【R18】乙女ゲームの悪役令息の妹に転生しました!お兄様の処刑フラグを全力で叩き壊します!!

はる乃

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本編

二人っきりになれたね?

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気が付くと、見慣れない天井が見えた。

あれ。
私、どうしたんだっけ。
ここは何処??

ボーッとする頭で、私はベッドから身体を起こそうと思ったけれど、何故だか身体は鉛のように重く、全く動かない。
その事実にだんだんと意識が覚醒していくと、すぐ近くから私を呼ぶ声がした。

「ロゼ!!目が覚めたのか?!」
「お父様……?」

お父様が私の傍へと足早に歩み寄り、そっと手を握ってくれた。
待って。
本当に今ってどういう状況なの??

「ああ、良かった。……ロゼがゴーレムの作りすぎで魔力を涸渇させたと聞いた時は、かなり驚いたが……」

ゴーレムの作りすぎ……??

「心配したぞ。今日はリアム殿のご厚意で騎士団の客室に泊めてもらえる事になったから、何も気にせず、ゆっくり休みなさい」

リアム?
リアムって…………

おおお思い出したっ!!!
私、リアムから逃げて、恐くて魔法を使って倒れたんだ!!
それで……
お父様、今なんて言いました?
リアム殿のご厚意??
こ、こんな危険な所に泊まるの?
リアムに殺されたらどーするんですか?!
というか、どうして今日、わざわざ『ガーディアンナイト』のリアムを呼んだんですか?!気軽に会える相手じゃないよね?!

私はベッドに横になったまま、せっかく騎士団に連れてきてくれたお父様に、思わず抗議してしまった。

「お父様!何故わざわざリアム様を呼んだのですか?ゴーレムくらい、アーマーナイトの方達でも作れるでしょう?」
「それだとお前の存在が目立ってしまうだろう?」
「え?」

私の存在が目立つ??

―――コンコン。

お父様の言っている事が分からず、私がその理由を訊こうとした時。誰かが扉をノックした。そして……
中に入って来たのは、一番会いたくないリアムだった。

「オーガスタス様。ロゼリア様に魔力回復を使いたいのですが、宜しいですか?」
「リアム殿、わざわざ申し訳ない」
「いえいえ。私が動けば事足りますからね」
「礼を言う」
「……少し、席を外していただいても?集中したいので」
「そうか。……ロゼが心配だが、致し方ない。これもロゼの為だからな」
「?!」

お、お父様?!
どちらに行かれるおつもりで?!
まさかまさかまさか、私をリアムと二人きりにするおつもりですか?!

「ロゼ、お父様は隣の部屋に居るからな。リアム殿に失礼のないように」
「や、嫌です、お父様!傍に居てくださ……」
「それでは、オーガスタス様。また後ほど」
「あ、ああ。宜しく頼む」

そんなっ?!
お、お父様あああああああああああああああああああああ!!!!!

―――バタン。

無情にも扉は閉じられてしまった。
リアムは笑顔で閉まった扉の方に「ばいばーい」と手を振っている。

くっ!!
お父様の、この男への絶対的な信頼は一体何なの?!こんなに胡散臭いのに!!!

「さーて。ロゼリア、二人っきりになれたね?」
「ひっ?!……な、何をするつもりですか?!」
「あははっ。だから、取って食べたりしないって。私は君と話がしたいだけだよ」
「……お、怒られるのは嫌です」
「嘘をつくつもりなの?」
「…………本当の事を言っても、信じてもらえないと思いますから」
「ふーん。でも、嘘だったら私には分かるから。それに、私はこう見えて口が堅い。話す相手もあまり居ないけどね。だからオーガスタスも、私を呼んだんだろう」
「……え?」
「確かに、5属性持ちなんて世間に知られたら大騒ぎだろうね。君は知らなかっただろうけど、この場所は騎士団本部の中でも『ガーディアンナイト』と一部の使用人しか使えない場所なんだ。外部の人間の出入りは殆ど無い」

えええええええええ?!
そうなの??
何か普通に馬車で来て、建物の入口付近から転移魔法陣でパッと来たんですけど……

「オーガスタスから、娘を人目に触れさせたくないと言われてね。だったら家に土属性持ちの魔法師を呼べばいいのにさ。ロゼに凄い立派なゴーレムを見せてやりたいからって」

凄い立派なゴーレム?!
お父様、私は普通のゴーレムが知りたかっただけなのですが?!!
でも凄い立派なゴーレムも気になる!!!

「あのオーガスタスが、こんなに親馬鹿だったなんて知らなかったよ。まぁでも、親馬鹿になる気持ちも分かる気がする。……こんなに可愛い娘ならね」

リアムはそう言いながら、私が寝ているベッドに腰を下ろした。そして、私を見て悪戯っぽい笑みを浮かべた後、私の髪を一房掬い取り、その形の良い唇を寄せた。

「なっ……何を……?!」
「こんな事で顔を真っ赤にするなんて、ロゼリアは可愛いね。それとも、君くらいの女の子は、こんなものなのかな?普段子供と接しないから分かんないや」

そう言って、リアムは手にしていた私の髪を、パラリと落とした。
リアムの漆黒の瞳が、見定めるように、私をじっと見つめる。

「さて、本題に入ろう。君が何者なのか、私に教えて?」

うん。
身体は全く動かないもんね。

……………………話すしかないようです。


* * *
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