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第三章 フベルト?
70 戻ってからも根回しは続く4/5
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「そう言えばミロスラフ…あいつ朝飯食ってる間ずっとレテーナを見てたな。」
「確かになぁ…見てるって言うよりも凝視してるって感じだったな。あいつのゴッドバードに対する執着はやっぱりすっごいわぁ。フベルト村で誰かが見かけたって話が出るとあいつ…うっとおしい位に見たって奴にどんな特徴の個体だったかを問い詰めてたからなぁ、そのおかげで村ではゴッドバードの話をするのにちょっとばかり忌避感を持ってる奴が多かったなぁ…」
「まぁミロスラフにしてみれば最愛の相手に関するかもしれない情報だからなぁ、二人っきりで蜜月を過ごした相手の情報だからどうしても気になるんだろうな。もしかしたらだが…マルセル君もああなっていた可能性があったわけだよな。」
「やめろよぉ、俺はこの髪形になってもう絶対にゴッドバードには近づかないって決めたんだ。おふリンもこの頭になってちょっとだけ俺を見る時に…こう…笑顔が増えたし?」
「笑顔が増えたとか誤解を招く言い方はやめろ。正直に嘲笑されたとか失笑されたって言え。」
「ちっ…それはキヨシの感想でしかないんだ。あーそうだ、キヨシお前よぉ、俺とおふリンの仲を裂くような事しやがってよぉ、何なんだよその尻尾は。」
「これはテラスちゃんが必要に迫られて実装しただけだ。俺の責任じゃない。」
「それにしてもだよ。何であんなにおふリン…くっ…うぅぅっ…」
「泣くなようっとおしぃなぁ。」
「お前俺に対する時だけ辛辣だよな。何が気に入らないんだ?」
「ソフィーの事はまったく関係ないぞ?それにジェシカがお前の後ろに隠れた事も何とも思ってないし?」
「女関係で全部が気に入らないってか?」
「違うって言ってるだろ?って言うかそろそろ音が大きくなってきたな。たぶん近いぞ。」
「あぁ、それは俺も分かってる。でも本当なんだろうな?風洞音とかって言ってたけど本当にこれって生物の出す音じゃないんだろうな?なんとなく俺にはとんでもなくでかい奴のうなり声に聞こえるんだが??」
「まぁ…そこらは見てからのお楽しみって奴だな。」
俺とマルセル君は今、マルセル君が案内してくれたサトウ村最有力候補地の悪霊が居るとか言われている地域に来て、悪霊が出している様に聞こえる音を響かせていた洞窟に入り込んで音の原因を確認している最中だったりするのだが…
そもそも音が発生するには、入り組んだ地形を風が通り過ぎる必要があり、そこそこ狭い空間が長く続く場所が必要だったりする。だから人がたどり着ける場所に有るかどうかは何とも言えない。
ただ、ここまで歩いてきてる間に連続して音がしていた訳では無いのと風の流れる方向と流れる速さが進行方向から一定なので、この先複数ヶ所に外に繋がっている穴があるのではないかと思う。
そしてその反対側の穴のどこか数ヶ所が音を発しているのではないかと思うのだが…それとその穴の在る場所は北側にあった山のそこそこ高い場所に存在しているのではないかと思われる。
理由は洞窟に入って20m程度進んだ辺りからずっとスロープ状の道が登って行ってるから。
それと、案内されたサトウ村の予定地だが、轍の深い大きな町に向かう道を右折して、舗装された道を車で時速40km程度で5分ぐらい移動した所にあった。
…そう、舗装されてたんだ。
道の素材はアスファルトではなく、規格化された黒っぽい石の様なタイル状の物を敷き詰めた感じで作られていた。
そして道幅は軽自動車を走らせるのにちょうど良い幅の双方向道路であきらかに人の手が入ってると思われる場所だった。
そして道を軽自動車で走りたどり着いた場所には何も建物などは無く、見渡す限りの草原が広がっていた。
地理的には北西方面に高い山が在り、東側にそこそこ広くて深い川が在る場所。
そしてそんな山にほど近い辺りに在った音のする洞窟って言うのが、あのテラスちゃんの住処に繋がっていた洞窟に良く似た感じだった。
中を歩いてみて最初に感じたのは、放置されてけっこうな時間が経っている?だった。
砂みたいな粒状の物質で隅の辺りが埋まっているのと、亀裂が入っていて崩れそうになっている場所も複数箇所あった。
そして、スロープ状になった坂を延々登って来ているとマルセル君もさすがに慣れてきたのか雑談を振ってきたので相手していたのだが…
オォオォォォォ…ゴボボボボボ…ゴォオォォォォォ…
そろそろ洞窟を歩き始めて20分ぐらいか?たまに音の感じが変わって聞こえだしたんだよなぁ。
…これってもしかしたら本当に何か生物が出してる音だったりするのだろうか?
