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第5章 昔の事を少しだけ

05 大学に行きたくないなぁ…

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俺は少し前に大好きだった人と別れた。
別れ話を切り出された時…『やっぱり…』って思ったんだ。

…少しだけそんな予感はしていた。

でも…本当に別れると…何もやる気が無くなるんだな。
好きな人と別れて自殺する人を、少し前までは軟弱な奴とか思ってたけど…あれは本気で人を好きになった事のない奴の考えでしかなかったみたいだ。

ははっ…本気で好きな人とか言葉が頭の中に浮かぶだけで涙が溢れてくるし…
俺ってあの人の事をこんなに好きだったんだなぁ…

俺はあれからベッドに寝転んで天井をずっと見てる。
後は…トイレに行ってついでに水を飲んで…少しの間そんな事しかしてない…かも。


凜がごはんだよって呼んでる…いつからご飯…食べてなかったのかなぁ…

ドアが開いた音がした。

「ヒロリン今日は食べられそう?」
「何も食べたくない。ゴメンね凛」
俺は顔を見られたくなくてドアに背中を向ける様に寝返りを打った。

「そうなの?…ん。分かった。じゃぁ何か食べたくなったら言ってね。一応冷蔵庫に何か食べられそうなものは入れておくから」
「…ありがと。凛」
「ん…」

部屋のドアが閉まり視界が真っ暗になった。

いつから食べてないかなぁ…窓もずっと締め切ってるしスマホは壊れ……壊した…か…
叩きつけたスマホが壊れる映像が頭の中に鮮やかな色合いで思い出されてまた涙が溢れてくる。


俺何のために大学に入ったんだろうなぁ…勉強は…まぁそこまでしてないけど…でも志望校の試験前1週間ぐらいはけっこう陽菜さんと美咲さんと凛と4人で裸になって勉強したんだけど…

俺は真面目に勉強しようと思ってたんだけど…なぜか凜が『人が何かを覚える時は、外部からの刺激と共に覚える方がいいんだよ♡』なんて言い出してスマホを見せて何かの論文みたいなのを読まされたんだ。

確かにその論文には何かの外部からの刺激と共に記憶しようと思った文言はそれだけを視界に入れるよりも早く記憶出来て忘れにくいと書いてあった。
一応英語で書かれた論文みたいだったので嘘じゃないとは思う。
でも…テーブルに着いて椅子に座ってフェラチオされながら数学の問題を解く事がそれほど意味があるとは思えなかったんだけど…あったのかなぁ?

少しの間どうでも良い事を考えていたらドアが開け閉めされる音が何度か聞こえてきて、耳が痛いほどの静寂を感じた。
目を開けて机の上に置いてあるデジタル時計を見るとAM1:17の表示が見えた。

腹は…減ってるのか……よく分からない。
たぶん…少しの間食べてないから減ってると思うんだけど…

少しだけ喉の渇きを感じた俺は部屋から出て、台所に行き冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを取り出して飲んだ。
冷蔵庫にはラップのかかった皿とサラダが盛られた小さなガラスの入れ物が置いてあった。

そして、1枚のカードがラップの上に置いてあった。

『おやすみ。また明日もおいしいごはんを作るから元気が出たら顔見せてね♡凛』
『もう3日エッチしてないよぉ…体がホテルになっちゃうよぉ♡そろそろ夜這いに行くかも?陽菜』
『そろそろデートに行こう♡外でエッチな事をしたら元気になるよ♡美咲』
『私もエッチな事ぐらいいつでもできるんだからね?凛』
『知ってますぅ~♪陽菜』
『あんたがエッチな事大好きなのはみんな知ってますぅ~~♪美咲』

『元気になってね♡』

読んでたらちょっと涙が溢れそうになった。
まずいなぁ…このままだと3人にも嫌われそうだな。

ふとした瞬間にソフィーさんの事を思い出すのを、完全に無視する事が出来ないのはもうここ数日の間に分かった。
何も考えない様にしていても脳裏にソフィーさんと過ごした毎日のふとした瞬間の映像が思い出されてしまい、『あの時言った大好きの言葉は嘘だったのか?』とか『あの時キスしながら来年もこうして一緒に新年を迎えられたらいいね』なんて言ってくれたのは何だったんだ?なんて考えてしまう。

