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第3章 岡山県2

02 4人でお泊り♡

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「これじゃぁ何も作れないね。陽菜さんお金ってある?」
「そうねぇ…桐生さんに渡されてたのなら20万ぐらいはあるけどこれって勝手に使ってもいいのかな?」
「慰謝料にもらっておいたらいいんじゃない?私も一応同じぐらい渡されてるけど最近お菓子とか買ってるよ」
「どうせあいつって今頃人工肛門になってるはずだからたぶん1年ぐらいは人の居る所に出て来ないと思うよ。出歩くにしても汚物袋を持ち歩く感じになるはずだから、まともにケンカとか無理だし」
「外で見かけたらカンチョーとかしてやろうと思ってたんだけどしたらまずい?」
「んー処置の方法によるけど…そんな事したら運が悪ければそいつそのまま救急車で病院に送られるかもしれないわ。そうなったら警察に職質されるんじゃないかな?」
「カンチョーしただけで職質とかやだなぁ…なんかめんどくさそうね、やめておくわ」
「それがよさそうね」
「なぁ、君らはご飯の話をしてたんじゃないの?」

俺は話が脱線しまくる3人を近くで見ていたんだけど、さすがに桐生さんが哀れになってきた。
「そうだった。それでどうする?買い物に行ってここに戻ってから何か作る?調味料とかも買ってくる事になるからけっこうな量になると思うけど?」
「あるものを使うなら大丈夫だと思うけど、さすがにソフィーさんの台所を好き放題荒らすってのはまずい気がするんだよなぁ…もしあれなら俺も少しはお小遣いがあるから外で食べない?」
「えー外で食べるの?そんなの時間がもったいないと思うんだけど…」
「そうだよぉ、時間は有効活用しないともったいないよぉ…」
凜ちゃんが提案してくれたここで食事を作る話はソフィーさんがいい気がしないと思ったので、外食を提案してみたのだが陽菜さんと美咲さんには何か不満があるらしい。

「そしたら…?」
「凛は最近ずっとうちに来てたけど家って行ける?」
「あーうちは…無理だと思う。母さんとかもう私の事縁を切ってる感じに考えてると思うし…前1回帰ったら荷物も納戸にまとめられてて部屋が片付けてあったし」
「まぁ1年ぐらい帰ってなければそうなってもおかしくないわね。美咲は?」
「うちは元々放任されてたから家に入るぐらいなら特に言われないと思うけど…でも台所で料理とかしてたらさすがに何か言われると思う。ケンカぐらいなら良いけど…ちょっとめんどくさい事になるかも。たぶん陽菜の所が一番邪魔が入らないんじゃない?」
「まぁそうなるかぁ…じゃぁ博之君うちに来る?一応私は1人でマンションに住んでるから料理ぐらいは…たぶんできると思うよ?」

疑問形なのが若干気になったけど、外食をしたくない皆に無理させるのはさすがにちょっと悪い気がしたので、とりあえず陽菜さんのマンションに行く事になった。

そして俺はそのまま陽菜さんのマンションに連れて行かれたのだが…すっごい汚部屋。
玄関入って2秒ほどで我に返った。
中に入った瞬間時間が止まった様な気がしたよ。たぶん陽菜さん達ってシュタイン君にケンカが売れるね。

「ここに…陽菜さんと凜ちゃんが住んでるの?」
「そうよ。ちょっと散らかってるけどどうぞ♡」


…ちょっと?


玄関にゴミ袋が封をされた状態で山積みになってるし…廊下を歩いて移動すると開いたままのドアから見えた部屋にはカラフルな下着がいっぱいフローリングの床にそのままいっぱい…あれは置いてあったのかな?それとも落ちてた?それ以外にも洗濯物を干す洗濯バサミがいっぱい付いたアレにいっぱい干されてた…

部屋に入ってないんだけど、近くを通るだけですごくイイ匂いがした気がした♡

そして洗面所らしき処にも大きなゴミ袋が何個も置いてあって、通されたリビング…たぶんヤリ部屋として使われてそう?には巨大なベッドとテーブルとここにも大きなゴミ袋が幾つかと、壁の大きな棚の中に使い込まれてそうなグッズ類がすごい量並べて置いてあった。

気持ちよさそうな陽菜さんとか美咲さんとか凛ちゃん…他にもいろんな女の人の声がここでは何度も聞かれたんだろうなぁ~♡
部屋に居るだけでそんな気分になれる♡

「っていうかここでご飯食べるの?」
「えー♡ここでご飯になるの~♡博之君そんなに私達が食べたいのぉ~♡」
「え~私は食べられたいけど先に普通のご飯食べてからメいっぱい可愛がって欲しいなぁ~♡」
「凜は今からご飯作ってもいいけど最後意識が落ちるまで楽しませてもらうよ?」