マルセル君がしきりに俺の方を見て『本当に大丈夫なんだろうな?』って顔をしてるが…
「何ヶ所かで音が発生してるんじゃないか?まぁここまで分岐点は無かったから大丈夫だろ?最悪この洞窟を崩してしまえば何かが居たとしても下りて来れないだろ?」
「…俺さぁ…昔、村のばあちゃん達の話してくれた話でさぁ、早く寝ない子はフェノムが攫って行くって話が怖かったんだよなぁ…」
「それはあれだ、今からフィーバータイム♡だから子供はさっさと寝ろってアレだろ?」
「一応俺の死んだばあちゃんもその話をしてたんだ。やめろ、ナマナマしい話は。」
「でもお前もそんな反応をしてるって事はもう理解してるんだろ?」
「…まぁなぁ。」
雑談をしながらも歩いていると壁と床の在り様が大きく変わった。
「ここから先は崩落してる様だな。どうする?キヨシのそれで照らしても奥の壁が見えないな。」
それまでの道は男2人が余裕を持って並んで歩く事が出来る程度の幅があり、路面も整地された感じだったのだが、大きな瓦礫の積み重なったかなり広い空洞が目の前に広がっていた。
空間自体がかなり奥まで広がっているらしく、持って来ていた非常灯ライトでは奥の方が見渡せない。
「さすがにこんな暗闇では確認できないな。とりあえずここまでは一本道だったし冷たい感じの空気が下って行ってるみたいだからこの辺りにドアでも付けて風の流れを止めたら音もそこまで響かないと思うぞ?」
俺とマルセル君が話をしてる間もずっと風洞音らしき音が聞こえていたのだが、少しだけ違和感があった。
「なぁマルセル君、電話から聞こえてくる音と自然発生してる音の差って分かるか?」
「その電話が分からないからまったく分からないな。それは何だ?」
「遠くの人と話をするための機械だな。」
「…村には無いが…確かでかい街にはそんな機械があるとかって誰かが言ってたな。」
大正時代から昭和初期の頃の電話が普及しはじめた頃の人の感想みたいな言い方だな。
「まぁ説明するが、そんな機械を使って話をすると高い音と低い音が通信で送れなくて少し違う感じに聞こえるんだが…この今聞こえてる音がそんな感じに聞こえるんだけど…なぁマルセル君って音の発してる方向って分かる?」
「まぁ…少しは分かるが…でも俺は怖いから行かないぞ?」
「お前ジェシカが居ない所ではヘタレになるな。」
「キヨシにいいところを見せたら何かが変わるのか?おふリンが俺の事をもっと好きになってくれるのか?ならないなら俺にはそんな事をする必要が無いな。」
こいつソフトモヒカンになってから何かが吹っ切れたみたいだな。
「確認は俺がするから音のする方向を教えてくれ。」
「お前が死んだら俺おふリンと結婚できなくならないか?」
「そう思うならお前が行ってこいよ?!」
「やだよ!まだおふリンと子供も作ってないのに!!」
少しの間言い争っていたが、マルセル君はやっぱり怖いらしく、確認には絶対に行きたくないと言い続けたので俺が1人で行く事になった。
「たぶんあの辺りだな。」
マルセル君が非常灯ライトで洞窟の進行方向から少し左にずれた辺りを照らしてくれた。
「俺の足元をうまく照らしてくれよ。」
「任せろ♪もしお前が死んでもおふリンの事は俺が何とかするから安心してくれ♡」
「なんも安心できねぇよ。」
俺はマルセル君の照らす光を頼りに瓦礫の山を音が聞こえている場所に向かって歩いて移動していた。
聞こえる音はだんだんと明瞭になってきてスピーカーから聞こえている様な音が聞こえ始めた。
「マルセル君!ここか?」
「たぶんそこらだ!今キヨシが居る辺りから聞こえてくる!他にはここと…ここらだ!」
