楽園・ゲーム

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第五章 追跡?

139 君がつかさ?1/3

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光の勢いが少し治まってきた。

眉間に赤く光る石が押し付けられている状態では眩し過ぎて何も見えなかった。
石を押し付けられてから…体感で10秒ぐらいの時間が経過した頃になってやっと赤色以外の色が見え始めた。


「…なぁメル…お前その姿って…」
「んっ?何??」
メルが俺の額に赤い石を押し付けているのだが…
「お前いつもの服…いつ脱いだの?」
「はぁ!?………はっ?着てるジャン…脱いだってどういう意味?」
メルは俺の声を聞いてすぐに自分の体を見て首を背中側を見る感じに肩越しに何とか見ようとして俺の目の前で2回ほど回って止まり、腰に両手を当ててちょっとだけ『イラッ!』としてそうな顔で睨んできた。
「…あぁ、悪い。目の前に強い光があると視界が幻惑されて見えてる物が見えない状態になる事があるんだけど、もしかしたらそんな状態になっていたのかもしれない。」
俺にはメルが2回転する間にメルの全裸を隈なく見れたのだが…

「なるほど…背中はそんな感じになってたのか…」
「…ねぇキヨシ?さっきから何言って…あれっ?キヨシ…今…んっ?…その服着てたっけ?」
「服…?」
自分を見下ろすと、ジェシカと一緒にお風呂に入って体を拭いてもらってジェシカに『もうっキヨシはいつまでたってもコドモなんだから♡ほらこっちの足を上げて♡』とか言われながら全身着せてもらった服が見えるけど…?
「なぁ…メル、お前には俺の着てる服って何に見えてるの?ちなみに俺にはメルが肌色率83%って感じのちょっと他人様の前に出るのが憚られる感じの姿に見えてるけど?」
「はぁ??肌色率83%って???…えっ?」
メルは俺から見て首を90度近く右に回して自分の羽根の色が真っ白なのを目視で確認してる。

「…ねぇキヨシ?」
「…なんだいメルばあさん?」
「…ばあさんって言った事は後で後悔させるとして、さっき言った肌色率ってこの羽根の色も考慮されてる?」
ちなみにメルの背中の羽根はメルの体全体を覆えるぐらいの大きさなので、最大に開くと1m程度の幅の鳥の翼の様な形状になる。そしてこいつは翼で揚力を発生させてる訳では無いみたいなので、狭い場所に入る時は翼を折り畳んだ状態のまま空中を浮遊して移動する。

…この翼って何の為にあるんだろ?

「あ、悪いそんなに睨むなよ。ちょっと考えてただけだろ?えーっとメルのさっきの問いに対する俺の答えは『否』だ。」
翼の白色を考慮するなら肌色率はざっくり50%程度になる。背中の翼のある間の辺りも羽毛らしき真っ白の羽が生えてるから、もっと詳しく確認したら肌色率は45%ぐらいまで減るかも?

「17%が肌色って事じゃなくて、17%が肌色じゃないって事をキヨシは言ったんだよね?」
「まぁ、単純な引き算だからさすがにそれであってるんじゃないか?ちなみにもう少し詳しく言うなら、俺にはメルが翼と頭を除いてほぼ全ての場所が肌色に見えてるよ。」
ちなみにメルの頭の毛はテラスちゃんとあっちのレテーナ同様金髪なので、下半身つるつる状態なのを考慮すると大体その程度の肌色率になると思われるのだが…あっ、メルがやっと俺の言ってる事の意味に気付いた様だな。
「ねぇ…キヨシってやっぱりボクの体も楽しむ気なんでしょ?とりあえず怒らないから正直な所を言ってみて?」

…女が言うこの言葉は絶対嘘だ。『本当の事を言ったら怒るけど、もう一言言ってもらったら気持ち良く大爆発できるから早く言って』って意味だから対女性経験値をそこまで稼げて無い諸君は騙されない様に気をつけるんだぞ?

