ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

はな

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大嫌いな言葉

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そして、生理があってから1週間。

生理は終わったものの、ひなちゃんの具合は良くならず仕舞い。

一見症状は落ち着いて見えるが、熱は未だ38度を下回らず、お腹の痛みもある様子。

ということで、





宇髄「ひなちゃーん、今からちょっと痛いの我慢だぞー。いくよー……」


ひな「っ、づ……ったい"!! 痛い……!!」





一度治療を行い、ようやく熱は下がったのだが、お腹の経過はやはり良くなくて……。










***



宇髄「ひなちゃん、治療室行こう」





ひなちゃんは静かに首を振る。





宇髄「いつなら出来そう? いつしたい? ひなちゃんが決めていい」


ひな「……ぅぶです」


宇髄「うん?」


ひな「大丈夫です……」


宇髄「嫌なのはよくわかる。だから俺も無理にはしたくない。でも、お腹の痛み続くだろ? 痛み止めでなんとか抑えてこの状態なんだ。治療しないことには対処療法もどこまで持つかわからない。熱も下がったし、他は良くなってきてるから、早く治療して痛み取らないか?」


ひな「……くなぃ」


宇髄「うん?」


ひな「したくないです……。だってもう治療やったのに……生理も来たし、痛い治療もして……っ」


宇髄「ひなちゃん」


ひな「頑張ったのに……ハァハァ」


宇髄「うん、頑張ってえらかったえらかった」


ひな「なんでまたすぐ治療っ、ハァハァ……」


宇髄「そうだな。ごめんごめん」


ひな「もうできなぃ……ハァハァ、やりたくないっ……!!」


宇髄「ん、わかった。今日はやめよう、な? ちょっと落ち着こう」


ひな「ハァハァ……っ」


看護師「はーい、どうされましたかー?」


宇髄「宇髄だ。藤堂先生呼んで。発作起きた」





興奮して発作を起こすひなちゃん。

俺はナースコールで藤堂を呼び、





藤堂「ひなちゃん落ち着くよ~」


ひな「ハァハァ、嫌っ……!! ハァハァ」


藤堂「落ち着こう落ち着こう。大丈夫大丈夫」


ひな「やらないっ……ハァ、ハァッ、もうしなっ……ハァハァ、ハァハァッ」


藤堂「うん、大丈夫だよ。わかんなくなっちゃったね。ひなちゃん、はぁー、はぁー。息吐いてごらん。息吐くのを頑張ろっか。はぁー、はぁー……」


ひな「ハァハァ……ハァ、ハァ……」





泣いて過呼吸状態のひなちゃんを上手く落ち着かせてもらう。










***



~小児科医局~



宇髄「すまんかったな、藤堂。ひなちゃん興奮させた」


藤堂「いえいえ、すぐに落ち着きましたよ。治療、なかなか拒みますね……」


宇髄「うむ。気持ちはわかるが、身体だって辛いはずなのにな。本人は大丈夫の一点張りだ」


藤堂「ひなちゃんって、強がっているというか、気持ちが前に前にある時ほど、調子悪くなりやすいですよね。ドクターストップをかけた時に嫌な予感はしたんです。気丈に振る舞ってリアクションも薄かったので、後々爆発するんじゃないかなと」


宇髄「最初の治療薬もそうだし、治療も珍しくすんなりだったな」


藤堂「入院になって治療になって、メンタルは結構やられているはずで……。だから甘えて欲しかったけど、僕たちじゃ難しいんでしょうね。ひなちゃん、悠仁のところに行かせましょうか。実習に戻らなきゃって焦りもあるはずですし、ストレスが二重三重に掛かるより、思い切って休ませる方が良いかもしれません」


宇髄「そうだな」


藤堂「最低限の治療だけして向こうで療養させて、そのまま海外実習に入らせれば。足らずの実習分は帰国後にカバーしてあげれば、卒業への影響もないはずです」


宇髄「ああ、その方針で賛成する。……とういうわけでだ、神崎。ひなちゃんのクリクラ、一旦打ち切らせてもらっていいか?」


神崎「もちろん。ベストな判断だと思います」


宇髄「ん。それとひなちゃんにだが、神崎から伝えてやってくれないか? 指導医の口から伝えてやってほしい」


神崎「2人揃って医局に来たと思ったら。そんな改まってくれなくても(笑) 承知しました」










***



*ひなのside





藤堂「ひなちゃん、少しお話させて」





その夜。

就寝より少し早い時間に、藤堂先生と宇髄先生、そして神崎先生が部屋へ。

いつもなら藤堂先生が回診に、場合によっては宇髄先生が来てもおかしくはないけれど、なぜか関係のない神崎先生も。

藤堂先生の隣で丸椅子にまたがった神崎先生をチラッと見ると、





神崎「久しぶり」





とだけ、ニコッと言われ、





藤堂「突然3人で来て何かと思うよね。ごめんね。だけど、ひなちゃんに大事なお話があって先生たちと来たよ」


ひな「大事な、お話……」





わたしが藤堂先生から聞く大嫌いな言葉。

過去藤堂先生がこの言葉を発した時、どんな辛い目に遭ってきたか。



お腹のことだろうか。

治療したくないって言ったから、それで何か……?