最初に俺の居る場所を照らして、その後に続けて上の方を2ヶ所ほどライトで照らしてくれたけど、どっちも天井を照らしていて高さが5m以上ありそうでどうやっても手が届かない場所だった。
聞こえてくる風洞音らしき音をたどり瓦礫の隙間を見ていると小さなグリーンのライトが等間隔点滅しているのが見えた。
たぶん手を伸ばせばなんとか届くと思うのだが…大丈夫かな?
何か生物が居てパックリ♡とか無いよな?
こんな時はテラスちゃんかレテーナに聞いたら良いのだろうが、今の俺の出力ではどっちにも自分から声が届けられない。ちなみにテラスちゃんに心話を繋ぐ為にはレテーナにお願いしてテラスちゃんから繋げてもらわなければムリだった。
あっそうだ、スマホにはライト機能があったな♪
ほとんど使う事が無かったから忘れてたけど確かカメラ機能のフラッシュライトが通常ライトとして使えるアプリがあったはず。
とりあえずインベントリを開いてスマホを脳内収納から取り出したらあの音楽が鳴った。
『~~僕らの常識♪非常識♪フワッ♡フゥワッ♡』
「どうしたキヨシ?!やっぱりおかしくなったのか?!もうダメなのか?!」
本当に失礼な奴だなマルセル君って。
「物を取り出しただけだ!俺はまともだ!」
「異常な奴もそう言うからな!」
本当に失礼極まりない奴だなマルセル君って。
とりあえず今は奴を無視しておいて、後でがっつりと仕返すとしよう。
ライトアプリを起動すると白い光で足元が照らされた。
瓦礫の隙間からライトで照らすと砂に埋もれる状態で四角い何かの表面でグリーンライトが光ってるのが確認できた。
特に妙な生物とかは確認できない。
ゆっくりと腕を肩の辺りまで隙間に差し入れ手探りで確認してみると、角を丸めた四角い何かの一部らしき形状のあきらかに瓦礫とは違う材質の何かがある。
指で揺すってみてもあまり大きく動かないのでそこそこ大きな何かがそこに埋まってるのが分かるのだが、さすがにこれを俺だけで引っ張り出すのは無理っぽい。
こうなったらマルセル君に手伝わせるしかないのだがあいつ普通に言っても来ないよな…よっし、こうなったら♪
「なぁマルセル君!ちょっとこっちに来て手伝ってくれないか?」
「イヤだって言ったろ?!俺はお前がそこで死んでもそこに行く気は無い!!」
「そんな事を言って…今の話をジェシカに知られたらお前嫌われるぞ?」
「任せろ!キヨシが死んだら俺だけだ!それにキヨシが何かを言っても証言者が2人だけだ!どっちが嘘をついてるのかは他の人には分からないから大丈夫だ!」
まじでこいつゲスい事考え始めたなぁ…ジェシカとの話を1回白紙に戻した方が良い気がしてきた。
「マルセル君?君はジェシカを騙す気なのか?」
「そうじゃないな!俺はジェシカの無垢な心を信じているだけだ。まぁここにはキヨシと俺しか居ないからぶっちゃけるがまだおふリンは子供だからな♪なんとでも言いくるめる事ができる♡」
ピッ
とりあえず録音しておいた今の会話を再生してみたら、喜んで手伝ってくれる気になってくれたマルセル君だった。
「確かになぁ…見てるって言うよりも凝視してるって感じだったな。あいつのゴッドバードに対する執着はやっぱりすっごいわぁ。フベルト村で誰かが見かけたって話が出るとあいつ…うっとおしい位に見たって奴にどんな特徴の個体だったかを問い詰めてたからなぁ、そのおかげで村ではゴッドバードの話をするのにちょっとばかり忌避感を持ってる奴が多かったなぁ…」
「まぁミロスラフにしてみれば最愛の相手に関するかもしれない情報だからなぁ、二人っきりで蜜月を過ごした相手の情報だからどうしても気になるんだろうな。もしかしたらだが…マルセル君もああなっていた可能性があったわけだよな。」
