ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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帰るまでが遠足③

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*ひなのside





——翌日





朝早く、ICUから内科病棟に移って来て、藤堂先生と宇髄先生と五条先生が揃って回診に来た。

宇髄先生と五条先生が自分の回診を終わらせた後なのか、朝の回診にしては遅めの時間。





藤堂「少し長めに聴かせてね。ゆっくり深呼吸してー……」





あ~、五条先生がいるのに恥ずかしい……//



って思いながら、まずは藤堂先生の診察を受けて、昨日わたしが倒れた話に。





宇髄「生理が早く来たのは、心配しなくて大丈夫だぞ。慣れない旅行でちょっと身体が驚いただけだ」


ひな「じゃあ、病気じゃないですか?」


宇髄「あぁ、何ともない。だから、昨日倒れたのも生理のせいではない」


ひな「え?生理痛のせいじゃないんですか……?」


宇髄「違う。昨日はひなちゃんの身体が驚くようなことがもう一つあった」





驚いたことがもう1つ……?





藤堂「ひなちゃん。昨日ひなちゃんはね、アナフィラキシーショックを起こして倒れたの」


ひな「ぇっ……」





アナフィラキシーって……





ひな「どうして?わたしピーナッツ食べてないのに……」


五条「ピーナッツじゃない。他に思い当たることあるだろ」





ピーナッツ食べてないのに原因って何?

思い当たることって、わたし何かしたっけ?

しかも、五条先生謎にちょっと怒ってるし……。

アナフィラキシーの原因は……





あ、そういえば……!





ひな「夏樹は大丈夫でしたか?クラゲに刺された痕ずっと残ってたんですけど」


五条「ひな!話逸らすな。夏樹は大丈夫だからその話は後だ。お前の方が大丈夫じゃなかったんだ!!」





ヒィッ……!





やばい、五条先生完全に怒らせた。

もうやだ、怖い、帰りたい。

あ、でも帰ったところで五条先生いるじゃん。

何言ってるのわたし……





ひな「何も思い当たらないです……クラゲにも刺されてないし、ピーナッツも食べてないし、日焼け止めも塗ったし、海では長袖着てたし、日光の下には長時間いなかったし。言われたことちゃんと守りました」


五条「それはえらいがショック起こしたのは昨日だろ。帰り道にひな何したんだ」


ひな「何したって、特に何もしてないです。傑の車を汚したこと以外は……昨日の帰りはとにかく気分が悪くなって、急に生理になって、頭痛いしお腹痛いし気持ち悪いし、何かする余裕なんてなかったですよ……」


五条「それだ。お前、必要になりそうな薬持っとけって言ったのに、生理の薬持って行ってなかっただろ」


ひな「それは、生理は予定日まだ先だったから。わざわざ生理と被らないように日も決めてたし、まさか旅行中になるとは思ってなくて」


五条「で、どうした。生理になって辛くなって、薬がなくて、それでどうしたんだ?」


ひな「あ、傑に薬もらいました。どんどん酷くなってやばいなって思ってたら、傑が鎮痛薬持ってるってなって、それもらって飲みま」


五条「それが原因だろが!!そこまで言ってなんでまだ気づかないんだ!!」





……っ!!





ダメだ、もう五条先生が怖過ぎて泣きそう。

そんなこと言われても、わかんないよ。





ひな「痛くて病院まで持たないと思ったから飲んだんです……傑がくれたものだし、普通に売ってる薬なのにどうして飲んじゃいけないの……?痛い時は我慢するなっていつも言うのに、怒らないでよ……グスン」





何がいけないのかわからないのに、五条先生に怒鳴られる。

病み上がりなのに、旅行の終わりにこんなことになって気持ちが沈んでるのに、久しぶりに怒られて涙がブワッと溢れた。





五条「ひな、お前の身体は人よりデリケートだから、大抵の薬は強過ぎるんだ。過敏に反応してしまう成分もあって、今回ひなが飲んだ薬もそれだ。アナフィラキシーの原因はロキソプロフェンだぞ」





そんな、ロキソプロフェンなんてみんなよく飲む薬なのに。

考えてみればロキソプロフェンを処方されたことはなかったけど、痛み止めには大体ロキソプロフェンだし、まさか飲んじゃいけなかったなんて。





五条「そもそも薬は人からもらっていいものじゃない。実際みんなよくやってるかもしれないが、ひなはずっと病院にかかってるんだから、それくらい自分で考えなさい」


ひな「……ごめんなさぃ。グスン」


藤堂「先生たちはね、いつもひなちゃんの身体に合わせて薬を処方してるの。他の人と同じ薬に見えても、用量が違うこともある。今後、市販薬を勝手に飲むのは絶対にダメだからね?」


ひな「はい、ごめんなさい……」


藤堂「うん、お約束ね。そしたら、今日はもう1日入院して休んでくれる?昨日発作が起きてるから、念のため昼から検査しようね」


ひな「はい……」





と、力ない返事をすると、





五条「ひな」


ひな「はぃ……」


五条「クラゲ、俺に見せたくて撮ろうとしてたんだって?」


ひな「え?」


宇髄「夏樹が言ってたぞ。五条先生にクラゲ見せたくてどうしても撮りたかったらしいって」


ひな「あ、はい。そうだったんですけど……」





ぽん……





五条「ありがとう。嬉しかったぞ」





ぽんぽん……





……っ///





ひな「で、でもっ!結局撮れなかったし、夏樹にケガもさせちゃいました」


宇髄「『危ないから代わりに撮るって言うのに、自分で撮りたいって聞かないからおんぶしてやったら刺された』って、言ってたな(笑)」





うっ、夏樹そこまで話したんだ……。

まぁ、わたしが悪いんだもんね。

って、五条先生さっきうれしかったって言ったのに、また不機嫌な顔してるし。



そういえば、五条先生電話の時……と思っていると、





五条「俺のためにって聞いて、かわいいから許そうと思ったけど、夏樹におんぶさせたとはな~……」





って言いながら、五条先生はわたしにそっとグッと近づいて、





五条「やっぱり、帰ったらお仕置きしないとな」





って、耳元で囁いた。


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