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悪夢のような恐怖①
しおりを挟むしばらくして、わたしはすっかり調子がよくなって、食事もきちんと食べられるようになった。
元気になって大部屋に戻るのかと思ったけど、夏樹くんが退院しちゃっててどうせ1人だから、個室のままだって。
だから、調子がいいのに相変わらず窓の外を見つめる毎日。
今はお昼過ぎ。
ふと、トイレに行きたくなってベッドから起きた。
トイレには、ゆっくり気をつけてなら1人で行ってもいいって言われてるから、1人で部屋を出て少し廊下を歩いた先のトイレに向かった。
***
*真菰side
男性「あの……すみません……」
真菰「はい!どうされましたか?」
男性「栗花落ひなのさんの面会に来たのですが、病室はどちらですか?」
ナースステーションで待機してると、突然、ひなちゃんと面会したいという男性がやってきた。
スーツを着た中年ぐらいの男。
一見きちんとした人に見えるけど、ひなちゃんに面会したいなんて違和感しかない……。
真菰「あの……失礼ですがどちら様でしょうか?」
尋ねると、
男性「弁護士のものです。虐待のことについて、ひなのさんにお話を伺おうと」
真菰「そういうことでしたら、少々お待ちください」
と言って、ナースステーションの隣にある医局に駆け込んだ。
~小児科医局~
真菰「医局長!!」
りさ「まこちゃん、どうかした?」
小野寺りさ先生。
院長の奥さんで、相変わらずの綺麗さとかわいさに見惚れちゃう。
……って、そんな場合じゃない!!
真菰「今、ナースステーションにひなちゃんに会いたいという弁護士だと名乗る男が。でも、なんか怪しくて嫌な予感がするんです……」
りさ「まだ部屋は教えてないわよね?」
真菰「もちろんです」
りさ「わかった。わたしが対応するから、すぐ黒柱の5人に連絡して。その後、警察にも連絡してくれる?」
医局長の指示を受け、その場ですぐに5人へ電話をかけながらナースステーションの様子を見守る。
~ナースステーション~
りさ「お待たせして申し訳ございません。医局長の小野寺と申します。弁護士の方とお伺いしたのですが」
男性「えぇ、そうです。栗花落ひなのさんに、お話を伺いたいと思いまして」
りさ「そのことですが、日を改めていただけませんでしょうか?彼女、今日は具合が悪いので」
男性「ですが、警察や裁判所からも今日行くように言われておりまして……」
そう男が言うと、今まで笑顔で対応していた医局長の表情が一気に変わる。
りさ「あの……貴方は本当に弁護士ですか?バッチもつけてないですし、そもそも、彼女に弁護士なんてつけておりません。被疑者側の弁護士ですか?」
医局長が語気を強めると、男の表情も変わる。
男性「栗花落ひなの、ここにいますよね?出してください。うちに連れて帰ります」
やっぱり医局長の予想通りだった。
この男は、ひなちゃんを苦しめ続けた張本人。
絶対、本人に会わせるわけには行かない。
りさ「お引き取りください」
男性「んぁ?」
りさ「聞こえません?お引き取りください」
と言って、ふと目線を男の背後へ逸らすと、病室へ続く廊下の入口にひなちゃんが立っていた。
医局長も思わず目を見開いてしまって、ひなちゃんはその場で凍りついている。
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