魔狩人

10月猫っこ

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六の一

血の宴、その後

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 どうやって家に帰ったのかすら朧気な記憶の中、水鳥は自室でずっと天井だけを見て朝を迎えた。
 カーテンの隙間から入り込む眩しい光が、眠ることが出来なかった水鳥の網膜を刺激する。
 重い頭の隅で、それでも学校に行かなければと囁きがこぼれると、仕方なしに水鳥は横になっていたベッドから身体を起こし、血の匂いが染み付く制服に手を伸ばした。
 ひどく緩慢な動作で制服に身を包んだ水鳥は、家族の心配そうな視線を無視して外へと出ていく。引きずるような足取りで通学路を歩む中で、水鳥はすれ違う人々の顔をちらりと眺め、思わず唇を引き結んでいた。
 何も知らない人達にとっては、この朝も何時もの通りでしかない時間帯だ。学校に辿り着けば、自分以外の生徒達にとっては騒がしい、程度で何時もと変わらぬ学校生活を送るのだろう。
 それが、ひどくつらい。
 学校に近づけば近づくほど水鳥の足は遅くなるが、それでもいつの間にか校門をくぐり抜け、教室へ向かうべく歩を進める。
 他のクラスと違い、水鳥のクラスは朝のざわめきはなく、しんと静まりかえり沈痛な空気が漂っていた。小さく息を吸い込み、水鳥は教室内にゆっくりと入り込む。
 見回さなくとも、教室の中心で友人達は固まって何かを話し込んでおり、水鳥の姿を見た途端に悲鳴のような高い声を上げた。
「水鳥!」
 ビクリと身体が跳ねる。
 だが、そんな水鳥の些細な仕草には気が付かなかったのか、歌穂は涙をこぼしながら水鳥へと話しかけた。
「どう、したの?」
 我ながら馬鹿なことを言う、そう思いながらも、なんとかそれだけを口にする。
 おかしな表情を浮かべているのではという不安は、けれども冷静さを失った友人には見咎められなかったのだろう。
 駆け足で水鳥に近づいた歌穂は、涙でぐしゃぐしゃになった顔で水鳥に叫ぶように言葉を放った。
「祥が……祥が死んじゃったのよ!」
「っ」
 知っている、と水鳥は喉の奥で声を潰す。だが、そんなことを口にすれば、自分が何故その事実を友人達よりも先に知っているのだと詮索されることは間違いない。
 凍り付いたように立ち尽くす水鳥の反応に、歌穂は涙をぬぐうことなく水鳥のの肩を乱暴に揺らした。
「だからっ、祥が」
「死んだって、何で」
 滑稽な質問だと、冷静な部分がそう囁く。けれど、それ以外の言葉が上手く見つからなかった為に、水鳥は何とかそれだけを押し出した。
 くしゃくしゃになった顔を更に歪め、歌穂は何度もしゃくり上げながら水鳥に断片的な情報を与える。
「わかんない。けど、昨日の夜、第二校舎で見つかったって」
 そう、と小さく水鳥は呟き、顔を伏せた。
 全てを知っている水鳥にとっては、改めて事実をつきつきられただけの友人の言葉でしかない。全て知っている、と、友人達に言えたらどれだけ楽だろう。
 きつく拳を握りしめた水鳥だが、ふと感じた顔を上げて視線を追いかける。
 窓に背を預けた榊里留、いや、八頭亜里沙は水鳥の様子を観察するように冷徹な視線を向け、周りの人間となれ合うでも無く教室の様子をうかがっている。
 あの二人は、あの後どうしたのだろう。
 第二校舎の惨状をあのままにしたであろう事は、何となくは察することが出来る。でなければ、昨夜のあの煌々とした赤色灯の意味が分からなくなる。あの時には、すでに祥の遺体は発見されていたのだろう。それに……。
 記憶の断片ではあるが、自分達を襲った何かは細工をするようなことをせず、まるで北斗と亜里沙を挑発するように現場をそのままにしていたはずだ。それは、気を失ってから目覚める時に聞いた亜里沙の言葉が裏付けしている。
 よほど頭の良い奴が行動している。
 北斗達が危惧していたのは、生徒達に恐怖感が植え付けられることなのだろう。そうでなければ、あの二人が何らかの手出しをして、祥の遺体をもっと後に発見させていたはずだ。
 知らず知らずのうちに歪む顔を見てだろう。歌穂は心配そうに水鳥に声をかけてきた。