今度は宇髄先生をチラッと見ると、





神崎「ひなちゃん。大事なお話、今日は俺からさせてもらうね」





話を続けたのは、藤堂先生でも宇髄先生でもなく神崎先生で、





神崎「とりあえず、結論から言うよ。ひなちゃんのクリクラの小児実習は、残念だけどここで打ち切ります」


ひな「えっ……?」


神崎「先生たちで話し合って、今のままでは実習に戻せないという判断になった」





なんで……打ち切りって、なに……。





予想外の大事なお話に、頭から血の気が引いていく。

なぜ神崎先生が突然来たのか。

指導医から伝えられたということは、わたしのクリクラ脱落は決定事項。

クリクラを修了出来ないということが、医大生にとって何を意味するのか。

ここにいる全員がわかっているのに、そうなってしまった……。




藤堂「ひなちゃん、貧血の数値は少しずつ良くなってるよ。喘息も落ち着いてきたし、熱も下がった。だけど、お腹の調子がまだ良くないよね?」


ひな「大丈夫って言ってるじゃん……」





頭が真っ白なはずなのに、それとも真っ白だからか。

わたしの口は利き方も知らないで勝手に動く。





ひな「薬を飲んだ。生理が来た。しんどかったけど頑張った。なのに良くならなかった。だから治療を受けた。嫌で嫌で嫌だったけど、これを頑張ればと激痛に耐えた。ここまですればいつもならもう大丈夫ってなるはずのに、どうして退院できないの、治療が必要になるの……っ」


藤堂「それは、宇髄先生と最初にお話したこと。短期間で症状が悪くなっているようだから、今回は様子を見させてねって」


ひな「そんなの……少し生理が遅れただけなのにっ……。そもそも生理が不順気味なのは今までと別に変わってない。なのに急にこんなこと……」


藤堂「正直に言うと、お腹の状態が悪化してしまった原因は、しばらくセックスできていなかったからだよ」


ひな「Excuse me……?」


藤堂「セックスすることで図らずも外に流れ出せていたそのサイクルが、突然なくなった。それと同時に、実習で身体に負荷がかかり、それはひなちゃんの心にも。相当なストレスがかかっていたと思う。今回調子が悪くなったのは、そういったのが原因」


ひな「ストレスなんてないです……」


藤堂「ううん、そんなことないよ。だって、ひなちゃん1人で全部頑張ってたから。ねえ、ひなちゃん。悠仁がいないの、ちょっと寂しかったね」


ひな「ぇっ……」


藤堂「悠仁がいない間、頼っていいよ、甘えていいよって言ってたのに、ひなちゃんは一生懸命頑張っちゃうから。知らず知らずのうちにストレスが溜まったんだよ」


神崎「そういうことでさ。ひなちゃん、ちょっと休憩しよっか。予定より少し早いけど、五条先生に会いに行っておいで」


ひな「………………ッ、ぅ、ぅっ……」





堰を切ったように涙が溢れ返る。



"五条先生"



涙だけじゃない。

久しぶりにその存在を感じて、いろんなものが全部ブワッと。





藤堂「ずっと悠仁がいたもんね。さみしくなって当然なんだよ。頑張るひなちゃんもえらいけど、休むひなちゃんもえらいからね」


ひな「ぅぅ……ヒック、うっ……ヒック……ヒック…………」










その後は、先生たちから改めて今後についてのことを。

まずは、もう一度だけ治療をして、アメリカに行くということ。

五条先生と少しの間療養して、そのまま予定していた海外実習を行うこと。

神崎先生の実習は一旦終わりにするけど、海外実習を終えて帰国したら、卒業に必要な実習は改めて受けられるように調整してくれると。





宇髄「治療のことは明日また決めよう。眠れそうか? 頭とか痛くなってない?」


ひな「コクッ……」


宇髄「ん。ゆっくり寝てな。おやすみ」


藤堂「おやすみ」
神崎「おやすみ、ひなちゃん」










***



そして、翌日。

夕方になってから、わたしは2度目の治療を受けた。

朝から宇髄先生と相談して、





宇髄「どうしても辛かったら、通常の治療でやってもいいぞ」


ひな「……フリフリ。痛いのは嫌だけどそっちの方が……」


宇髄「辛いか」


ひな「はい……」


宇髄「だよな。そしたら、もう一回子宮の中綺麗にするな。良くてもダメでもこれで終わりにするから、頑張ろうな」





って、結局また激痛に耐えた。



そして、その1週間後に、





ひな「ありがとうございました」





わたしはようやく退院した。


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