思い出すのを止められないって言うなら…それなら考えられなくなればいい。
一番簡単なのは体を動かす事。もしくは睡眠薬などで強制的に意識を落とすか…
なんかよく分からないけど凛って薬の事に関してすごく詳しいみたいだから聞いてみるのもありかもだけど、でも、できるならば薬なんかに頼らず回復して、3人を安心させたい。

よっし、とりあえず走ってみるか。

俺は特に深く考えずに部屋着に使っていた高校の頃のジャージを穿き、さすがに高校の名前が刺繍された上のジャージは着辛かったので、ちょっと寒そうとは思ったけど、半袖のTシャツ姿でスニーカーを履き、静かに部屋から出た。

エレベーターを使い1階に行くと、マンションの正面の道はほとんど車通りも無く街灯が点いてるだけで昼間と全く違っていた。
「とりあえず川沿いに走ってみればいいか」
俺はその時の気分でマンションのすぐ裏を流れる神田川を上流方向に向かって走り出した。

路面電車の線路に並走していて少し川の傍から離れた感じがしたので川沿いの遊歩道に移動して走っていると暗渠と川が合流する場所が見えてきた。
「やっぱりあっちの川と違って全部コンクリートで覆われてるのなぁ…」
そのまま無理しない程度の速さで走っていると枯れた木が多く見えてきた。公園か何かがあるのかな?

そう言えば去年ぐらいから世界中で植物が枯れてるとかって何かで見た気がする。
これも地球の温暖化が原因なのかね?

そもそも今現在の地球は小氷河期が終わろうとしているからほっといても地球の温度は上昇するはずなんだけど、人の行動による保温効果のあるガスの排出による温暖化が、どの程度の割合で関係してるかって話はどこにも出てないけど…
なんでそんな誰でも知ってる事を考慮せずに、電気をたくさん使うまだ使える電化製品を捨てて新しい製品を買えって言えるんだろうなぁ…作るのにかかる二酸化炭素の量って騙されて買う人ってまったく考えた事も無いんだろうなぁ…

確か妙な子供が二酸化炭素排出がどうとかって会議で何か言う為に、大人を何人も飛行機で移動させて安全を確保してから、作るのにすごく沢山の二酸化炭素を出したハイテクヨットで大西洋を横断するって、頭が悪いとしか言えない様な事をしていたみたいだったけど、あのバカな子供が自分だけで飛行機で行けば確実に減らせた二酸化炭素がこの温暖化に影響してるのかねぇ。

俺もハイテクヨットで優雅に移動しながらなんでも好きな物食べ放題な生活とかしてみたいなぁ…


どうでも良い事を考えつつ走ってると、公園らしき場所の入り口のすぐの所で川沿いの道が工事で通行止めになっていた。

「ハァハァ…時間は…」
とりあえず周囲を見渡してみたら、公園の中の広場にベンチが数脚とポールの上に設置されたアナログ時計があり、2時25分を少し過ぎた辺りを指していた。
確か俺がマンションを出たのは1時半過ぎぐらいだったはずなので、大体50分から1時間ほど走っていた様だ。

足も腕も特に疲労は感じてないが、心臓の拍動がかなり速く感じて若干痛い。

「俺ってもしかしたらスプリンター系の筋肉を持ってるのかなぁ…」
なんとなく自分の体には持久力が少しばかり足りない感じがする。
腹筋の辺りから下は特にどこも痛みも感じてないし、疲れも感じてないのでまだまだ走れそうなのだが、肺の辺りの辛さと心臓の拍動だけが異常なほどに速く感じられる。喉が少しだけ渇いた感じがあるが、腕にも特に痛みなどは感じない…

んー…

俺は心肺機能が弱い奴なんだな。一応あの飛行機事故では腕と顔を除いて特に大きな怪我も無かったって聞いていたけど…筋肉なんかは特にだけど、一回破壊された部分ってより強靭になって復活する様な代謝がおきるって確か何かで…何で見たのかな?参考書か何かだったか?

でも、ここで問題なのは特に鍛えてなかった脚だよなぁ…脚には特に怪我は無かったって話だったし…でも俺のアレは対人ジャストフィットサイズ形状記憶オチンチンとでも言えそうな能力を持ってるんだよなぁ…んー…脚に関してはよく分からんなぁ。
とりあえず飛行機事故で大変な目に遭った俺への神様からのギフトって事にしておこう♡
もしかしたら、地域によっては3本目の足なんて言い方をされる事のあるオチンチンだから神様も少し勘違いして俺の両足に耐久力とか筋力を追加してしまったなんて事もあるかもしれない。

あっ…今ふと思ったんだけど…もしかしたら俺の足ってオチンチンみたいに色々変形したりするんじゃないか?
オチンチンは相手の女の子とそんな感じになった時に、俺の興奮度に対応して形状変化するみたいだから…脚…どうやったら変形させられるんだ?足に関係する興奮する事ってなんだ?

