ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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誕生日の温泉旅行②



ひな「え……?」





誕生日プレゼント?と思ったけど、それにしては普通の袋だし、五条先生もそっけない。





五条「見てみな」





と言われ、中をそーっと見てみると、





ひな「これっ!!」





雑貨屋さんで見てたポーチに、実はもうひとつ気になってたシュシュも入ってる。





ひな「なんで?どうして??いつの間にこれ……」


五条「やっぱり、本当は欲しかったんだろ。なんで欲しいもの欲しいって、言ってくれないんだ」





お店を出た時と同じ。

五条先生の声がまた少し寂しそう。





ひな「だって、このポーチちょっと高かったから申し訳ないかなって思って……」


五条「はぁ?そんなこと気にしてたのかよ……。あのなぁ、値段なんか気にするな。ってか、お金のことは気にするなって前に言っただろ」


ひな「そんなこと言っても、やっぱり五条先生が汗水流して稼いだ大事なお金だし……それに、ポーチはわたしだけが使うものでしょ?お饅頭やお茶みたいに、五条先生と一緒に共有できるものじゃないしと思って……」





と言うと、





五条「そうか。そんな風に考えてくれてたんだな。でもな、せっかく旅行に来て、しかも誕生日だってのに、そうやって遠慮されたらちょっと寂しい気持ちになるぞ。ひなはもっともっと、俺に甘えて欲しい」





って。





ひな「でも……」





五条先生に何かしてもらうことはできても、わたしが五条先生にしてあげられることって何もない。

なのに、わたしばっかり五条先生に甘えて与えてもらうなんて、そんなのできないよ……。





そう言おうと思ったら、





五条「でもじゃないし、そんなことない。俺はひなの笑顔が好きなんだ。ひなの笑顔がたくさん見たいから、何でもしてあげたいって思うんだぞ。ひなは自分ばっかりって思うかもしれないけど、そんなことない。俺が何かしてあげた時、ひなはとびきりの笑顔見せてくれるだろ?俺はそれが嬉しいんだから」





って、また何も言ってないのにそう答えてくれた。

そして、それを聞いたわたしは、





ひな「五条先生。わたし、ポーチもシュシュも本当はすごく欲しいと思ってて、お店出た後もずっと欲しかったなって思ってた。だから、本当にうれしいです。大切に使いますね。ありがとうございます……!」





