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第7章 パーティー、そして
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3日後の祝日。
宗太さんのお母さんのところに挨拶に行くことになった。
レジデンスの最上階は2棟に分かれていて、1棟を会長と宗太さんのお母さん、もう1棟には叔父さん一家が住んでいた。
第一印象が大切なので、春らしいコットン素材のギンガムチェック地のスーツを選んだ。
ワードローブのなかで一番清楚に見えるのがこの服だった。
非常階段を使うとき以外、他の階には行き来ができないので、まずエレベーターで1階まで降り、ふたたび6階まで上がらなければならない。
緊張して固くなっているわたしを気づかって、エレベーターに乗っているあいだ、宗太さんはずっと手を握っていてくれた。
お母さんは玄関出まで出迎えにいらしてくれた。
「いらっしゃい。篠崎さんと神谷さんもお見えになっているわよ」
うわ、先生がふたりとも?
そんな、聞いてないって。
ダメだしされたらどうしよう。
ああ、また動悸が。
宗太さんが先に玄関に上がる。
彼の後ろにいたわたしは、玄関口で立ち止まり「はじめまして。田中壱子と申します」と深々と頭を下げた。
「まあ、はじめてじゃないわよ。子供のころに……あらっ」
わたしが頭を上げたとき、宗太さんのお母さんが大きな声をあげた。
「あなた、あのときの! えっ、じゃあ、あなたが壱子ちゃんだったの」
わたしはあわてて、もう一度頭を下げた。
「あのときは大変失礼しました」
「そうよ。急にいなくなってしまったから驚いたのよ。でも、あなたが宗太のお相手だったなんて。ちっとも知らなかったわ」
事情を知らない宗太さんは、ひとりぽかんとしている。
「どういうこと? 最近、ふたりは会ったことがあったの?」
「あの日、お父様を助けてくださったのが壱子ちゃんだったのよ」
「へえ、そうだったのか。エリカから聞いてなかったな、そんな話」
あの朝は、あの後、その……いろいろあったから、宗太さんに話すのをすっかり忘れていた。
広場で発作を起こしたご老人が、実は芹澤ホールディングス会長で、宗太さんの祖父の芹澤喜一郎氏だった。
宗太さんのお母さんのところに挨拶に行くことになった。
レジデンスの最上階は2棟に分かれていて、1棟を会長と宗太さんのお母さん、もう1棟には叔父さん一家が住んでいた。
第一印象が大切なので、春らしいコットン素材のギンガムチェック地のスーツを選んだ。
ワードローブのなかで一番清楚に見えるのがこの服だった。
非常階段を使うとき以外、他の階には行き来ができないので、まずエレベーターで1階まで降り、ふたたび6階まで上がらなければならない。
緊張して固くなっているわたしを気づかって、エレベーターに乗っているあいだ、宗太さんはずっと手を握っていてくれた。
お母さんは玄関出まで出迎えにいらしてくれた。
「いらっしゃい。篠崎さんと神谷さんもお見えになっているわよ」
うわ、先生がふたりとも?
そんな、聞いてないって。
ダメだしされたらどうしよう。
ああ、また動悸が。
宗太さんが先に玄関に上がる。
彼の後ろにいたわたしは、玄関口で立ち止まり「はじめまして。田中壱子と申します」と深々と頭を下げた。
「まあ、はじめてじゃないわよ。子供のころに……あらっ」
わたしが頭を上げたとき、宗太さんのお母さんが大きな声をあげた。
「あなた、あのときの! えっ、じゃあ、あなたが壱子ちゃんだったの」
わたしはあわてて、もう一度頭を下げた。
「あのときは大変失礼しました」
「そうよ。急にいなくなってしまったから驚いたのよ。でも、あなたが宗太のお相手だったなんて。ちっとも知らなかったわ」
事情を知らない宗太さんは、ひとりぽかんとしている。
「どういうこと? 最近、ふたりは会ったことがあったの?」
「あの日、お父様を助けてくださったのが壱子ちゃんだったのよ」
「へえ、そうだったのか。エリカから聞いてなかったな、そんな話」
あの朝は、あの後、その……いろいろあったから、宗太さんに話すのをすっかり忘れていた。
広場で発作を起こしたご老人が、実は芹澤ホールディングス会長で、宗太さんの祖父の芹澤喜一郎氏だった。
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