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第3章 気持ち、あふれて

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 でも……
 もうここで断って帰るには、宗介さんを好きになりすぎていた。

 たとえ一晩だけでも構わない。
 たとえ、それでぼろぼろに傷つくことになったとしても。

「わたしも一緒にいたい、あなたと」
「郁美……」

 そう答えると、彼はわたしを抱きすくめ、さっきとはくらべものにならないほど濃密に唇を重ねた。

***
 
 ネイビーのベッドカバーを乱暴にはぐり、口づけを交わしながら、キングサイズのベッドに縺れあって倒れた。
 
 抱きすくめられ、彼の熱い素肌で全身が溶かされてしまいそうになる。

 肌よりもさらに熱い唇が、わたしの全身をあますところなく責め立てる。

「はぁ、あ、うぅん……」
 彼が施してくれる快楽は、想像をはるかに超えたもので、わたしは声を抑えることができずに、ずっと喘ぎつづけていた。

「郁美、その可愛い声、もっと聞かせて」

 宗介さんはわたしの両腿に手をかけ、ためらわずにわたしの中心に顔を埋めてくる。

「あ、やっ、宗……」
 絶頂に追い立てられ、身体をびくびくと震わせるわたしを、彼が思い切り抱きしめる。
そして、ぐずぐずに蕩けたわたしのなかに彼が入ってきた。

「あぁ……」
 彼が思わず声をあげ、わたしの首筋に歯を立てる。

 身体の内側から熱せられたみたいに全身が熱い。
 彼と自分の発する熱で焼き尽くされてしまいそうだった。

「郁美……」
「宗介……さん」
 
 狂ったようにお互いを求め合い……
 
 わたしたちは同時に昇りつめ、同時に果てた。
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