「やめろよぉ、俺はこの髪形になってもう絶対にゴッドバードには近づかないって決めたんだ。おふリンもこの頭になってちょっとだけ俺を見る時に…こう…笑顔が増えたし?」
「笑顔が増えたとか誤解を招く言い方はやめろ。正直に嘲笑されたとか失笑されたって言え。」
「ちっ…それはキヨシの感想でしかないんだ。あーそうだ、キヨシお前よぉ、俺とおふリンの仲を裂くような事しやがってよぉ、何なんだよその尻尾は。」
「これはテラスちゃんが必要に迫られて実装しただけだ。俺の責任じゃない。」
「それにしてもだよ。何であんなにおふリン…くっ…うぅぅっ…」
「泣くなようっとおしぃなぁ。」
「お前俺に対する時だけ辛辣だよな。何が気に入らないんだ?」
「ソフィーの事はまったく関係ないぞ?それにジェシカがお前の後ろに隠れた事も何とも思ってないし?」
「女関係で全部が気に入らないってか?」
「違うって言ってるだろ?って言うかそろそろ音が大きくなってきたな。たぶん近いぞ。」
「あぁ、それは俺も分かってる。でも本当なんだろうな?風洞音とかって言ってたけど本当にこれって生物の出す音じゃないんだろうな?なんとなく俺にはとんでもなくでかい奴のうなり声に聞こえるんだが??」
「まぁ…そこらは見てからのお楽しみって奴だな。」
俺とマルセル君は今、マルセル君が案内してくれたサトウ村最有力候補地の悪霊が居るとか言われている地域に来て、悪霊が出している様に聞こえる音を響かせていた洞窟に入り込んで音の原因を確認している最中だったりするのだが…
そもそも音が発生するには、入り組んだ地形を風が通り過ぎる必要があり、そこそこ狭い空間が長く続く場所が必要だったりする。だから人がたどり着ける場所に有るかどうかは何とも言えない。
ただ、ここまで歩いてきてる間に連続して音がしていた訳では無いのと風の流れる方向と流れる速さが進行方向から一定なので、この先複数ヶ所に外に繋がっている穴があるのではないかと思う。
そしてその反対側の穴のどこか数ヶ所が音を発しているのではないかと思うのだが…それとその穴の在る場所は北側にあった山のそこそこ高い場所に存在しているのではないかと思われる。
理由は洞窟に入って20m程度進んだ辺りからずっとスロープ状の道が登って行ってるから。
それと、案内されたサトウ村の予定地だが、轍の深い大きな町に向かう道を右折して、舗装された道を車で時速40km程度で5分ぐらい移動した所にあった。
…そう、舗装されてたんだ。
道の素材はアスファルトではなく、規格化された黒っぽい石の様なタイル状の物を敷き詰めた感じで作られていた。
そして道幅は軽自動車を走らせるのにちょうど良い幅の双方向道路であきらかに人の手が入ってると思われる場所だった。
そして道を軽自動車で走りたどり着いた場所には何も建物などは無く、見渡す限りの草原が広がっていた。
地理的には北西方面に高い山が在り、東側にそこそこ広くて深い川が在る場所。
そしてそんな山にほど近い辺りに在った音のする洞窟って言うのが、あのテラスちゃんの住処に繋がっていた洞窟に良く似た感じだった。
中を歩いてみて最初に感じたのは、放置されてけっこうな時間が経っている?だった。
砂みたいな粒状の物質で隅の辺りが埋まっているのと、亀裂が入っていて崩れそうになっている場所も複数箇所あった。
そして、スロープ状になった坂を延々登って来ているとマルセル君もさすがに慣れてきたのか雑談を振ってきたので相手していたのだが…
オォオォォォォ…ゴボボボボボ…ゴォオォォォォォ…
そろそろ洞窟を歩き始めて20分ぐらいか?たまに音の感じが変わって聞こえだしたんだよなぁ。
…これってもしかしたら本当に何か生物が出してる音だったりするのだろうか?