「メルの体は幼児体形でとってもロリーンでヴィヴィッドでワンダホ~でアイダホ~でマーベラスだぞ?」
「ねぇ…褒めてる?」
「フッ…当たり前だろ?」
「フフッ♡…まぁそれなら良いけど…♡」
ふっ…チョロイ奴だな♡

「で?メルには俺の服はどんな感じに見えてるんだ?イテテ…」
とりあえず俺が目の辺りをグーで一発殴られてから話が再開した。
最後に少しだけ笑ったのが失敗だったんだろうなぁ…

「ボクにはキヨシの服は最初に会った時に着てたチョコが入ってた服に見えてる。だから頭を動かすなって言ってるだろ!」
メルは俺の肩にひざ立ちみたいな感じに乗って俺の視界から完全に消えた。
「俺にはメルの服が消えて見えて、メルには俺の服がスーツ姿になって見えてる…でもお互い自分の姿はさっきまでと変わってない。」
「そうだね。そして自分には自分の着てる服の感触しか感じられない。」
メルは最初、俺に肩車状態で乗って後頭部に全身で抱き付いて俺の視界から消えたのだが、少しお互いの見え方とかを話してたら、急にひざ立ちに移行して、腕以外の場所が後頭部に当たらない様に乗りなおしてしまった。
…やっぱり僧帽筋をメルの股を広げさせる様な感じに『フンッ!!』って感じに力を入れ続けていたのが失敗だったのかもしれないな。もう少し胸鎖乳突筋を使ってコネコネしながらじっくり股を開かせた方が正解だった様だ。

メルの体の触感アプローチは今はこの程度で善しとしておくとしよう。
今問題なのは、お互いの服の見え方の違いでは無く、今…俺とメルが居るこの場所の方だ。

「なぁメル、ここってどこだと思う?俺には霧に包まれた森の中って感じに見えるけど、お前にはどう見えてる?」
「…キヨシにはそんな感じに見えてるんだ…ボクには荒廃した大都市って感じに見えてるよ。そこら中に壊れたビルが見える…」
これは…なんでこうもお互いに見えてる物がここまで違うのか…?
「なぁメル…1個聞いてもいいかな?」
「…何?」
「俺達って元の世界に戻れるよな?」
「…たぶん?」
「なぁメル…そこは可能性が限りなく0に近かったとしても『絶対帰れるよ!』ぐらい言えって。」
「…そうだね。絶対帰れる…と思うよ?そしてボクはテラス様にまた怒られるんだよね…グズッ…ボクもうあの説教地獄はヤダ…ズズッ…」
泣くほどイヤだったのかぁ…可哀相に…

って言うかメルの中ではここから戻るにはテラスちゃんの力が必要って考えてるみたいだが…でもあの赤い石を用意したのはテラスちゃんじゃなくて、たぶん今現在消されて居なかった事になってる俺だよな。
元々のあの赤い石の使用方法に関してはまた違う方法があったのかもしれないが、それでも元の世界に戻った消された俺が連絡を取れる状態にする為…かどうかは分からないとしても、その様に使える物を用意したはずなので、この状態がイレギュラーな状態と言う訳ではないなら、戻れる方法は有りそうなものなのだが…

「まぁほら、メル、そんなに怒られる事ばかり考えててもしょうがないからもう少しだけ歩いて見て回ってみるぞ。」
「ズズッ…ハァー…まぁそれはイイけど…でもどこに行くの?」
心細くなったのかメルが俺に肩車状態に座りなおして頭に抱きついてきた♡
「そうだな。とりあえず道らしき感じにこっちに草の生えてない場所が続いてるからこっちに行ってみたら良いんじゃないか?メルにはどう見えてる?」
「ボクには崩れそうなビルに挟まれたアスファルトの道路がずっと続いてる様に見えるよ。」
「とりあえずメル、楽しんだ事は謝るから離れずに一緒にいてね?」
「…しょうがないから一緒にいてあげるよ。でもあんまり首の筋を動かさないでね?」
一応双方1人だけでこんな場所に放り出されなくて本当に良かったとの本心を隠したまま一緒に移動を開始した。

「ここでは俺のインベントリは開けないんだなな。」
霧が濃いだけで明るさが足らない訳ではないけど、一応光があった方が心細くないかもしれないと思い、ライトを取り出そうと思ってインベントリを意識したらいつもの様なリストが脳内に現れなかった。
「そうなんだ…なるほど…それならここってテラス様のサーバーエリアから離れている場所かもしれないね。」
「サーバーって…なぁ、メルにとってはテラスちゃんの居る場所って俺の知識で言うとパソコンみたいな感じにネットワークで繋がってる感じなのか?」
俺の知ってる言語を元にしてメルに日本語をインストールされてるって言う事はそういう事だよな?
「…まぁそんな感じかな。世界構築はテラス様の居られるメインサーバーでされてるけど各集落に関してはクラスタサーバーで各自適切に管理されてるはずだからね。」
「やっぱり世界構築とかって話になるとデータ量はまったく違うとしても俺達の世界と似た様なネットワーク網で処理を分散する様なシステム構築をするんだなぁ…」
「…ボクもそこまで詳しい訳じゃないからそれ以上は聞かれても良く分からないけどね。」

