双子の姉は嫉妬、友達(にされた)の死にたがりの兄は苦労人

Enchanter_k

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【第三話】[朗報]イケメンエンカウント、再来

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 昼休み、周りにはもう既に軽いグループ的なものが形を成し始めてきた頃。
 私は美月に腕を引っ張られていた。廊下で弁当を持たされて。
「ねえ‥どこ行くの?」
「にぃが呼んでる!」
「知らないよ‥私関係ないじゃん…」
 廊下をグイグイ進んでいく。
 美月は「ホント心配性だよねー」とか言ってる。
 そして周りの人がチラチラこちらを振り返る。
 私はまだ校舎の場所がわからないから一人じゃ帰れないぞ…
「そう言えばあの時一緒にいた子、イケメンって騒いでたね」
 あの時…つまり最初のぶつかった時の話だろう。そして騒いでた子、つまり雪のことか。
 それにしても騒いでたって‥絶対美月にだけは言われたくないだろうなあ。
「…それは、なんかごめん。」
「良いよいいよ~ってか、君はイケメンに興味ないの?」
 顔は見えない。
 早歩き程度の速度で引っ張られているが、先生に初日から怒られないだろうか。
「いや、顔より声だから」
「へー、良いねえ。声かぁ」
「うん、美月…さんの兄?は、爽やか系だったからね。私は爽やか系男子より可愛い系のイケボが好き。」
「へ~?あとさん呼びじゃなくていいよ」
 着いたのは、…
「ねえ待ってこれ——」
「来たよー」
 来たところはどうやら生徒会室。
 クラスの上に設置してあるクラスプレートには、後から入れたであろう白い紙に手書きで部屋の名前が書いてあった。
 文字が雑すぎる。
 全部ひらがなだぞ。
 しかも文字が入りきらなかったのか、せいとか「いしつ」の三文字だけ下にちっさい字で書いてある。
 そして美月は扉の開け方が雑すぎる。
 結構強めの力だった。
「思ったより早かったな。で、初日は……あ、あのときの、…少女」
 少しの沈黙。
 …少女って言うんだ…
 名前言ってないし思い浮かばなかったのかな…
「あ、あの時は大丈夫でしたか?」
「ええ、まあ…」
「この子ねえ、桜ちゃんっていうんだよ!あとね、アニメ好き!」
「え、何でそれ…」
 今日、誰にもアニメの話なんてしてないぞ。
「だってほら、カバンについてたあのキーホルダー、幽霊が出てくる高校生とお兄ちゃんの話のやつでしょ?あれ面白いよねー。私も見たよ!」
 そして最後に深夜アニメだから、とのこと。
 なんとも言えない気持ちになった。
 というか、深夜アニメ見てたらみんなアニメ好き判定になるのか…成り行きかもしれないのに…
「まー、でも最近のアニメ名前長いよね。略さないといけないし、内容はわかるけど、使いづらいよねえ。あとなんか恥ずかしい」
「恥ずかしくはなくない?」
「でも内容わかっちゃうから親の前とかで叫んでたら『へー、君そういう内容好きなんだぁ?へー?』ってなっちゃうじゃん!」
「意味わかんないし…」
 私は肩をすくめた。
「兎に角お弁当食べよう!」
「え…」
 3人で?このメンバーで?気まずくないか?私はどんな顔すれば…
「…あ、すいません。私の自己紹介がまだでしたね。」
 するとその兄らしき人は私の方に向き直し、一礼して
「私の名前は柊木律ひいらぎりつです。生徒会長やってます。…ごめんね、多分今後も…特に妹関係で迷惑かけると思うけど…、よろしくしてね」
 身長はやはり私よりある。でも目線もその人の感じみたいなものも、圧がなくて優しい人のそれだ。
 爽やかな微笑み。
 まるで微笑んだ瞬間彼から風が吹いてきたみたいな。
 あー、そう言うキャラいたな。有名アニメとかで、
 瞬きして風飛ばすキャラとか、相手をメロメロにするキャラとか
 雪が騒ぐのも分かる気がする…
 いつも敬語なのに、さらっとタメ口になって喋るとことか、モテるんだろうなあって感じの
「はあ…まあ…はい…」
 こっちは反論する気もなくす。
「そうそう、今日から大親友だもんね!」
「…」
 そんなの初めて聞いた。でも黙る。
 今の状況では何も言えない。
 その代わりため息を飲み込んでこう聞いた。
「一応ですけど、兄妹であってます?」
「「はい/うん!」」
 私の学園生活は想定よりずいぶん騒がしくなってしまった。
 だってコレ、絶対確定演出。
 そういうのはガチャとかで来て欲しい。
 でも、雪以外と昼飯なんて、ずいぶん懐かしく感じた。
 そして美月の弁当はキャラ弁だった。うさぎの。しかも栄養バランス満点の。
 しかも毎日兄に作ってもらってるらしい。
 律さん、やっぱ女子力高いんだな…、絶対私より、いや、私と比べたら誠に申し訳ないレベルの…と思ったのだった。
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