少しの間地面を強く蹴ったり高くジャンプしてみたけど特に変わった感じは無いのでとりあえず足に関する考察はここらで終わらせておいた。

そしたら、俺がしなければならないのは…心臓とか肺を少しづつ破壊して細胞を強化するとかだろうか?
でも心臓って生涯拍動する回数はほとんどの生物で同じ回数程度って何かで見た覚えがあるし…あれか?肺の辺りを殴ったりしたらいいのか?

とりあえず右手をグーにしてちょっと殴ってみた。…痛いけどこれでは何も変わらない気がする…
少しばかり橋の上で妙な動作をしていたら少し遠くから小さく笑う声が聞こえてきた。

「あっ…ゴメンナサイ」
外人さん?

俺とは違ってブランド物のジャージを着てブランド物のシューズを履いた俺とそう違わない感じの年代の女性が、橋の反対側で、給水用らしきボトルのキャップ締めながらこっちを見ていた。

「どうも」
なんとなく『おっぱいでっけぇなぁ…あれは今まで吸ったことの無いサイズのおっぱいだ…』などと考えつつもチラチラと視界を横切る今までの人生で色々触ってきた近いサイズのおっぱいを手で払う。

だって…外人さんでブロンドの髪であのサイズのおっぱいを見るとどうしてもソフィーさんの事を思い出してしまうから…俺は今凜達を安心させるために体を動かしているのであって、おっぱいを見る為にここまで来たわけじゃない。
それにもしかしたら、さっきまでの地面を蹴ったりジャンプしたりしていたのも見られていたかもしれないので、あまり長いしたくなかった俺は、少しだけ立ち止まり息を整えそのまま今走ってきた道を戻って走り出した。

「アッ…もう行っちゃうの…」
後ろで小さく声が聞こえたけど、俺は聞こえなかったふりをしてそのまま走った。

帰りは40分を少し切るぐらいで走って戻れた。

そして俺はシャワーだけ浴びて、凜が作って入れておいてくれた晩御飯をレンジでチンして真夜中というか朝に近い時間に食べ、食器を洗う機械にセットして部屋に戻って寝た。


…なんとなく、昨日までよりも寝れた気がする。


そして俺は次の日陽菜さん達が起きる時間に一緒に起きて一緒にご飯を食べて、それまでの事を謝って、少しだけ無茶な感じに搾り取られて、その日は気づいたら寝ていた。
彼女達に無理やりセックスの相手をさせられるのも、変な事を考えない為の一つの答えだったみたい♡

そして1日あけて次の日から俺は夜中に毎日走る事にした。

俺が走った距離は大体10km程度で、1時間程度で走れば普通の人の平均的なタイムらしい。行きは1時間程度かかったが、帰りのタイムが40分程度だったので、どうも俺の走る速さはそこそこイイ感じらしい。
調べたサイトには10kmマラソンの大会などであれば表彰台を狙える程度の速さと書いてあった。


「んっ…?どうしたの博之君?おしっこ?」
俺がベッドから出ようとすると陽菜さんが気づいて聞いてきた。時間はPM11:30

「違うよ。ちょっと体を鍛えようかと思って走る事にしたんだ。だから陽菜さんはそのまま寝てて」
そう言って俺は自分のオチンチンを持っている陽菜さんの手を持って離そうとするが、陽菜さんが離してくれない。

「陽菜さん?」
「体を鍛えたいだけならエッチをしながらでも鍛えられるよ~♡」
「だから俺はそこを重点的に鍛えたい訳じゃなくてね?」
「大丈夫♡駅弁ファックで部屋の中を走れば足腰オチンチン腕も腰も全部鍛えられるわ♡ほーら行ってみよ~♡」
陽菜さんそう言って俺に騎乗位で乗って挿入し、そのまま俺の体を引っ張り起こした。

「さすがにこんな時間に部屋の中を走り回るなんて出来る訳ないだろ?気づいた美咲さんと凜が絶対にここに来るって。だから…♡」
対面座位でキスしながら揺すり続けたら陽菜さんが4~5回ぐらい体を震わせて満足してくれたみたいだった。幸せそうな寝顔を見つつ俺はベッドを出て走る準備をする。