「水鳥、あの、大丈夫?」
「え?」
 不思議そうな声が出てしまった水鳥に、歌穂は不信感を募らせたように水鳥の顔を覗き込む。
 瞬間、水鳥の頭の中に昨夜のことがまざまざと浮かび上がった。
 視界が真っ赤に染まり、祥の悲鳴が耳の奥でがんがんと鳴り響く。喉の奥で悲鳴が張り付き、荒い呼吸だけが唇を動かす。カタカタと身体が震え、冷たい汗が背筋を止まることなく流れていく。
 誰が見ても異常な水鳥の様子に、歌穂が慌てて水鳥を席まで引っ張ると安心させるようにそこへ座らせた。
「あたし……」
「昨日は祥と一緒に帰らなかったんでしょ」
「……うん」
「そう、だよね。でなきゃ、水鳥も殺されてたかもしれないんだよね」
 そう言葉をたぐり寄せた歌穂が、自分の言葉にじわりと涙を目の縁に溢れさせた。
 泣き出した友人から視線をそらし、水鳥はきつく握りしめた拳に視線を落とす。
 嘘をつくのは心苦しいが、自分が生き残った理由を説明することが出来ずにいる水鳥としては、教室にいることすら息苦しくて仕方がない。けれど、この場にいることでしか安心を得られることが出来ない。
 涙すらも出ることが出来ずにいる水鳥は、そっと教室内を見回す。
 誰もが暗い顔で密やかな声で会話をし、その視線を祥が座っていた席に向ける。主を失った席には、誰かが生けたのであろう花が置いてあり、それがいっそう祥の死を鮮明にさせているように感じられた。
 そんな光景を見、現実が現実だと認識できた途端、ふと水鳥の中に自分は生きてここにいる事はなかったのだという可能性が、ぞわりと背筋を走り抜けて頭をよぎった。
 運が良かったのだと、昨夜の言葉ががんがんと鳴り響くように心の中で荒れ狂う。
 目の前で無残に切り刻まれた祥のようにならず、こうして息をし、生きていることが出来るのは、ただただ本当に運が良かっただけなのだ。
 ―どうして?
 無言で攻めていたガラス玉のような祥の眼。助けられなかった自分を見据えていたその眼を思い出し、水鳥の唇が小さく戦慄き意味のなさない言葉をブツブツと途切れることなく紡いでいく。 
「深田さん」
 呼びかけに、水鳥は弾かれたように顔を上げる。
 ぎこちない動きで声の上がった方向へと顔を向ければ、このクラスにいる間はその姿を取っている榊里留こと八頭亜里沙が近づいてきていた。
「顔色が悪い。保健室に行った方がいいかもしれないな」
 そう告げられた後、亜里沙からそっとハンカチが差し出される。
 ありがとう、と、何とかそれだけを唇から押しだし、水鳥は迷いながらも亜里沙からハンカチを受け取り、表情を全く変えずに自分を見つめるその姿に居心地の悪さを覚えた。
「歩けるか?」
「―それぐらい、出来ます」
 心配してくれてるのだろうと自分に言い聞かせながらも、それでも問いかけが何とはなしに馬鹿にしているように思え、水鳥はとげとげしい口調で言い切ると膝に力を入れて立ち上がった。
 呼吸を整え、ぐらつく身体を必死に叱咤して歩き出した水鳥の姿に、慌てて数人の友人が駆け寄った。
「水鳥、ほんとに大丈夫?」
「うん」
 安心させるようにそう返事をしてみせるが、歌穂達がそれで納得するはずはない。何しろ、顔色は青から白と言った方が良く、身体もふらついているのだ。そんな状態を見て、安心など出来るはずもない。
 水鳥の状態にいち早く気付いた亜里沙にきつい視線が送り、保健室へと連れて行けという視線を込めるが、それら全てを軽く肩を竦めることでやり過ごし、亜里沙は水鳥達を置いて廊下へと姿を消した。
「なにあれ」
 険の籠もった声を上げる歌穂に苦笑し、水鳥はゆっくりと歩き出す。
 それを追いかけようとする友人達を手で制し、水鳥は亜里沙と同じく廊下へと出るとその姿を探す為に周囲に目を走らせた。
 本来ならば朝のホームルーム前ということもあり、生徒の姿があちこちに見られるはずなのだが、今は閑散とした空気をまき散らした廊下はぽつぽつとした人影しか見当たらない。その為、比較的簡単に亜里沙の後ろ姿を見つけることが出来た。
「あの、榊君」
 恐る恐る呼びかければ、立ち止まって窓の外を見ていた亜里沙が視線を水鳥に向ける。
 何の表情も浮かべていない亜里沙の瞳は、ひどく冷徹で真実を見定めようとしているかのように静かな色を帯びている。思わず言葉を飲み込んだ水鳥の様子に、亜里沙はふと纏う雰囲気を弱め、幾分か近づきやすい空気を放った。
