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胸の"トクン"は恋の病②
しおりを挟む——翌日
神崎「ひなちゃ~ん!モクモクタイム行くよ~!」
ひな「は、はい……」
今日は神崎先生とか……。
本当にそのテンションには一生ついて行けないよ。
と、元気が良すぎる神崎先生と今日も吸入へ。
神崎「はい、ひなちゃんマスクどうぞ」
ひな「あの、わたしはなんでマスクなんですか?咥えるやつじゃなくて」
神崎「だって、ひなちゃん下手だから」
えぇっ!?
そ、そうですか、そんな理由ですか。
てか、ドストレートに言い過ぎじゃない!?
鬼さんよ……
ひな「そうですよね、すみません……」
と、大人しくマスクを口に当てて、
ひな「スー……ハァッ……ゲホッ、ゲホゲホゲホッ……!!」
やっぱりこうなってしまう……
ひな「ハァハァ……ゲホゲホッ……ハァ……ッ……ゲホゲホッ……」
神崎「ひなちゃん、えらいえらい。頑張れ!」
というその応援が、もう嫌になるくらい苦しい。
はぁ、この煙しんどい……
「あ!おねぇちゃん!!がんばれ~!」
っ……!!
この声は、智樹くんだ。
振り返ると、智樹くんと、手をつないでる五条先生が。
"トクン"
ひな「……っ!!!?」
ガシャン!!
神崎「ひなちゃん!?」
五条「ひな!?」
智樹「おねぇちゃん!?」
今……トクンってなったよね……?
わたし、智樹くんに恋してるの……?
って、そんなわけない。
五条先生に決まってる。
わたしが恋してるのって五条先生……?
五条先生のことが好きなの……?
振り返って五条先生を見た瞬間、胸がトクンと高鳴って、びっくりしすぎて手に持ってたマスクを落とした。
それで、咄嗟に胸を押さえて必死に頭で状況整理するけどパニック。
五条「おいひなっ、大丈夫か?胸苦しいのか?」
で、気づけば目の前に五条先生がいてもう頭が真っ白。
ひな「え、あ、あ、あの……だだダイジョブ……」
五条「全く大丈夫じゃないだろ!心臓痛いのか?」
ひな「ち、違う……心臓は痛くなくて……」
と話してると、五条先生の手のひらがおでこに。
"ドキッ"
……っ!!
五条「熱ないな……」
ひな「ダ、ダイジョウブデスカラ……」
智樹「おねぇちゃん、だいじょーぶ??」
智樹くんの声にようやくハッとして、
ひな「あっ……だ、大丈夫だよ!ごめんね、びっくりさせちゃって。お姉ちゃんモクモク下手だから落としちゃった。もう1回頑張るね!智樹くんも頑張ってね!」
智樹「うん!ありがと!ごじょーせんせ、モクモクしよ~?」
五条「あ、あぁ。モクモクしようか」
神崎「五条先生、ひなちゃんは俺見とくから智樹くんのしてあげて。また後で伝える」
五条「ありがとうございます。お願いします。よし、智樹くん今日はこっちでしような」
と、五条先生は少し離れた機械の方へ智樹くんを連れて行った。
神崎「ひなちゃん、大丈夫?どうしたの?」
ひな「ごめんなさい。本当に何もないです。智樹くんの声にびっくりしただけで……」
神崎「そう?そしたら、もう1回吸入頑張れるかな?」
ひな「は、はい。やります。すみません……」
と、新しいマスクをもらって、もう一度吸入した。
さっきのパニックのせいで平常心が未だに保てなくて、むせてむせて仕方なかったけどなんとか終了。
終わった後は、そそくさと部屋に戻ってベッドに横になった。
***
*神崎side
さっきのひなちゃん、絶対何かおかしい。
あの反応はどう考えても……
ひなちゃんを部屋に送って、医局に戻りながらさっきのことを考える。
でも、一体どうして?
誰かが教えないとひなちゃんが自分で気づくなんて。
まぁ、とりあえず最初に事情聴取すべきは……
~小児科医局~
神崎「お疲れさま~」
五条「神崎先生、お疲れ様です。ひなあの後大丈夫でしたか?」
神崎「うん。本人にどうしたのって聞いても答えないんだけどね。まぁ、身体に問題はなさそうだよ」
五条「そうですか。ありがとうございました」
神崎「でさ、ひとつ聞きたいことがあるんだけど」
五条「はい」
神崎「五条先生、ひなちゃんとなんかあった?」
五条「いえ、特に何も?最近ひなに会ってませんでしたし、寝てる間に様子見に行くことはありますが、顔合わせたのは屋上へ脱走した後に叱った時以来でしたし……もう2、3週間喋ってないですね」
ふーん。この反応は本当に何もなさそう。
神崎「そうか。ということは……」
神崎「ひな、なんかありましたか?まさか、俺が叱ったのずっと引きずってるとか……」
神崎「まぁ、それはそれであり得るけど、さっきのはそういうことじゃないと思う。まぁ、ちょっと藤堂先生に連絡入れとくよ」
五条「はい。よろしくお願いします」
***
神崎「よっこいしょっと」
コーヒーを淹れて、医局のデスクに座りスマホを開く。
五条先生でないとすれば……
LIMEのトーク画面を開いて、メッセージを打ち込んだ。
"お疲れさまです"
"純粋無垢なお子さまひなちゃんが恋してるんですけど……どなたですか?"
(既読)3
(既読)4
五条「はぁ!?」
今、LIMEでメッセージを送ったのは黒柱のLIMEグループ。
メッセージを送ってすぐに既読が3になって、隣に座る五条先生も通知に気づいてLIMEを開いて既読が4に。
その瞬間、『はぁ!?』だって(笑)
100%のリアクションだわ。
神崎「ふふっ」
五条「神崎先生、どういうことですか!?」
神崎「まぁまぁ。せっかくだしみんな来てから話そう。すぐ来るよ」
と言ったそばから、5分も経たずしてみんな医局にやって来た。
宇髄「神崎、これどういうことだ?」
工藤「今度はひなちゃんに何があったの?」
神崎「まぁまぁ、落ち着いてください。順番に話しますから。って、今の感じで犯人はわかりましたけどね」
と、藤堂先生の方をチラッと見ると、
藤堂「ごめん。バレた?(笑)」
って、まぁなんとも爽やかな笑顔で。
五条「全く話が見えてこないんですけど……?」
神崎「よし。では、一から話しますね。えっと、まずはさっきひなちゃんを吸入に連れて行って——」
と、処置室で起こったことをみんなに伝える。
宇髄「なるほど」
工藤「要するに、ひなちゃんは五条先生に反応したってこと?」
神崎「そういうことです。もう絶対そうです。顔を赤くするのは前からですけど、あのテンパりようは完全に五条先生を意識してました!」
宇髄「でも、ひなちゃんが突然、五条への気持ちに気づくのには違和感あるな。あの天然では無理だと思うぞ?」
神崎「そうなんですよ。そこで先生方に送ったメッセージなわけです。で、まぁ五条先生じゃないことはわかってたんで、3人の誰かだろうと思ってましたが、ここへ来た時に何も反応してなかった藤堂先生が犯人ですよね!藤堂先生っ!」
藤堂「犯人って言い方……(笑)でも、神崎先生の正解。俺がちょっとひなちゃんに教えちゃってね」
五条「な、何をですか!」
藤堂「落ち着いて悠仁。大丈夫大丈夫。別に悠仁のこと好きでしょ?とかそんなこと言ったわけじゃないから(笑)」
神崎「で、ひなちゃんに何を話したんですか??」
藤堂「ふふっ。えっとねー、胸がトクンとするのは、恋の病だよって」
それから藤堂先生は、昨日ひなちゃんと話したことをみんなに伝えてくれた。
藤堂「でも、胸がトクンとするのは誰かに恋してる証拠って言っただけで、ひなちゃんは誰が好きなのかわかってなかったよ?好きな人なんていないとまで言ってたし。まぁ、今日悠仁に会って気づいちゃったんだろうね(笑)」
神崎「そういうことか~。それで五条先生見てあんな反応を」
工藤「五条先生、よかったな。ひなちゃん、五条先生のこと好きって気づいたって!」
五条「いや……まだひながそう言ったわけじゃないですし。って、なんで先生方がそんな舞い上がってるんですか……」
神崎「だって、ひなちゃんがついに恋する乙女になったんだから、そりゃもうね!」
宇髄「結婚式、楽しみにしてるぞ」
五条「う、宇髄先生まで……結婚ってどこまで話進めてんすか」
藤堂「まぁまぁ。ひなちゃんが自分で悠仁のこと好きって気づいてくれてよかった。正式に付き合ったら教えてね」
五条「ちょっ……勘弁してください」
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