時計を見ると時間はAM1:20

なんか狙った様に一昨日と似た様な時間になっていた。
そして俺は期待していた訳では無いが、なんとなく昨日と同じコースを走り同じ場所へ走り始めた。

「ハアハァ…時間は…」
ジャージから出したキッズスマホのストップウォッチ画面をタップすると37:52.78で止まっていた。
40分切りのタイムはかなり速いはず♪
とりあえず昨日入らなかった公園らしき場所に入り今日は小銭をポケットに入れてきていたので自動販売機でスポーツ飲料を買いベンチに座り、飲みながら心拍数が落ち着くのを待ってると、あの外人さんが橋の先に現れてこっちに歩いてき近づいてきた。

「二日前に会いましたネ。えっと…オハヨウゴザイマス?でいいのかしラ?」
彼女は特に疲れてない感じに俺に近づいてきて、背負っていた小さなワンショルダーバックからこの間見かけた給水用のボトルを取り出し口に付けた。
「ふぅ…あれっ?もしかしてワタシ…嫌われてマスか?」
彼女はどうも俺が反応しなかったので勘違いしたらしい。

「あーっと、そうじゃなくって、なんて言うか…走ってる人ってこんな感じに気軽に話しかけるのかなぁってちょっと戸惑ってたって言うか…外人さんがそんなに気軽に話しかけてくるって思ってなかったからちょっと…ね」
「あぁ~そうなんですネェ。私は最近日本に来たので英語で話しかけて反応してもらえた人には、できるだけ自分から話しかける様にしてマス♪アナタは英語分かる人デスよネ?」

「あれっ?でも俺、あの時確か日本語で答えたと思ったけど…?」
無愛想な感じに一言ぐらいしか返してなかったはず。
「でもワタシが英語で謝ったら英語で返してこなかったデス。英語苦手な人は英語で早口で話して逃げますヨ」

なるほど、英語を聞いたら日本語に聞こえる能力がうまく働いてくれてたらしい。
そう言えばあの日本語に聞こえる能力だが、相手がその人の思考言語で考えて話してる時だけそう聞こえるっていうのが分かった。
確かテレビで母国語しか話せない外人さんの言葉は日本語に聞こえたけど、その人に話しかけている人の言葉は部分的に英語に聞こえるって感じなのを何度も見たのでたぶん間違いない。


そして、おっぱいの大きな外人さんは、なぜかとっても距離感の近い感じで俺のすぐ横に座ってきた。
お尻の丸みから俺の尻までが5cmぐらいしか開いて無いけど…これはお触りOK距離と考えても良いのだろうか?
そして横目で見ると体の厚みがおっぱいの所と腰の辺りで3倍ぐらいの差がある様に見える。


まずい…このおっぱいは確実にあの人のそれを超えるサイズだ…

そう言えば…陽菜さんとか美咲さんのおっぱいを見てるとそれ以上に大きかったあの人のおっぱいが目の前をチラチラと横切ってとても不快だったんだけど…このおっぱいを見てたら何かこう…人類の英知というかエッチと言うか…コホン。人の可能性を感じるって言うか…♡

「あっ…アナタもおっぱい大好き星人だったですカ?男ってどこでも誰でもマッタク…」
あっ…チラチラ見てたら機嫌を損なってしまったみたいだ。
自分の胸を全く隠せてないのに両腕で抱く様にして強調して…これは一応隠そうとしてるって考えた方がイイのだろうか?俺に押しつぶしたおっぱいを見せつけてる訳では無いよな?

「悪いね。だって男なんだもん、しょうがないんだって。魅力的な丸い物を見かけたら誰だって見る。ついでに言えば穴があれば何かを入れたくなるし、覗いてみたくなるし、男とはそんな業を背負った性物なんだ。君も気を付けなよ。俺なんかにこんなに気軽に近づくといつおっぱい触られるか分かんないからね?」
一応腕を組んで『今は触りませんよ?』と体で示しつつうんちくをたれていたら外人さんの顔に笑顔が見えた。

「フフッ♡そう言えばマダ名前聞いて無かったですネ。ワタシはサラ・ユーイングです。アナタは名前は?」
「俺は桜井博之。今年大学に入る18歳」
「オゥ♡同い年です♡私も今年大学1年生デス♡ヨロシクね博之」

サラが手を出して握手を求めてきた。
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