そっかぁ…メルはこれ以上は言えないって釘を刺してきたんだな。了解。
とりあえずメルの足を持ってる手に2回ほど少しだけ力を入れて了承の意思を示しておいたら胸の辺りをかかとで2回蹴られた♡

でも…意識的か無意識かは置いておくとしても、今回はけっこう大きく口を滑らせてくれたな。
クラスタサーバーで集落が管理されていてメインサーバーはテラスちゃんの居る所ね。

「おっ?ここは?」
さっきまで目の前5m程度の範囲しか霧に霞んで見えなかったのに、急に目の前が開けて森の中の村の様な場所が現れた。
「ここはボクには森の中に木の家が何軒も建ってるのが見えるけどキヨシにはどう見えてるの?」
「俺にも同じ様な感じに見えてるな。」
ここに来るまでの俺とメルのお互いに見えていた姿と景色とインベントリの事を元にして考えるならば…
俺とメルとこの場所のデータの処理がそれぞれ別の場所で行なわれているって事だよな。
メルに見える俺の姿に関してはメルが良く知ってる姿を使ってる…メルのサーバーに残っていた情報をメルに見せていると考えられる。そしてここに来るまでの道のイメージに関しても知らない場所に来ているといったイメージとメルの知識の中での誰も居ない場所のイメージがそこに使われた…まぁほら、パソコンのネットワークでの振る舞いを元にすればそんな処理が行なわれているとか考えられるって感じ?

さすがにテラスちゃんの遊んでる楽園エデンゲームが俺の世界のパソコンそのままのシステムで動いていて、まったく同じ様に処理されているとは…さすがに思えないんだけど…でも…そんなものなのかな?

そう言えば自称科学者の人が面白い事を言ってた記事がずいぶん前に目に付いた事があったな。
「この世界は全てがとてつもないコンピューター上でシミュレートされた世界だ!」って。
確か『シミュレーテッドリアリティ』って概念が存在していたと思う。

たしかその自称科学者さんは、『自分が主人公のゲームをやりすぎたんだろうな』って言われて笑われていたけど…
そもそもそんな事はあり得ないって事は少し実験すれば分かるはずなんだ。
現実世界には人の頭の処理を何倍も超えて計算出来るスーパーコンピューターが存在するのだから、そいつを使って…でもそうか、今の『シミュレーテッドリアリティ』が一般的認識では有り得ないって言われているのは、地球上のスパコンの処理を基準にしてるからか…もし、スパコンの数億倍数兆倍の処理能力を持ったそんな装置みたいなモノが存在するなら現実世界が『シミュレーテッドリアリティ』だったとしても無理は無いって事…?

まぁ何にしても『シミュレーテッドリアリティ』の世界ではその自称科学者が主人公になってその他の存在がおまけみたいな感じなんだろうから、俺とかその他の人は単なるデータでしか無いって訳だ。
ニナとかソフィーとかジェシカやフィラーネさんタマーラちゃんがそんなデータとは…俺にはさすがに思えない。
あの柔らかさとお互いを求める気持ちとか感情とか…体を重ねたら誰でも理解できると思うが、抱き付かれて『大好き』を体で感じさせられたらそれが間違いだって誰でも気付くはず。

俺はどうでも良さそうな事をつらつらと考えながら森の中の村に足を踏み入れた。
「メルには誰か人っぽい何かが見えるか?」
「…とりあえず今の所は何も見えない。」
村の中に入ると俺の視界にずっと漂っていた霧が一気に消えて視界が広がった。
「おー…なんとなくだが…フベルト村みたいな感じだな。」
「そうなの?」
「あぁ、『始まりの庭』から村に入った辺りに良く似てる気がする。」
正面に村の中心になる広場が見えていて、その奥の方に水車小屋と川とその奥に麦か何かが生えている畑のような場所が広がってるのが見えた。

「とりあえず家の中も確認してみるか。」
「…そうだね。」
メルにも視界が広がって見えたのかやっと俺の肩から降りて空中をフワフワと飛んで移動し始めた。

「何か変な物を見つけたらすぐに呼んでくれな。」
「は~い。」
俺とメルはそれぞれ近くにある家のドアを開けて中を調べ始めた。
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