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溢れるラブレターと罪悪感※18↑
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――フランを襲撃犯から守ったあの事件から、二週間ほどがたったある日の夜。
身体を清め、部屋着として持ってきた甚兵衛に着替えた俺は、自室のベッドに寝転がると深くため息をついた。
事件のことが国内に広く知られると、俺に届いていた求婚の手紙の数が倍以上に増えてしまったのだ。
先ほどアニスに渡された手紙の束が山のように積まれているデスクを一瞥し、再びため息をつく。話を受けるにしても、断るにしても、返事の手紙を書かなくてはならないのだ。
(こんな風に思っちゃいけないんだろうけど……億劫だな。今は本当に、婚約者作る気が起きないんだけど)
アニスが、手紙の差出人の中から性格や家柄の良い令嬢を何人か調べてまとめた資料をくれたが、正直全然気持ちが動かないのだ。
目をそらすように寝返りを打ち、枕元に投げておいた手帳に手を伸ばす。明日の予定を確認するためページをめくった俺は、次の瞬間ーーぶわっと頬を赤く染めてしまった。
(明日は……ッ、そうだ、忘れてた。殿下に血を捧げる日だ)
血を吸われる快楽を思い出し、ゾクッと背筋を震わせる。
ゆっくりと上半身を起こすと、ベッドの端に腰掛けた俺は、下衣の前を寛がせた。
ーー初めての吸血の時、フランの前で絶頂してしまい、服の中で射精し下着を汚してしまってからというもの……俺は吸血の前日になったら事前に何度か抜いておくようにしている。
半勃ちの性器をそっと握り、まだ慣れない手つきでゆるゆると扱いた。今までは、どちらかというと性欲が薄く、自慰もほとんどしてこなかったのだ。
女遊びの激しい父と兄フレデリックに対する嫌悪感が自分をそうさせたような気もする。
……でも、今は。
「ッ、ふ、っ……♡」
上下に絞るように動かすと、快感に背筋が震えた。気持ちよくて、意識が蕩ける。
フランに抱きしめられ、首筋に深く歯をたてられるところを想像すると、我慢汁がとろとろと零れてきて。
(駄目だ、思い出すな……!!)
『悠馬、辛くない……?』
耳元で低く囁くフランの声を思い出しただけで、身体が熱く火照るような感覚がする。
(殿下のことを考えながらこんなこと、不敬にもほどがあるってのに、俺はッ……)
「ぁ、ッ……ク、ぅッ……♡」
フランに血を吸われ、強烈な快楽を味わわされた俺は、すっかり自慰の時に吸血の時のことを思い出しながら致すようになってしまっていた。
「……ッ、~~ッ!!♡♡♡」
やがて、絶頂に至った俺は耐えきれずに仰け反り、くたっとベッドに倒れ込んで身悶えた。白濁が溢れた瞬間、頭の中が真っ白になって……全身が鳥肌だち、快感に震える。
恐らく自分は、快楽に弱い方なのだろう。一度絶頂すると、余韻で頭がふわふわして何も考えられなくなってしまう。
ーーそして、しばらく経って頭が冷えてくると、冷静になって激しい罪悪感に苛まれることになるのだ。
あぁ、王太子を自慰のネタにしていたしてしまうなんて、自分はなんて愚かで不敬な人間なんだろうと。
(……こんな最低な俺に、どこかの令嬢を娶って夫婦生活を送る資格なんてあるものか。いや、いっそ女性と恋愛をしてみたほうが良いのだろうか……)
ーーーーー
ーーその頃。夜にフランの寝所を警備している兵士達、そのうちの一人をフランは部屋の中へと招いていた。
たまたま今日警護にあたっていたのが、悠馬の側近として事実上フランの配下に加わったアニスだったからである。
「ねぇアニス君、悠馬に最近やたら多くの手紙が来てるみたいだけど」
あれは何? と、フランが聞くと、アニスはにこやかに……そして誇らしげな様子で答えた。
「ああ、あれは求婚のお手紙でございますよ!! 悠馬様が殿下の騎士になってからというもの、世のご令嬢方は悠馬様に恋焦がれているのです!!」
余程主ーー悠馬のことを尊敬し誇りに思っているのか、胸を張って言うアニス。
しかし、それを聞いたフランの胸の内は穏やかではなかった。
(……やっぱり、薄々勘付いてはいたけど、あの大量の手紙が全部ラブレターだったとは。世間が悠馬の魅力に気づいてしまったというのか……)
悠馬にまた婚約者ができてしまうのではないかと思うと、不安や独占欲、嫉妬などの様々な感情が渦巻いて、ずんと気が重くなった。
「王太子の……いずれは国王の騎士になるわけだからね。安易に何処の馬の骨とも知れない婚約者を選んでしまわないように気をつけてほしいな。悠馬には僕から話しておくけど」
尊敬する主のモテ期にウキウキのアニスが悠馬の婚約の話を進めてしまわないよう、遠回しに釘を刺す。
