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本編
このままずっとべったり
しおりを挟む貴族階級とかあんまり関係なさそうなスペード王国だけど、もちろん政略結婚とかはある訳で。
私にもチラホラ申し込みの手紙が来ているらしい。まだ6歳だよ??
それに、まずはフラグを折らないと婚約したって無駄だからね。修道院行きだから。
さて、無理な走り込みが祟り、まだ微熱のある私はフラフラとお父様の執務室へ足を運んだ。すると、僅かに扉が開いており、私はそーっと中を覗きこんだ。執務室の中にはお父様ではなく、何故だかお兄様が居た。
あれ?お兄様??
お父様の執務机に置いてある手紙を見て、何やら険しい顔をしているけど……
「僕のロゼを婚約者にしたいだなんて。……ロゼは絶対に僕が守るんだから」
(……お兄様?)
じっとお兄様を見ていると、私の視線に気付いたお兄様が、顔を上げて振り向いた。
「ロゼ?」
「お兄様」
「まだ寝てないと駄目だろう?お父様に何か用事かい?」
「お兄様こそ……お父様のお部屋で、何を見ていたのですか?」
「なんでもないよ。少し手紙の確認をしていただけだから。ほら、部屋まで送るよ」
「……お父様は居ないのですか?」
「お母様の所に居るよ。お父様は本当にお母様にべったりなんだから」
お兄様は呆れたように言いながらも、何だか嬉しそうだ。私もお父様とお母様が仲良しなのは嬉しい。
私はお兄様の腕にぎゅっとしがみついて、にこりと笑って見せた。
「私も、お兄様にべったりです。……お嫌ですか?」
私の質問に、お兄様は最初キョトンとした顔をしてから、年相応の可愛らしいお顔になって破顔した。
ぐはっ。
その笑顔尊すぎるっ
「まさか!嫌な訳ないよ!ロゼが僕にべったりで、凄く嬉しい。このままずっとずっと、べったりしていてね」
「ずっとずっとべったりしていたら、二人とも結婚出来ませんわね」
「いいさ。僕はロゼが居てくれれば」
「ふふ。お兄様ったら」
幸せ過ぎる。
私、幸せです。
お兄様の事は、私がこの命に代えてでも守ってみせますからね!
* * *
「ところでロゼ。本当にお父様に何の用事だったんだい?」
「ずっとベッドで寝ていては時間が勿体な…………コホン。いえ、その、退屈でしたので、魔法書でもお借りしようかと」
「でも、ロゼにはまだ読めないだろう?」
「お父様にお願いしようかと」
「…………そーゆう時は僕を呼んでね、ロゼ。僕がいくらでも読んであげるから」
「いいのですか?」
「もちろん!」
「お兄様だいすき!!」
その後。
お兄様ばかりにお願いしていたら、何故だかお父様が泣きました。
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