マルセル君がしきりに俺の方を見て『本当に大丈夫なんだろうな?』って顔をしてるが…
「何ヶ所かで音が発生してるんじゃないか?まぁここまで分岐点は無かったから大丈夫だろ?最悪この洞窟を崩してしまえば何かが居たとしても下りて来れないだろ?」
「…俺さぁ…昔、村のばあちゃん達の話してくれた話でさぁ、早く寝ない子はフェノムが攫って行くって話が怖かったんだよなぁ…」
「それはあれだ、今からフィーバータイム♡だから子供はさっさと寝ろってアレだろ?」
「一応俺の死んだばあちゃんもその話をしてたんだ。やめろ、ナマナマしい話は。」
「でもお前もそんな反応をしてるって事はもう理解してるんだろ?」
「…まぁなぁ。」
雑談をしながらも歩いていると壁と床の在り様が大きく変わった。
「ここから先は崩落してる様だな。どうする?キヨシのそれで照らしても奥の壁が見えないな。」
それまでの道は男2人が余裕を持って並んで歩く事が出来る程度の幅があり、路面も整地された感じだったのだが、大きな瓦礫の積み重なったかなり広い空洞が目の前に広がっていた。
空間自体がかなり奥まで広がっているらしく、持って来ていた非常灯ライトでは奥の方が見渡せない。
「さすがにこんな暗闇では確認できないな。とりあえずここまでは一本道だったし冷たい感じの空気が下って行ってるみたいだからこの辺りにドアでも付けて風の流れを止めたら音もそこまで響かないと思うぞ?」
俺とマルセル君が話をしてる間もずっと風洞音らしき音が聞こえていたのだが、少しだけ違和感があった。
「なぁマルセル君、電話から聞こえてくる音と自然発生してる音の差って分かるか?」
「その電話が分からないからまったく分からないな。それは何だ?」
「遠くの人と話をするための機械だな。」
「…村には無いが…確かでかい街にはそんな機械があるとかって誰かが言ってたな。」
大正時代から昭和初期の頃の電話が普及しはじめた頃の人の感想みたいな言い方だな。
「まぁ説明するが、そんな機械を使って話をすると高い音と低い音が通信で送れなくて少し違う感じに聞こえるんだが…この今聞こえてる音がそんな感じに聞こえるんだけど…なぁマルセル君って音の発してる方向って分かる?」
「まぁ…少しは分かるが…でも俺は怖いから行かないぞ?」
「お前ジェシカが居ない所ではヘタレになるな。」
「キヨシにいいところを見せたら何かが変わるのか?おふリンが俺の事をもっと好きになってくれるのか?ならないなら俺にはそんな事をする必要が無いな。」
こいつソフトモヒカンになってから何かが吹っ切れたみたいだな。
「確認は俺がするから音のする方向を教えてくれ。」
「お前が死んだら俺おふリンと結婚できなくならないか?」
「そう思うならお前が行ってこいよ?!」
「やだよ!まだおふリンと子供も作ってないのに!!」
少しの間言い争っていたが、マルセル君はやっぱり怖いらしく、確認には絶対に行きたくないと言い続けたので俺が1人で行く事になった。
「たぶんあの辺りだな。」
マルセル君が非常灯ライトで洞窟の進行方向から少し左にずれた辺りを照らしてくれた。
「俺の足元をうまく照らしてくれよ。」
「任せろ♪もしお前が死んでもおふリンの事は俺が何とかするから安心してくれ♡」
「なんも安心できねぇよ。」
俺はマルセル君の照らす光を頼りに瓦礫の山を音が聞こえている場所に向かって歩いて移動していた。
