双子の姉は嫉妬、友達(にされた)の死にたがりの兄は苦労人

Enchanter_k

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【第八話】面倒くさい女が二名

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 雪が先生を連れて帰ってきて、体験が決まった後、
 私たちは美月を真ん中にして三人並んで下校していた。
「兄を説得させるの大変だったねー、何であんな一緒に帰りたがるんだろう」
 絶対お前が原因だろ、なんて言えなかった。
「『待て、美月。いっしょにかえろう。』ってさ、毎日言ってるからね?」
 本当に気づいてないのだろうか、この女は。
 すると雪が美月に笑って話しかける。
「ねえ美月?好きなお菓子とかある?」
 でもその雪の顔は、何か企んでいる顔だった。
「うーん、クッキーとかチョコとかラムネとか…」
「じゃあまた今度手作りクッキーあげるからあなたのお兄様の連絡先くれない?」
 そうきたか
 …しかも、『お兄様』呼びって…
 まあでもいつかやりそうだったけど、でも美月も自分の兄だぞ、いくら美月がバカで問題児で変人のヤバいヤツだったとしても、そんな簡単に連絡先なんて
「ホント!?やった~!いいよー、けど、キミの双子ちゃんから貰えば良いじゃん。桜ちゃん持ってるよ?」
「は?」
「にいの連絡先」
 言わないでほしかった事実
 ああ…そうかあれは、フラグだったのか…私はバカか…でも…
 雪は激怒した
 かの裏切り者の妹を除かねばならぬと決意した。
 …なんてことになりかねないぞこれ。
「…えっとね雪、コレには訳が…」
「あーあ、雪ちゃん泣かせたー(ほら雪ちゃん、泣いて)」
 小さな声でコソッと雪に言う美月。
 するとはっとした顔になった雪は泣き真似を始めた。
 地味に上手い
 小刻みに揺れる肩、不安定な息遣い、たまに上がる声色…
 やっぱ悪女向いてるんじゃないの
「う、うぅあ、あッぁ、っな、なんで…し、んじてたっ、のに…」
「あーあ、悪いんだー、せんせーに言ってやろー」
「…」
 何なんだこいつらは、それに何の得があるんだ。
(妹に向かって)泣き真似の上手い姉、それに特にやる気の見れない変な演技(言い出した張本人)のようなものをやる問題児
 だから私は
「…って、待って!置いてかないで!?」
 二人を置いてくことにした。
「待ってー!ごめんって~!ふざけただけだよおー!」
「う、ぐす、まっ、てよ、あなたは、いつも、そう…」
 何がだよ!?
 顔覆って泣きながら女の子走りしてる姉と、
「てか…っ!アンタ早くない!?」
 もう横を走ってる問題児。しかも私に走るスペースを合わせてきている…
 ムカつく…
 だから私はスピードを上げる。
 でも意味はなさなかった。
 結局並んで走行して家に着く。
「じゃーねー、またねー」
 そう言って帰っていく問題児。
 私はすぐ家に入って、風呂に入った。
 そして気づいた。

「…あ、雪のこと忘れてた。」

 結局雪が帰ってきたのは二時間後だった。
 おかしいな、家そんな遠くないはずなんだけどな。
 三十分もあれば歩いてでも通えるはずなんだけどな。
 聞いてみたところ途中で疲れてカフェで一杯やってきたとのこと。
 写真も見せられた。
 メロンソーダにいちごパフェ
 ちょっと意味がわからない。
 そんなこんななやりとりをして、私は自室のベッドにダイブした。
 スマホを見る。
 メッセージが来ていた。
 美月から

 美月[今日大丈夫だった?]

 桜[なにが?]

 美月[ちょっと疲れてたみたいだから]

 桜[特に何もないけど、そっちは?]

 美月[いつも通りだよ~]

 たったそれだけのやり取りだった。
 それに『疲れてたみたい』って、私に自覚はなかった。
 …でも、彼女の言う、『いつも通り』ってどこまで信じれば良いのだろうか。
 …きっと、世間の言う普通ではない気がする。
 そう簡単には、信用してはいけない気がする。
 …私には、わからなかった。
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