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第2章 榊原宗介がふたり?
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「ごちそうさまでした」
エレベーターの外から宗介さんに挨拶をすると、「いや、こちらこそ」とぼそっとつぶやく。
それから亮介さんのほうを見て念を押した。
「ちゃんと彼女を送ってくれよ」
「了解」
亮介さんはにっこり笑って答えた。
じゃあ、とふたりで出口に向かって歩きかけたとき「橋本さん」と呼びとめられた。
「はい?」
「また誘ってもいい?」
極上の笑みを向けられて、わたしは思わずうなずきかえしていた。
***
「兄貴のあんなに楽しそうな顔、久しぶりに見ましたよ」
エンジンをかけながら、亮介さんは言った。
「あの性格で芸能人なんてやってるもんだから、ストレスが溜まるらしくて、忙しくなってからは、いつ会っても不機嫌そうだったんですけどね」
「お忙しいんでしょうね。テレビや映画にひっぱりだこですもんね」
「それだけじゃなくて、雑誌の取材や写真集の撮影、CM、イベント。ほんと、いつ休んでるんだろうって弟の俺でも不思議ですよ。身体が3つ、4つあるんじゃないかって」
「宗介さんって本当に売れっ子芸能人なんですよね。なんだかお話ししているうちに、そんなこと、すっかり忘れていました」
わたしがそう言うと、亮介さんはちらっとわたしのほうに視線を向け、頷いた。
「兄貴がなんであなたに惹かれたのか、わかった気がする」
「えっ?」
エレベーターの外から宗介さんに挨拶をすると、「いや、こちらこそ」とぼそっとつぶやく。
それから亮介さんのほうを見て念を押した。
「ちゃんと彼女を送ってくれよ」
「了解」
亮介さんはにっこり笑って答えた。
じゃあ、とふたりで出口に向かって歩きかけたとき「橋本さん」と呼びとめられた。
「はい?」
「また誘ってもいい?」
極上の笑みを向けられて、わたしは思わずうなずきかえしていた。
***
「兄貴のあんなに楽しそうな顔、久しぶりに見ましたよ」
エンジンをかけながら、亮介さんは言った。
「あの性格で芸能人なんてやってるもんだから、ストレスが溜まるらしくて、忙しくなってからは、いつ会っても不機嫌そうだったんですけどね」
「お忙しいんでしょうね。テレビや映画にひっぱりだこですもんね」
「それだけじゃなくて、雑誌の取材や写真集の撮影、CM、イベント。ほんと、いつ休んでるんだろうって弟の俺でも不思議ですよ。身体が3つ、4つあるんじゃないかって」
「宗介さんって本当に売れっ子芸能人なんですよね。なんだかお話ししているうちに、そんなこと、すっかり忘れていました」
わたしがそう言うと、亮介さんはちらっとわたしのほうに視線を向け、頷いた。
「兄貴がなんであなたに惹かれたのか、わかった気がする」
「えっ?」
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