「何、してるの?」
「……調べ物をしている。それだけだ」
 平坦な口調でそう答え、亜里沙は再び水鳥から視線をそらして外を見つめた。
 同じように外に目を向ければ、数台のパトカーと忙しそうに校舎に出入りしている警官の姿が見て取れる。黄色テープの向こうは側は、校舎の中が見られないようにしっかりと青いビニールで覆われ、昨晩の惨劇を誰にも想像させないようにしているように思えた。
「あの、昨日言ってたこと」
「ん?」
「だから、頭の回るのがいるって」
「あぁ」
 そのことか、と言いたげな視線を一瞬だけ寄越すと、亜里沙は昨夜の件を思い出したのか、極々小さな嫌悪を顔に表した。
 それを横目で見ながら、水鳥は沈黙を決め込む亜里沙をじっと見つめる。
 答えなければテコでもここを動かないと察したのか、亜里沙は諦めたように吐息をつくと窓の外を眺めたままぽそりと言葉を漏らした。
「事態を見越して行動している。そう捉えられる節が見受けられるだけだ」
「厄介、なんだよね」
「後手後手に回っているからな」
 遠回しに肯定した亜里沙だが、ついっと瞳を水鳥に合わせると、感情のこもらぬ声で水鳥が必死で考えようとしていたことを止めさせた。
「これ以上、この件に首を突っ込むな」
「え?」
「友人が殺された。そんな事の為に、態々命をかけることもない」
「なっ」
 呆気にとられる言い様に、水鳥は信じられない者をみるように亜里沙を見つめた。
 感情の全く見えぬ顔で外を見つめる亜里沙に、いつの間にか水鳥はきつく拳を握りしめて唸るような声を上げる。
「何で、そんな事言われなきゃならないのよ」
「……別に、他意は無い」
「だったら、もう少しものの言い方を考えていったらどう」
 ケンカを売っているのかとも思える口調だが、表情一つ変えていない所を見ると、どうやらそれは亜里沙の本心からの台詞だったのだろう。唇をかみしめ、水鳥は勢いよく亜里沙から視線をそらせた。
 昨夜もそうであったが、こんな性格では人付き合いなど出来るはずがない。
 冷淡にしか感じられない態度は、だからこそ色々と影で様々なことを言われることになるのだろう。だが、それを知っていたとしても、亜里沙はそんなものを意に返すことはないと言い切れる。
 むしろ、にこやかに対応する亜里沙、というものが全く想像できない為に、彼女はこのままでも仕方なかろうとも思ってしまう。
 自分が大人にならなければ、と言い聞かせつつ、水鳥は亜里沙の視線の先を追う為にそっと顔を上げてそちらへと顔を向けた。
 亜里沙の見つめる先は、創立当初からずっと生徒達を見守っている大きな時計塔だ。蔦が絡まり、煉瓦造りで作られたその塔には、滅多なことでは生徒達が近づくことはない。由緒正しいといえば聞こえはいいが、その外観はまるで生徒達を監視する為に造られたかのような古めかしさだけが目立っていた。
「……あそこに、何かあるの?」
 少しばかりの好奇心が疼き、水鳥はそう尋ねる。
 それに対し、亜里沙は小さな溜息をついてそれを無視すると、水鳥をおいてその場から歩き出した。
 余りにも自然な動きに水鳥は一瞬ぽかんとその背中を見つめるが、慌ててその後を追いかける。
 そんな水鳥の行動に、亜里沙は動きを止めるとまっすぐに水鳥を見つめる。思わず立ち止まった水鳥が、注がれる冷え冷えとした視線に気圧されたかのように動きを止めた。
「深入りしない方が、身の為だ」
 何を言われたか理解するのに数秒かかる。頭の中に亜里沙の言葉が染みいってくると同時に、沸々とした怒りが水鳥の身体を駆け巡った。
「深入りするつもりなんて無いわよ。当たり前でしょう」
 低い声でそう言い放ち、水鳥は亜里沙に背を向けて教室へと足早に向かう。
 それを見送りながら、亜里沙は小さな溜息を吐き出した。
 深入りするな、とは言ったものの、すでに十分すぎるほど水鳥はこの件に関わりを持ってしまっているのだ。それを素直に伝えないのは、これ以上危険にさらされる事がないようにとの配慮と、北斗からの命令じみたきつい言葉のせいだ。
 こちらはすでに後手後手の立場なのだ。これ以上引っかき回すような遠因は作るな。
 そう言われてしまえば、実戦に始めて赴く亜里沙には黙って頷く以外の道がない。それに加えて、余り周囲の事まで気を配る事が出来ていない自分では、どう接する事が一番の早道になるのかも分からない。
 昔から人と接する事は極端に苦手な亜里沙の態度は、他人を嫌悪していると捉えられても仕方の無い仕草ばかりだ。無論、自分の過去を吹聴するなど考えた事もない亜里沙としては、一部の人間が自分の性格を知っていてくれればそれで良い、とどこかで考える節がある。
 そんな態度は敵を作るだけのものでしか無い、と教えられてはいるが、それでも長くその思考によって行動してきた亜里沙には、中々それを変える事が出来ないのは当たり前の事だろう。
 ふぅ、と、知らず知らずのうちに出た溜息に、亜里沙は苦い笑みを口の端に刻む。
 知らず知らずの内にこの件の中心へと追い込まれている水鳥は、昨日の時点で完全に奴等の餌としてのマーキングを施されていた。
 無論それを取り除こうとしたのだが、それに待ったをかけただけではなくそのまま放置しろと北斗は冷静な声で亜里沙に命じたのだ。
「……いったい、何を考えているのやら」
 そう呟きながらも、何とはなしにその考えを頭の中で組み立ててみる。
 水鳥の放置を黙認というよりも、それを行う事で早めのけりを付けようと画策しているだろうことは、本来ならば歓迎すべき手段ではないはずなのだが。
 人道的立場、とやらは、どうやら北斗の考えの中にはないのだろうか。
 どんどんと思考が重苦しいものへと変わるのを止める為に、亜里沙は気持ちを切り替える為に窓の外へと視線を転じた。
 人が忙しそうに動き回っている第二校舎と、それとは対照的に人気の全く見えない時計塔。
 二つの建物には関連がなさそうに見えるのは、自分達以外の人間だけだ。
 普通の人間には決して分からない毒々しい色をした『糸』は、まるで繭を張るかのように第二校舎を覆っている。そしてその『糸』の発生源は、不気味な静けさを漂わせている時計塔だ。
 他の校舎には欠片すらも見えない魔族達の気配。それとは対照的に、あふれ出る妖気を隠すこともなくなった第二校舎と時計塔。余りにも対比がすごすぎる為に、様々な可能性が頭の中に浮かぶが、消去法で消していくには現場の空気を読むことが出来ない為にどれを消すべきかが分からない。
 小さな溜息混じりの言葉が唇を震わせる。
昇魔しょうま、か……」
 人間界を中心に見た際、異なる世界は二つに絞られる。一つは『天界』と呼ばれ、人に『神』やそれに属する者達が暮らす場所。彼等は滅多な事ではこの地上にやって来る事はなく、それ故にこの地上に墜ちたもの達を狩る事は少ない。だが、もう一つの世界。人々に『魔界』と呼ばれ人に仇なすモノが多く暮らす世界では、空間の綻びを見つけては先を競うようにしてこの人間界にやって来る。彼等にとって、たいていの人間は極上の餌としか見ておらず、地上に足を踏み入れれば即座に人間を襲い、そしてその味を覚えた魔物達は『昇魔』と呼ばれ、その後は巧妙に人間界に潜みじっと人を喰う為に行動を押さえ込んでいる。
 そこから考えれば、今回の『昇魔』達の行動は、大胆不敵としか言いようがないほど大規模なモノだ。
 座学では『昇魔』の行動がどのような行動を起こすのかを教わってきたが、現場で起こる事は基本としてあげられた事例どおりになることは少ないのだと、自分の師が言っていた事を思い出す。この件が初めての事案となる亜里沙にとって、蓄積された知識や経験など全くない状態では、どう動いていいのかも分からない。
 少し性格が悪いのよ、と、安宅局長は口調苦いモノを滲ませながらそう告げた事を思い出してしまう。そうなんですか、と、余り気にもとめなかった言葉が、今更のように重くのしかかってくる。
 早く何とかしなくては。そう気が急いてしまい一人で勝手に動きそうになるが、今は最善を尽くす為に動かなければ、犠牲者はねずみ算式に増えるのは確定事項だ。
 大きく息を吸い込み、ゆっくりと肺の中の空気を吐き出す。
 兎にも角にも、今大事な事は冷静になる事だ。そう言い聞かせ、亜里沙は水鳥とは反対方向に足を向けた。
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