笑顔で伝えると、





五条「その笑顔が嬉しくて好きなんだ。俺もありがとう」





ぎゅっ……





ひな「ぁわ……っ//」





って、わたしをハグしてくれた。










そして少しの間、そのまま五条先生の鼓動に耳を傾けていると、





五条「ひな、露天風呂入ろうか」





と、五条先生が。





ひな「今から?もう入っていいの?」


五条「昼と夜じゃ外の景色が変わるから。夜はそんなに見えないかもしれないし、ご飯までまだ時間あるから明るいうちに少し入ろう」


ひな「やったぁ!露天風呂、早く入りたかったの!」





と、わたしはこれまた一気にテンションが上がり、ソファーを飛び降りて、お風呂に入る準備をしようとかばんをガソゴソ。

すると……





五条「なぁ、ひなぁ?」


ひな「ひゃぇ!?」





五条先生に、今度は後ろからハグされた。










***



*五条side





五条「なーんか勘違いしてないか~?俺、さっきなんて言った?」


ひな「え?」





露天風呂に入ろう。



もちろん俺は、ひなと一緒に入るつもりで言った。

それなのにひなは、恥ずかしがる様子もなく大喜びで準備をし始めたが……





ひな「ろ、露天風呂……に、今から入ってもいいんですよね?あ、そっか。温泉に入る前は先にお菓子とお茶でしたっけ!」





って、やっぱりわかってない。

頭は決して悪くないのに、どうしてこんなに鈍いのか。





五条「はぁ……」


ひな「え??あっ、ち、違うの?あれ……?ご、五条先生……?」





ひなの頭に顎を乗せてため息をつく俺に、ひなは困惑した様子。





五条「あのさ、ひな。ひなと俺は恋人同士。カップルで温泉旅行に来たんだよな」


ひな「は、はい。そ、そうです//」


五条「で、俺たちは今、露天風呂付きの部屋にいるわけだ」


ひな「い、います」


五条「そこで、彼氏が"露天風呂入ろう"って言ったんだろ?」


ひな「う、うん」


五条「1人で入ろうとする彼女がどこにいるんだ?」


ひな「えっと、……ん??」


五条「ん?」


ひな「……えぇっ!?」





ようやく理解したひなは、俺の方にガバッと振り向いて、大きな目をさらに大きく見開く。





五条「露天風呂、"入ろうか"って言っただろ。"入るか?"ならまだしも"入ろうか"って言ってんだから、一緒に入るに決まってんだろ。何1人で入ろうとしてんだよ!」





そう言うとひなは、みるみる顔を真っ赤にして、





ひな「ご、五条先生と一緒に入るの……!?///」





って、まだ脱いでもないのに胸の前で手をクロスさせる。





五条「当たり前だろ」


ひな「で、でも外明るいし!は、は、恥ずかしい……っ!!」


五条「家で一緒に入った時も明るかったんだから大丈夫だ。恥ずかしいのは仕方ない。俺もそれなりに恥ずかしい」





そう言って、俺はひなの前で上半身の服を一気に脱ぎ、





ひな「うわぁぁっ!!」





目を覆うひなをよそに、バスタオルを取りに行って、下も全部脱いで、腰にバスタオルを巻いて、





五条「ほら、ここにタオル置いとくから。体に巻いて外おいで。俺、先に入っとくからな」





と言い、露天風呂に入ること約5分。

髪を束ね、バスタオルをしっかり体に巻いたひながもじもじしながらやって来た。










***



*ひなのside





五条先生が露天風呂に行っちゃって1人取り残された。





俺もそれなりに恥ずかしいって、どこがよ……。





勢いよく服を脱ぐから、なんとなく見えてしまった五条先生の上半身が頭から離れない。





あ~、もう。

わたしは本当に恥ずかしいんだから……!





そう思いながらも服を脱ぎ、無い胸がさらにぺたんこになるくらいにバスタオルを巻いて外へ出ると、





ドキッ……





湯船からはみ出る五条先生の上半身を今度はがっつり見てしまい、心臓が激しく興奮する。





五条「おいで」





五条先生が手を伸ばしてくれるけど、その濡れた腕とか、その腕の奥下にチラッと見える脇毛とか、そのまた奥に見える乳首とか……

見るつもりはないのに視線を外すことができなくて、





……ゴクッ





と、固まっていると、





五条「どこ見て固まってんだ。ほら、寒いんだから早く入れ」


ひな「ぇ、ぁ、きゃぁっ!!」





湯船の中で立ち上がった五条先生に腕を掴まれ、引き寄せられ、バスタオルを剥がされ、ひょいっと体を持ち上げられ、わたしはお湯の中へ。





五条「気持ちいいな。寒い中こうして外で風呂入るのって、なんでこんな気持ちいいんだろな。はぁ~、最高……」





湯船のふちに両手を広げ、本当に気持ち良さそうに言う五条先生。

そんな五条先生の胸に背中を預けるわたしも、





ひな「はぁ、気持ちいい……」





って、お風呂の気持ち良さに身体の力がどんどん抜けていく。

すると五条先生が、





五条「そうそう。そうやってリラックスしたらいいんだ」





と、わたしを後ろから包み込み、





五条「も~っと、気持ちよくなっていいんだぞ……?」





って、たぶんわざとそういう風に……

反応せずにはいられない声で囁いてきた。





ドキッ……!!





せっかくリラックスしてたわたしの心臓はそれに反応して激しく動き出す。





五条「ははっ。ひな、わかりやすすぎ」





そして、それを秒で見破られ、恥ずかしくてさらに心拍数が上がっちゃう。





ひな「五条先生のいじわる……」


五条「悪い悪い。でも、せっかく2人きりなのにひなが緊張してるから」


ひな「だって、恥ずかしい……」


五条「一緒に風呂入るの2回目なのに恥ずかしいのか。じゃあ、夜は大浴場行くか?」





と言われ、





ひな「大浴場は……」





言いかけたわたしはあることに気がついた。





ひな「五条先生……?」


五条「ん?」


ひな「もしかして、わたしのために露天風呂が付いたお部屋にしてくれたの……?その、わたしの身体が傷だらけだk……」


五条「ひな」





わたしの言葉を遮って、五条先生がまたぎゅっと抱きしめる。





五条「俺がひなと入りたかったから。それだけだぞ」





って、言うけれど、絶対そんなことない。

大浴場だとわたしが身体の傷を気にしちゃって、ゆっくり温泉を楽しめない。

そう思って、どう考えても他よりグレードが高いこの部屋を選んでくれたんだ。

大切な誕生日の、五条先生との初めての温泉旅行で、わたしが人目を気にせず楽しく過ごせるようにって……。





ひな「五条先生……ありがとうございます。お風呂、五条先生とゆっくり入れてうれしいです」





恥ずかしくても、ありがとうはちゃんと伝えたい。

勇気を出して振り返り、五条先生の目を見て伝えると、





五条「俺も」





優しく微笑みながら、わたしがのぼせる寸前まで、ずっとぎゅっとしてくれた。


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