3人とも絶対ヤル気だ。

陽菜さん分かっててここに案内してる。
ふっ…こうなったらソフィーさん直伝の女の体を快楽に沈めるテクニックを使ってやるぜい♡


なんて考えてた俺だが、2時間ほど3人に絞られまくってあっという間に疲労で落とされた♡
腹上死って言葉がチラッと頭を過った気がする♡




博之から穏やかな寝息が聞こえ始めた。
「凛、そろそろご飯作ってもいいかも」
「そうね。じゃぁあっちのヒロリンが起きたら食べられる様に何か作るね」
「いつもごめんね。私がもう少し料理出来たらいいんだけど全然習った事がなくて」
「私も料理ってまったくした事ないから何を手伝ったらいいのかも分からないからなぁ」
「別にイイヨ~だって凜は何も知らないけど私はずっと一人で生きてきたから何でもできないと生き行けなかったからね~まぁ作れるのは下町のお手軽料理ばかりなんだけどね~♪」
凜がアイランドキッチンに入って換気扇の近くに掛けてあったエプロンを身に着けて鼻歌交じりで料理を始めた。

「そう言えば凛って元々セシリアって名前だったのよね?なんだかお医者さんみたいな事もできるみたいだしけっこう年上だったりするの?」
「んー死んだ時は確か23だったかな?ちょっとあやふやな感じにしか覚えてないからアレだけど、一応ヒロリンの専属ナースをやってたの」
冷蔵庫から出した野菜をリズミカルに切りつつ答える凜。
「その辺はなんとなく知識を共有してもらえたから分かるんだけど…でもセシリアってあんな状態からよく看護師になれたね。そこはすごいって思う」
「そう?でもあんな状態って言うけどあっちでは私の生活環境ってそこまでどん底な感じじゃなかったからけっこう普通だと思うよ?」
調味料を計量スプーンで測りながら入れつつ答える凛。
「そうなんだねぇ…なんか何もしたくなくなってた自分が恥ずかしい気がする」
「私も…」
陽菜と美咲は下着を身に着けつつため息を吐いた。
「まぁでもさぁ、私は凜と陽菜さんと美咲さんにこっちの知識を共有してもらえてすごく助かったし、二人は私の知ってる知識で助かったんだからお互いにメリットがあったって感じでよかったんじゃない?」
「まぁね~♪」
「凜が大検受けるって言いだした時どうしようって思ったけどセシリアの知識がもらえたらから何とかなりそうな気がする♪」
「日本とアメリカでは知識の偏りがあったけどお互いイイ感じに記憶をサルベージできたから何もしなくても試験はパス出来ると思うよ。それにもしアレなら裏の手があるから大丈夫♡」
「あーなんかまた悪い事考えてる~♡」
「凛のその顔最近何度も見てるけどホントに悪い顔だよね~♡」
「私なんて大した事ないってば。悪い奴はいくらでも際限なく居るからね~♪」
凜がパンティー&エプロン、陽菜と美咲が下着姿でアイランドキッチンを挟んで話をしつつ料理をしていたら博之が起きた。

「あー…しんど…お前らもうちょっと手加減とか覚えろよな、ったく…」
「あっおはようヒロリン♡ごはんそろそろ出来るよ~♪」
「チッ…完全に幼な妻ムーブじゃん…」
「私も若奥様ムーブとかしてみたいなぁ…」
「お前らは料理を覚えてからな。間違っても妙なものを食わすなよ」
「「はーい♡」」
「料理出来る様になるまでは食材として頑張るもん♡」
「私も調味料としてがんばりゅぅ~~♡」
「腹減ってるからお前ら食うのは後」
「「は~い♡」」


アイランドキッチンのあっちにパンティーだけの凛が立ったまま居て、こっちには全裸の博之と下着姿の陽菜と美咲が座る。
「とりあえず食いながらでいいから聞け」
「「「はーい」」」
凜が背の高い細い折り畳みイスを引っ張り出してきてカウンターの所でチンしたご飯を開けて配る。
「実はな、お前らにとりあえず頼みがあってな」
「はい!1番は私がする!3ヶ所使って!」
「「あっ!」」
「いつも陽菜ばっかり!」
「今日は凛の番じゃないの?!」
「違うでしょ?私の番よ!」
「うるせぇよ!誰がセックスの順番を聞いたよ?!まずは聞けって言ったろ!!」
「セックスじゃないの?」
「「じゃぁなに?」」
「あっ、お醤油とって」
「はーい私は岩塩おねがい」
「2人ともそんなに調味料追加しないと食べられないの?さすがに味の濃いモノ食べ過ぎよ、もうちょっと食生活考えなさいよ」

こいつらセックス以外には全く興味も何も無いのな…
「…とりあえずお前らにお願いって言うのはな、俺、ちょいとばかりあっちに戻ってこようと思うんだ。だからその間ソフィーに気付かれない様にこの体をうまく守ってくれ」
「あっちに帰るの?それって凜の魂を連れていく為?」
凜が聞いてきた。
「違う。凜はまだ連れて行かない。とりあえず俺が戻るまでは誰かに預けて行く事になる。本当なら俺から離すなら元の体が一番定着しやすいから凜の体がいいが、セシリアが体を動かしずらくなると思う。それと陽菜と美咲はずっと近くに居たから体に入ったらそのまま出て来れなくなるかもしれねぇ。ついでに言うと預けた元の体の奴は凛の干渉を受けて少しぐらいは分裂症気味になるかもしれない。って訳で誰か勝手の良さそうな奴に預けて行きたいと思ってるが誰かおすすめとかいるか?」

