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第3章 とまどい? ときめき? ルームシェア

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 芹澤さん、得意満面。
 お母さんに100点のテストを見せるときの子供みたい。

 なんだか……こういう顔をされると、彼が大会社の副社長っていうことを、つい忘れてしまいそうになる。
 基本的に人を喜ばすことが好きなんだろうな。
 この間、車のなかでキャンディをくれたときも、こんな顔をしてた。

 でも、まさか、わたしのためにわざわざ用意してくれるはずはないから、ここは女性のゲスト用の部屋ってことかな。
 そんな部屋を、わたしが2カ月以上も独占していいんだろうか。

「ほら、こっちに来てごらん」
 芹澤さんが先に立って歩いていったのは、ベッドルームに直結しているウォーク・イン・クローゼット。

 うわー、これがクローゼット⁉︎
 広っ!
 立派に部屋だよ。この広さなら。

 ただ、どういう訳か、すでに衣服が収納されている。

 これって、元カノの置き土産?
 そりゃあ、こっちは彼女でもなんでもないし、雇われている身なので文句は言えないけど、ちょっと無神経じゃない、これって。
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