我ながら執着深くて面倒臭い男だな、と思いながら、フランは静かにため息をついた。
(でも、僕はやっぱりこの恋を諦めることなんてできないんだ……)
身体を清め、部屋着として持ってきた甚兵衛に着替えた俺は、自室のベッドに寝転がると深くため息をついた。
事件のことが国内に広く知られると、俺に届いていた求婚の手紙の数が倍以上に増えてしまったのだ。
先ほどアニスに渡された手紙の束が山のように積まれているデスクを一瞥し、再びため息をつく。話を受けるにしても、断るにしても、返事の手紙を書かなくてはならないのだ。
(こんな風に思っちゃいけないんだろうけど……億劫だな。今は本当に、婚約者作る気が起きないんだけど)
アニスが、手紙の差出人の中から性格や家柄の良い令嬢を何人か調べてまとめた資料をくれたが、正直全然気持ちが動かないのだ。
目をそらすように寝返りを打ち、枕元に投げておいた手帳に手を伸ばす。明日の予定を確認するためページをめくった俺は、次の瞬間ーーぶわっと頬を赤く染めてしまった。
(明日は……ッ、そうだ、忘れてた。殿下に血を捧げる日だ)
血を吸われる快楽を思い出し、ゾクッと背筋を震わせる。
ゆっくりと上半身を起こすと、ベッドの端に腰掛けた俺は、下衣の前を寛がせた。
ーー初めての吸血の時、フランの前で絶頂してしまい、服の中で射精し下着を汚してしまってからというもの……俺は吸血の前日になったら事前に何度か抜いておくようにしている。
半勃ちの性器をそっと握り、まだ慣れない手つきでゆるゆると扱いた。今までは、どちらかというと性欲が薄く、自慰もほとんどしてこなかったのだ。
女遊びの激しい父と兄フレデリックに対する嫌悪感が自分をそうさせたような気もする。
……でも、今は。
「ッ、ふ、っ……♡」
上下に絞るように動かすと、快感に背筋が震えた。気持ちよくて、意識が蕩ける。
フランに抱きしめられ、首筋に深く歯をたてられるところを想像すると、我慢汁がとろとろと零れてきて。
(駄目だ、思い出すな……!!)
『悠馬、辛くない……?』
耳元で低く囁くフランの声を思い出しただけで、身体が熱く火照るような感覚がする。
(殿下のことを考えながらこんなこと、不敬にもほどがあるってのに、俺はッ……)
「ぁ、ッ……ク、ぅッ……♡」
フランに血を吸われ、強烈な快楽を味わわされた俺は、すっかり自慰の時に吸血の時のことを思い出しながら致すようになってしまっていた。
「……ッ、~~ッ!!♡♡♡」
やがて、絶頂に至った俺は耐えきれずに仰け反り、くたっとベッドに倒れ込んで身悶えた。白濁が溢れた瞬間、頭の中が真っ白になって……全身が鳥肌だち、快感に震える。
恐らく自分は、快楽に弱い方なのだろう。一度絶頂すると、余韻で頭がふわふわして何も考えられなくなってしまう。
ーーそして、しばらく経って頭が冷えてくると、冷静になって激しい罪悪感に苛まれることになるのだ。
あぁ、王太子を自慰のネタにしていたしてしまうなんて、自分はなんて愚かで不敬な人間なんだろうと。
(……こんな最低な俺に、どこかの令嬢を娶って夫婦生活を送る資格なんてあるものか。いや、いっそ女性と恋愛をしてみたほうが良いのだろうか……)
ーーーーー
ーーその頃。夜にフランの寝所を警備している兵士達、そのうちの一人をフランは部屋の中へと招いていた。
たまたま今日警護にあたっていたのが、悠馬の側近として事実上フランの配下に加わったアニスだったからである。
「ねぇアニス君、悠馬に最近やたら多くの手紙が来てるみたいだけど」
あれは何? と、フランが聞くと、アニスはにこやかに……そして誇らしげな様子で答えた。
「ああ、あれは求婚のお手紙でございますよ!! 悠馬様が殿下の騎士になってからというもの、世のご令嬢方は悠馬様に恋焦がれているのです!!」
余程主ーー悠馬のことを尊敬し誇りに思っているのか、胸を張って言うアニス。
しかし、それを聞いたフランの胸の内は穏やかではなかった。
(……やっぱり、薄々勘付いてはいたけど、あの大量の手紙が全部ラブレターだったとは。世間が悠馬の魅力に気づいてしまったというのか……)
悠馬にまた婚約者ができてしまうのではないかと思うと、不安や独占欲、嫉妬などの様々な感情が渦巻いて、ずんと気が重くなった。
「王太子の……いずれは国王の騎士になるわけだからね。安易に何処の馬の骨とも知れない婚約者を選んでしまわないように気をつけてほしいな。悠馬には僕から話しておくけど」
尊敬する主のモテ期にウキウキのアニスが悠馬の婚約の話を進めてしまわないよう、遠回しに釘を刺す。
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