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初潮③
しおりを挟む*五条side
~小児科医局~
神崎「五条先生!ひなちゃん、生理来たって!?」
医局に戻ったら黒柱大集合。
みんなひなに何かあればすぐ小児に集まるな……
まぁ、ありがたいけど。
五条「はい」
藤堂「おめでとうだね。大人の階段ひとつ登ったね」
宇髄「ひなちゃん、今は落ち着いてるか?」
五条「えぇ。さっきまた痛み出したみたいなので、薬飲ませてもう寝かせてます」
宇髄「検査で子宮組織の異常は見られなかったが、貧血は気になるな。ヘモグロビン値がさらに下がってたから。それと、過去のトラウマもどの程度のもんなのか……」
ひなの処女膜の話も宇髄先生が既にしたんだろう。
みんな何とも言えない表情をしてる。
工藤「それにしても、気失うまで我慢しなくていいのにな。恥ずかしくて言えなかったのか?」
五条「いや、ひなは病気かと思って怖くて黙ってたんです。あいつ、生理のこと知らなくて」
「「えっ……?」」
さすがにそういう反応になるよな……
藤堂「学校で習ってなかったの?」
五条「まだ学校に行ってない時か、入院してる間に授業があったんだと思います。受精の話は習ったようですし。さっき、一通りのことは説明してきました」
神崎「そっか、ひなちゃん生理知らなかったか。今どきの中学生でも友達同士では恥ずかしくてそういう話しないのかな。高校生だと普通に隠さず話すよね」
宇髄「ナプキンの付け方とかわかってるのか?」
五条「それは、まこちゃんが教えてくれるみたいです。しばらくはトイレ行く時も付いてって教えてくれるって」
工藤「頼りになるね、まこちゃんは。ひなちゃんのお姉さん代わりだな」
本当に、まこちゃんには頭が上がらないくらい感謝してる。
もちろん、黒柱の先生たちにも。
俺1人じゃ、ここまでひなを守り支えるなんて、きっとできてなかった。
***
*ひなのside
ひな「ゔぅっ……痛い……っく……ゔっ……」
今朝は痛みで目が覚めて、時計を見るとまだ6時。
痛い……
お腹も腰も痛い……どうしよう……
しばらくしたら治るかな?
いや、五条先生は3日目まで痛いって言ってたし、今日まだ2日目だから痛いの続く……?
だとしたら、こんなのずっと我慢できないっ!!
ということで、わたしはナースコールを押した。
看護師「ひなのちゃーん、どうしました?」
まこちゃんじゃない、まだまこちゃん来てないの……?
知らない人は怖くて、せっかくナースコールしたのに何も答えられなかった。
それでも、五条先生はすぐ部屋に来てくれた。
ひな「五条先生……っ、ゔっ……ヒック……痛いっ……」
五条「よしよし。痛いな、もう大丈夫だ。ちゃんとナースコールしてえらかった」
五条先生の声を聞いた途端、安心感で涙が出てきた。
それに、ナースコールしたら褒めてくれた。
いつもこうしてちゃんと言えば優しいんだな。
お腹をギュッと押さえてうずくまるわたしの腰を、五条先生が優しく撫でてくれる。
五条「泣かなくて大丈夫だぞ。ひな、今どこが痛い?」
ひな「うぅ……グスン、お腹と……腰……ヒック、痛いぃ……」
五条「そしたらお薬飲もう。身体起こせるか?」
と、五条先生に支えてもらいながら身体を起こし、五条先生が持ってきてくれた鎮痛剤をサッと飲んでもう一度横になった。
五条「少ししたら薬効いてくるからな。息止めないでゆっくり吐くんだぞ」
と言いながら、五条先生はずっと腰をさすってくれる。
温かくて優しい大きな手は、それだけで痛みを和らげてくれるようだった。
でもやっぱり、痛いもんは痛い。
病気じゃないのに、生理ってこんなに痛くなるの……?
20分くらいすると薬が効いてきたようで痛みが引いた。
五条「落ち着いてきたか?」
ひな「コクッ……」
五条「身体仰向けにするな。ちょっと聴診させて」
五条先生にパジャマのボタンを開けられてチェストピースが胸に当たった。
……ところまでは覚えてるけど、そのあとは聴診されながら寝ちゃったみたいで、起きたら朝ごはんが目の前にあった。
***
——1ヶ月後
ひな「いってきます!」
五条「気をつけてな。走るなよー」
生理が終わって1ヶ月。
貧血の数値が良くなってきて無事に退院できた。
今日から学校も再開で、今朝は五条先生が学校まで送ってくれた。
結局、3ヶ月も入院しちゃったから学校も久しぶりだったけど、みんな待ってたよって明るく迎えてくれて、あっという間に放課後。
家に帰って宿題をしてお風呂に入って、五条先生も早く帰ってきてくれて一緒に晩ごはん。
寝るのはわたしの方が先で、五条先生におやすみって言って寝床につく。
久しぶりに味わうとても幸せな1日だった。
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