのぉ~…」
これはあれだな。
このテラスちゃんほぼ間違い無く日本で言う中学生前後の年代の知識しか持って無い。
ちなみにどんな環境で成長して来たのかによっては年齢は変わると思うが、知識レベルはその程度だと思われる。
はぁ~…とりあえず自分の置かれた環境がどんな状況なのかを確認する為にも今現在何が起きてるのかを確認するか。
「あ~テラスちゃん?とりあえずそうだな…今君がどんな目的で俺をここに呼び出したのか辺りから聞かせてもらってもいいかな?事によってはテラスちゃんの責任問題になるかもしれないので出来るだけ詳しく聞かせてもらえたら助かるんだけど…?」
「えっ?!責任って…でもさぁ?ここに清が呼ばれたのは私が何かした訳じゃないんだけど…」
その後テラスちゃんが語ってくれたのはこの世界の根本に関わる話だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる