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呼び起こされた過去③
しおりを挟むひなの病室に着くと、藤堂先生がドアを開けてくれる。
すると、中には姫島の姿が。
藤堂「姫島さん……?」
姫島「せ、先生!!ひ、ひなちゃんいなくなって!」
ひな「ピクッ、ギュッ……」
……ん?
今、一瞬ひなの身体がピクっとして……
藤堂「……うん、屋上にいた。すぐ消毒と点滴持ってきて。身体温めるものも」
姫島「は、はいっ!」
と、藤堂先生は冷たく姫島に指示を出した。
姫島が出て行くと、すぐにひなをベッドに下ろし体温を測ろうとするが……
ひな「ゃだ……ハァハァ、もぅ、触らないで……ケホケホッ……ヒック……やめて、ッケホケホ……ゲホゲホッ……ゲホゲホゲホッ!!」
今ひなが触れられることに抵抗してるのはわかってるが、ここで処置させてくれないのは困る。
俺はひなの両頬をそっと手で挟んだ。
五条「ひな!落ち着きなさい。こっち見て」
ひな「ビクッ……!」
少し語気を強めたんでびっくりしてるが、ひなと目がしっかり合った。
目を合わせられればこっちのもんだ。
五条「ひな?ひなは今なにが苦しい?何をひとりで抱え込んでる?」
ひなの瞳がグラグラと揺れてる。
いろんな考えや思いがひなの中を駆け巡ってて、こっちもひなの思うことが見えてこない。
五条「今は触られるのが1番嫌か?その理由は自分でわかるか……?」
この答えが1番のネックなんだろう。
ひなが答えられるか期待はせず問いかけたが、ひなは震える唇を開いてくれた。
ひな「わたしのからだ……けがれて……るから……」
え……?
汚、れて……る……?
ひなの口から放たれた言葉があまりにショックだった。
さすがに動揺し過ぎて、ひなの瞳に映る俺の目も一瞬揺らいだかもしれない。
藤堂先生も、思わず『え……』と声を漏らしてる。
胸が締めつけられて仕方なくて、思わずぎゅっとひなを抱きしめた。
五条「ひな……ひなが汚れてるわけないだろ……なんてこと言うんだ……」
ひな「ゃ……ケホケホッ……汚れてるの……こんな汚い身体、もぅ触ってほしくないのっ!! ッケホケホ……ゲホゲホゲホッ、ゲホゲホッ!!」
自分の身体が汚れてる。
だから触れて欲しくなかった。
それはわかったけど、一体どうしてこうなった?
そもそも、汚れてるなんて、なんで日本語弱いのにそんな言葉知ってるんだ……?
誰かに言われたのか……?
五条「バカか!ひなは綺麗だろ!!どこが汚れてんだよ。誰に言われたんだ?」
コンコンコン——
姫島「お待たせしました!!」
すると、そこへ姫島が戻ってきた。
藤堂「ありがとう。あとは五条先生とやるからいいよ」
姫島「いえ!わたし点滴入れます!」
藤堂「いいから。お膳だけ下げて」
姫島「わ、わかりました!」
と、藤堂先生はまた姫島に冷たく指示を出し、ひなが全く手をつけてないご飯を持って、姫島は出て行った。
ひな「ハァハァ、ケホケホッ……ヒック……ぃゃ……ッケホケホ……ハァハァ……ゲホゲホゲホッ!!」
五条「ひな、ちゃんと呼吸しとくんだぞ。大丈夫だ。ちょっと診させてな」
呼吸ができなくなってきたひなをベッドに寝かし、すぐに体温計を挟んで、足元に湯たんぽを置いた。
その間に藤堂先生は聴診をする。
藤堂「ひなちゃん、苦しくなっちゃったね。すぐ楽にしてあげるからもう少し頑張ろうね。悠仁、体温は?」
五条「37度4分です」
藤堂「身体が冷えてるからか……まだそこまで上がってないね。悠仁は腕の傷お願い。俺はこっちから点滴入れる」
五条「はい」
と、藤堂先生とベッドの両脇からひなの処置を進める。
黒柱はみんなそうなんだが、今の藤堂先生と俺の動きは一切無駄がないだろうと、我ながら感じるほど互いの息が合う。
ひなはベッドに横になって安心したのか、もう体力が尽きたのか、ますますぐったりとして荒い呼吸だけを繰り返してる。
ひな「ケホケホッ……ハァハァ……ハァハァ……」
藤堂「ひなちゃん、もう目閉じていいよ。お目目開けててくれてありがとう。少し眠ってゆっくり休もうか」
と言いながら、点滴の針を腕に刺す藤堂先生。
ひなはいつもみたいに顔を歪めることもなく、そっと目を閉じて眠りについた。
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