ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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宇髄先生の検査①

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——翌朝





コンコンコン——


真菰「ひなちゃん、おはよう!」


ひな「まこちゃん、久しぶり……」





とても気持ちがブルーな朝に、まこちゃんの熱量はいつもの倍に感じる。





真菰「ごはんは残しちゃったか」





と、残ったご飯を見てまこちゃんがメモを取る。





真菰「そしたら、体温お願いね。血圧も測るね」





と、入院中のいつも通りの朝。





コンコンコン——


藤堂「ひなちゃん、おはよう」





やって来たのは藤堂先生。

朝から素敵な笑顔のキラキラ王子様。





ひな「おはようございます……」


藤堂「食欲はやっぱり落ちてるか。まこちゃん、体温と血圧は?」


真菰「体温は36度7分。血圧は102/68です」


藤堂「うん、ありがとう。ちょっと体温高いね。ひなちゃん、聴診するから前開けてね」





言われて、パジャマのボタンを外して前を開けて深呼吸。





藤堂「うん、いいよ。胸の音は大丈夫だからね」





胸の音、は……。





藤堂「今日は10時半ごろから、宇髄先生にお腹を詳しく診てもらうよ。また呼びに来るから、それまで少しゆっくりしててね」


ひな「はい……」





宇髄先生の検査ってことは、もしかしたらまた手術になるかもしれないよね。

はぁ……本当にやだ……。

検査行きたくない……。










なんて思ってても、嫌なことが待ってる時ほど時間が経つのはあっという間。

藤堂先生と宇髄先生と、五条先生も一緒に迎えに来て、連れて来られたのは産婦人科の処置室。





宇髄「そしたらひなちゃん。前と同じように、パンツ脱いでベッドに座って待っててな」





またここか……。

五条先生がワンピースタイプのパジャマを用意したのはこのためだったんだね……。

こうなることわかってたんだ。





ひな「お腹を診るのにパンツは脱がないとダメですか……?」


宇髄「うん。ごめんな、また中からも検査するからな」





ここに来たもん、やっぱりそうだよね。

中からってことは、またあの格好になるのか。

今日は五条先生もいるのに……





ひな「はい……」





そう言われれば仕方ない。

大人しくパンツを脱いでベッドに座り、今日はタオルをすっぽり頭まで掛けた。

というより、頭から被った。





宇髄「ひなちゃん準備できた?」


ひな「はい」


宇髄「カーテン開けるなー……って、ひなちゃん?」





カーテンを開けて、頭からすっぽりとタオルに隠れるわたしを見て、たぶんみんなびっくりしてる。





藤堂「ひ、ひなちゃん。せめて顔は出そうか(笑)」


ひな「やりたくなくて……」


五条「早く顔を出しなさい」





……あ。

五条先生にタオルをめくられてしまった。





宇髄「そしたらベッド倒すな。危ないから掴まっててな」





と、宇髄先生がスイッチを押すとベッドが動き出す。



ウィ~ン……



あぁ、また脚が大股に……。



って思ったけど、フラットになって止まった。





ひな「あれ?今日は脚開かないんですか?」


宇髄「後でな。まずはこの状態で少し診ていくぞ。そしたら、最初はお腹触るな」





と、宇髄先生はタオルとワンピースをめくって、お腹を出すと触診し始めた。





宇髄「ひなちゃんお腹はいつから張ってた?」


ひな「1週間前くらいだったと思います」


宇髄「ずっと張ってる?それとも、1日の中で張りやすい時間とかあるかな?」


ひな「ずっと張ってると思いますけど、ずっと気になるわけではなくて。トイレ行った時とか、お風呂とか、ちょっとゆっくり座ったり横になったりしてる時に、そういえば張ってるな~って感じです」


宇髄「それは、何かしてる時はそのことに夢中で単純に意識が向いてないからだな。そしたら少し押していくから、痛かったら教えてな」





と、今度は張ってるお腹を優しく押される。





宇髄「ここは?痛い?」


ひな「大丈夫です」


宇髄「ここが盲腸なんだよ。よかったな、盲腸じゃなくて」





へぇ~。初めて知った。

盲腸ってよく聞くけどそこだったんだ。





宇髄「ここは?」


ひな「大丈夫です」


宇髄「ここは?」


ひな「大丈夫です」





いろいろ押されるけど、痛みを感じるようなことはない。





宇髄「じゃあここは?」





……っ。





宇髄先生が下腹部の真ん中の辺りを押した時、鈍い痛みが走った。





ひな「……大丈夫です」


宇髄「ほんと?」


ひな「はい」


宇髄「もう1回押してみるぞ」





……ゔっ。



痛い……

明らかにそこは痛い。

でも痛いって言ったら……





ひな「大丈夫です」


五条「ひな、もう嘘つくな。わかってるから」





嘘って……

わかってるなら、じゃあ聞かなきゃいいじゃん……。

いつもわからないから聞いてるんでしょ?





ひな「本当に痛くないです……」


五条「ひな……」





五条先生のため息混じりな声。

はぁ、もうやだ。

わたしの身体に何が起こってるの……。





宇髄「ひなちゃん、ちゃんと教えてくれないか?先生たちはひなちゃんの悪いところを早く治してあげたいんだ」


ひな「本当に……大丈夫ですから……」





答えた声は震えてて、堪える間も無く涙が出た。

そんなわたしの頬にすかさず五条先生の手が伸びる。





五条「ひなどうしたんだよ。痛いだろ?なんで隠そうとするんだ……?」





優しい五条先生。

怒ると怖いのに、優しくされたら胸がきゅーっとなる。





ひな「……怖いんです、グスン。最近身体がしんどいのは、喘息や貧血の症状じゃないかもしれないって自分でもわかってて。いつもと違うってわかってるから怖いんです……。お腹なんて、痛いって言ったらまた手術しなくちゃいけないんじゃないかって、すごく怖くって……グスン」


五条「ひなはそういうことをもっと伝えたらいいんだ。そうやって我慢して嘘つくから、怒られるし辛くなるし不安になるし、後で大変なことにだってなるんだろ?前に甘えろって言ったのはそういうことだぞ。みんな身体のことだけを教えて欲しいんじゃない。ひなの気持ちももっと教えて欲しい」


ひな「ごめんなさい……グスン……ごめんなさい……」


藤堂「謝らなくていいよひなちゃん。怖くて不安だったよね。大丈夫大丈夫」





藤堂先生は手を握ってくれて、宇髄先生は一旦お腹にタオルをかけ直してくれた。

五条先生はずっと涙を拭ってくれてる。





ひな「グスン……ハァ……グスン、グスン……」


藤堂「ひなちゃんゆっくりでいいからね。ゆっくり落ち着こう」


ひな「グスン……グスン……ハァ……」


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