3人はお互いに視線を向けつつ少しの間静かにしていたが、ためらう感じに話し始めた。
「おすすめ…やっぱり女の方が良いの?」
「まぁそうだな。魂ってのは体の在り様に引きずられるからできれば女か女っぽい奴が良いな」
「オトコノコ属性をもった凛とかちょっと見てみたい気がするけど…♡」
「やめなってば、凛がこっちでまた活動する時に絶対に文句言われるよ」
「んーそれなら…緑とか?」
「あーそうね。緑なら別にどうなってもいいんじゃない?」
「あいつならまぁ少しぐらい変になっても気にならないわね」
「他だと誰かいる?」
「そうねぇ…」

緑?

「なぁその緑って桐生のクラスの女?」
「確かそう。室井 緑って子。私あの子大っ嫌い」
「私も」
「凛も」
すごく嫌われてんなぁ…
「まぁなんで嫌われてるかは今はいい。緑ならいいのか?」
「そうね。一応あの子ならここにも何度も来てるし」
「連絡したらすぐに来る事が出来るから博之さんが戻ったらすぐに凜を回収できるよ」
「そう言えばあいつも祥子も桐生に使われてたって言ってたな」

「まぁ…使われてた。…他の人達にはそう見えていたかもしれないわね。でも、祥子と緑は全く違うわ」
「祥子は私らの側だけど緑は違う」
「お前らの側って言うのは桐生の被害者って意味か?それで緑が違うってのは?」

3人からなんとなくできれば言いたくないけど…みたいな感情が見える気がする。
「…言っても大丈夫かな?」
「ヒロリンならなんとでも出来るでしょ?」
「まぁそうかな。…えっとね、緑って祥子なんかには自分も被害者だから一緒みたいに言ってるみたいだけど、あいつ桐生を使う側だったの。あの子の親ってここらの昔からのヤクザの幹部みたいでね、でもその事は学校とかではナイショにしてるみたいなの」
「ふーん、あいつそんな家の子なの?知らなかったなぁ」

凜が冷蔵庫からペットボトルのお茶を出してグラスに入れて全員に配ってくれた。
「私らも最初は知らなかったんだけどね、前に街で私と美咲が遊んでた時に桐生さんが緑と一緒にタクシーから出て建物に入るのを見かけたのね。最初はまたどこかの悪い奴の所に緑を連れて行って体を売らせるんだろうなぁなんて思ってたんだけど…」
陽菜が美咲に視線で合図を送った。
「その時入って行ったビルっていうのが、これは後で分かったんだけど緑の親の所有物だったのね」
遊んでいた時に見かけたって事は繁華街のビルだろう。
「ふーん。ちなみにそのビルってどんな店が入ってるの?」
「表向きは飲み屋さんとかだけど上の方は組事務所になっててヤバイ店があるって噂がある所」
「ズブズブに資金源になってそう。日本もギャングとかマフィアのやる事って変わんないね」
「なるほど。確かに桐生にオモチャにされてるって感じじゃなさそうだな。そしたらあいつが言ってた自分と祥子が桐生に無茶させられたって話は嘘だった訳か」
「桐生さんがここらのバカ連中のトップだったとしても本物のヤクザに楯突く様な事をしたらあっという間に処分されちゃうわ」
まぁそうだろうな。イキってるだけの子供とそんな界隈で自分のシマを持ってる奴じゃぁ、危険度は全く違うはずだ。
あの時潰したのが10人ぐらいか、あの時来たのが半分ぐらいだったとしても全部で20人ぐらいの集団。
そんなのでマジもんのヤクザの上に立つとかどうやっても無理だよな。

だとすれば陽菜達の言ってる事も間違ってないって事か…


「よっし、明日にでも緑を呼び出してチョイお前らの資金源を作ってから戻るか。それで、この体の事を頼みたいんだけど…」
「ハイハイ!私が専任でお世話する!!!」
「だから今度は凛だってば!」
「そうじゃないでしょ?!今度も何も私の番だってさっきから言ってるでしょ?!」
「ダーメー!ここは私のマンションなの!凜は後!家主の言う事は聞きなさい!」
「何が家主よ!ご飯は私が作ってるから私の方が家主よりも上よ!」
「ねぇ博之さん♡私を選んでくれたらもっと気持ちよくしてあげるわよぉ~♡」
「ちょっと美咲!」「美咲さん?!」

その後少しの間女3人の言い争いは続いた。
ちなみに凛の作った薄切りハムとスクランブルエッグ入り簡単野菜炒めとレンチンご飯はすきっ腹にそこそこ美味しく感じられた。
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