聞こえる音はだんだんと明瞭になってきてスピーカーから聞こえている様な音が聞こえ始めた。
「マルセル君!ここか?」
「たぶんそこらだ!今キヨシが居る辺りから聞こえてくる!他にはここと…ここらだ!」
最初に俺の居る場所を照らして、その後に続けて上の方を2ヶ所ほどライトで照らしてくれたけど、どっちも天井を照らしていて高さが5m以上ありそうでどうやっても手が届かない場所だった。
聞こえてくる風洞音らしき音をたどり瓦礫の隙間を見ていると小さなグリーンのライトが等間隔点滅しているのが見えた。
たぶん手を伸ばせばなんとか届くと思うのだが…大丈夫かな?
何か生物が居てパックリ♡とか無いよな?
こんな時はテラスちゃんかレテーナに聞いたら良いのだろうが、今の俺の出力ではどっちにも自分から声が届けられない。ちなみにテラスちゃんに心話を繋ぐ為にはレテーナにお願いしてテラスちゃんから繋げてもらわなければムリだった。
あっそうだ、スマホにはライト機能があったな♪
ほとんど使う事が無かったから忘れてたけど確かカメラ機能のフラッシュライトが通常ライトとして使えるアプリがあったはず。
とりあえずインベントリを開いてスマホを脳内収納から取り出したらあの音楽が鳴った。
『~~僕らの常識♪非常識♪フワッ♡フゥワッ♡』
「どうしたキヨシ?!やっぱりおかしくなったのか?!もうダメなのか?!」
本当に失礼な奴だなマルセル君って。
「物を取り出しただけだ!俺はまともだ!」
「異常な奴もそう言うからな!」
本当に失礼極まりない奴だなマルセル君って。
とりあえず今は奴を無視しておいて、後でがっつりと仕返すとしよう。
ライトアプリを起動すると白い光で足元が照らされた。
瓦礫の隙間からライトで照らすと砂に埋もれる状態で四角い何かの表面でグリーンライトが光ってるのが確認できた。
特に妙な生物とかは確認できない。
ゆっくりと腕を肩の辺りまで隙間に差し入れ手探りで確認してみると、角を丸めた四角い何かの一部らしき形状のあきらかに瓦礫とは違う材質の何かがある。
指で揺すってみてもあまり大きく動かないのでそこそこ大きな何かがそこに埋まってるのが分かるのだが、さすがにこれを俺だけで引っ張り出すのは無理っぽい。
こうなったらマルセル君に手伝わせるしかないのだがあいつ普通に言っても来ないよな…よっし、こうなったら♪
「なぁマルセル君!ちょっとこっちに来て手伝ってくれないか?」
「イヤだって言ったろ?!俺はお前がそこで死んでもそこに行く気は無い!!」
「そんな事を言って…今の話をジェシカに知られたらお前嫌われるぞ?」
「任せろ!キヨシが死んだら俺だけだ!それにキヨシが何かを言っても証言者が2人だけだ!どっちが嘘をついてるのかは他の人には分からないから大丈夫だ!」
まじでこいつゲスい事考え始めたなぁ…ジェシカとの話を1回白紙に戻した方が良い気がしてきた。
「マルセル君?君はジェシカを騙す気なのか?」
「そうじゃないな!俺はジェシカの無垢な心を信じているだけだ。まぁここにはキヨシと俺しか居ないからぶっちゃけるがまだおふリンは子供だからな♪なんとでも言いくるめる事ができる♡」
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