ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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嘘と隠し事①

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*藤堂side





——数ヶ月後





~小児科医局~





藤堂「悠仁、ちょっといい?」


五条「あれ、藤堂先生。お疲れ様です。ひな何かありました?」


藤堂「ううん、今日も元気だったよ。どの結果も安定してるし。見る?」





と、悠仁に検査結果を渡す。

今日はひなちゃんの年明け最初の定期健診。

ついさっき終わったところで、悠仁と話をしに来た。





五条「今月もまずまずですね。そろそろ体調崩すだろってずっと思ってますけど……ひな妙に元気ですね」


藤堂「うん、そうだよね。悠仁に話したかったのはそのこと」





修学旅行が終わって、もう3ヶ月以上。

旅行中に具合が悪くなることもなく、元気いっぱい笑顔で帰ってきたひなちゃんは、まだ一度も体調を崩してない。

患者が元気でいてくれるのは主治医として何よりだけど……

あのひなちゃんに何も起きないのは、嵐の前の静けさなのかと思えてならない。





藤堂「修学旅行が終わって結構経つのに、ひなちゃんがこんなに元気なのがどうも気になっててさ」


五条「それは俺もそう思います。とはいえ、家でも変わった様子はないですけど……それが逆に変わってるとも言えるか」


藤堂「うん……こんなこと言うのあれだけど、嫌な予感するんだよね。何か隠してるのかな。悠仁、心当たりある?」


五条「うーん……」





と、2人で考えてると、





神崎「あ……」





と言ったのは、悠仁の隣に座ってた神崎先生。





神崎「そういえば、ひなちゃんお腹の具合は?最後に治療したのいつでしたっけ」


五条「付き合う前……ひなの誕生日より前だったから、ちょうど去年の今頃ですね」


神崎「いや、記憶の辿り方(笑)」


藤堂「ふふっ。でもそうだね、神崎先生の言うそれが1番怪しいな……。悠仁、ひなちゃんって生理来てる?」


五条「修学旅行終わってすぐと、2ヶ月前にも来たとは言ってましたね。どっちも軽そうでしたけど。生理痛も大したことなかったみたいで」


藤堂「それなら問題なさそうか。生理はもうひなちゃんに任せてるからな。でも、ヘモグロビン値変化なくて気づかなかった。なんで下がらなかったんだろう?」


神崎「うーん。フェジンが思いの外ひなちゃんに合ってたとか?だけど、フェリチンの方はやっぱり少しずつ下がってますよね」


藤堂「そうなんだよね。それもそろそろ気にしないといけないんだけど……とりあえずはお腹のことかな。俺も気になるし、ちょっと宇髄先生に相談してくる。ありがとう。悠仁、また連絡するよ」


五条「わかりました。お願いします」










***



*五条side





五条「ひなー?」


ひな「はーい」





その夜、ソファーでテレビを見るひなに声をかける。





五条「来週、宇髄先生にお腹診てもらうぞ」


ひな「えっ……?」





テレビに夢中で話半分だったひなが、驚いた様子で振り返った。

あの後、藤堂先生から連絡があって、1週間後、宇髄先生が一度検査をしてくれることに。





ひな「なんで……?」


五条「なんでって、お腹の治療してからそろそろ1年経つだろ?」


ひな「1年経ったらしなきゃいけなかったでしたっけ……?生理だって来てるし、検査なんてしなくて大丈夫です」


五条「一応検査してもらって、何もなければそれで安心だろ?とにかく、念のため経過観察してもらっとこう」


ひな「それは、もう決まりですか……?」


五条「あぁ。もう予約入れてもらったから、学校終わったら婦人科行くこと」


ひな「……はい」










***



*ひなのside





はぁ……

どうしよう、これはやばい……

いろいろやばい……





五条先生が突然話してきたお腹のこと。

実は、もう2週間くらい前から嫌な予感がしてる。



そもそも生理が全然来てない。

宇髄先生には3ヶ月来なかったら教えてとか言われてたけど、3ヶ月どころかもう半年は来てない。

それがバレないように五条先生には嘘ついて、適当なタイミングで生理が来たことにしてた。



でも、それだけ生理が来てないせいか、ついにお腹が張り出した。

最初は、生理前かな?やっと来るのかな?って思ってたけど、生理は一向に来てくれず、とにかくお腹だけが張ってくる。

だから、家ではずっとふわもこルームウェアを着てるし、定期健診でもめっちゃお腹引っ込めてる。





もしかして、五条先生にも藤堂先生にもバレた?

でも、さっき五条先生が話してた感じはバレてなさそうなんだけどな。

もしバレてたら怒るだろうし……。



じゃあ、どうしてこんな話になったんだろ。

藤堂先生だって定期健診で何も言ってなかったけど……もしかして、宇髄先生が検査するって言ったの?

でも、わたし宇髄先生に会ってないのにそんな話にならないよね?

じゃあ、先生たちの勘が良すぎるとか?



うーん……



って、それはもう置いておいて、



さぁ……どうしよう……



来週の検査でバレないようにするか、そもそも検査を無いものにするか。

とにかく、あの治療だけは絶対にやりたくないよ……。





そしてわたしは、どうしたら検査を受けずに済むか、このお腹の異変がバレずにやり過ごせるか、とにかく必死で考えた。


けれど、こんな悪い子のことを、神様は見逃さなかったみたいで、許されなかったみたいで……










***



——数日後





ひな「あの、五条先生」


五条「ん?」





朝ごはんを食べながら、わたしはあることを五条先生に伝える。





ひな「実は、さっき生理になりました」


五条「そうか。それで今朝はしんどそうなのか。今回はちょっと重いか?」





……え?

しんどく、ないんだけどな。

生理来たって、検査伸ばして欲しくて嘘ついただけなんだけど……

でも、そう見えてるなら都合がいいし、まぁいっか。





ひな「少しだけしんどい、かな?でも大丈夫です。学校行きます」


五条「ん、わかった」


ひな「それと、明後日の宇髄先生の検査ですけど……生理終わってからでもいいですか?」


五条「あぁ、そうだな。その方がいいか。宇髄先生に伝えとくよ」


ひな「ありがとうございます。お願いします」





……Yes!!



なんでもないように振る舞ってるけど、内心はもうガッツポーズ。

とりあえず、検査を1週間伸ばすことに成功してひと安心。










五条「ひなー?ちょっとおいで」





ん?



そんな朝食後、歯みがきをしてリビングに戻ると、ソファーに座る五条先生が手招きしてる。



って、なんかステート持ってるんだけど……





ひな「なんでしょうか……?」





言いながら近づくと、





五条「やっぱりしんどいだろ?ちょっと熱測れ」





と、手首を掴まれたと思ったら、ソファーに座らされて、体温計を渡される。





ひな「いや、わたし本当にしんどくないです」


五条「いいから。とりあえず測りなさい」





うぅ……





そう言われて、渋々体温を測ってみると、





ひな「あ、ちょっ……」





わたしが何度だったか見る前に、体温計を取り上げられた。





五条「36度8分か。うーん……」





え?今なんともないのにそんなにあるの?

生理来てないのに微熱気味……?





ひな「6度8分だったら大丈夫ですよね……?熱ないし、学校行きます!」


五条「待て。聴診するから服捲れ」


ひな「な、なんで……」


五条「いいから。微熱でも体温が高いの久しぶりだろ?聴診しないなら学校行かせないぞ」





服をめくればお腹も見える。

もうかなり張ってきて引っ込めるのも無理なのに、こんなお腹を見たら五条先生が気づかないはずない。





まさか、お腹張ってて苦しいのが顔に出てる?

それでしんどいかって言ってるの?

どうしようどうしよう……バレたくない……





あ、そうだ!





ひな「じゃあ、また制服着て整えるの大変だから上からにしてください。あと、見られるの恥ずかしいので……」


五条「わかった。それでいいから早くボタン外せ」





よしっ!!わたし天才!!



って、また内心ガッツポーズを決めて、五条先生に聴診してもらった。





五条「……ん、こっちは大丈夫そうだな。ひな本当にしんどくないのか?生理痛も平気か?」


ひな「はい」


五条「んー、ならいいか。でも薬は持って行っとくんだぞ。それから、しんどくなったら授業の途中でもすぐに帰ってこい。いいな?」


ひな「はい」





と、なんとか学校へ行くことに成功する。



だけど、そうして行った学校で……
























——バタンッ!





わたしは倒れてしまった。





「「ひーちゃん!?」」
「「栗花落さん!?」」





授業中になんとなく痛み出したお腹。

徐々に痛くなるのを我慢して授業を受けてたら、終わる頃には激痛に。



授業終わりのチャイムが鳴って、『起立!』の号令で立ち上がったものの、痛みに耐えきれず崩れ落ちた。

クラスのみんながわたしの方を見て、教壇に立つ先生もすぐに駆けつけてくる。





教員「栗花落さん!!栗花落さんどうしたの!?」


ひな「ん"っ……ゔぅっ……い"っっ…………」





返事も出来ずうずくまるわたしに、教室中が大騒ぎ。

その騒ぎが聞こえたのか、隣のクラスの先生も来た。





教員「おい!栗花落大丈夫か、しっかりしろ!!先生、救急車呼びましょう。僕は保健室へ連れて行くので、先生は救急車を」


教員「わかりました。みんな!大丈夫だから次の授業の準備しなさい!」





と、先生が職員室に走り、わたしは隣のクラスの先生に抱き上げられ保健室へ。



そして……















ピーポーピーポーピーポーピー……


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