16 / 17
【第十四話】朧月
しおりを挟む
視点がいつもと違います。
視点:???
※一部自殺関連の描写が垣間見える場面があります。決して推薦するものではございません。また、この作品はフィクションであり、実在する人物などには一切関係ございません。
—————————————————————
それは二人で夜公園に行って日のことだった。
空は曇ってて、星は見えなかった。
月がぼやけて、少し寒かった。
…親はきっと心配しないだろう。
そしてブランコで‥なんてこともなく、二人でベンチに座っていた。
「あ、のね、ぼ、ぼく、」
「うん、焦らずゆっくりで良いからね」
彼女はいつも僕が焦ったりして吃音が酷くなるとこうして声をかけてくれた。
いつだって彼女は隣で待っていてくれた。
「あ、あの」
「うん」
顔が熱くなる。
頭がくらくらするような感じ。
「あ、ああのね、ぼ、く…」
「———し、にたく、な、ななることが、あ、あるん、だ」
言ってしまった。
もう取り返しがつかない。
彼女はどういう反応をするのだろうか。
でも僕は俯いたまま顔は上げられなかった。
少しの沈黙さえ、長く感じる。
「ご、め」
「私ね、」
口が動かなくなる。喉が締め付けられるような
「私ね、別に悪いことじゃないと思うよ」
頭が真っ白になる。
「だって思ったってことは、思うまでの過程があった訳だよね?」
「それに私、キミじゃないから、キミよりキミの人生なんて知らないし、考えてることだって想像でしか予想ができないもん」
少し顔を上げる。
彼女は空を見上げていた。
「命の重さなんてさ、他人に勝手に決められて、それで常識に従って苦しまないといけないなんて、すっごいさ、苦しいじゃん?」
その顔はいつもと違って落ち着いていた。
儚くも綺麗な
「別にさ、生きようって、意味を探さなくたって良い。でもさ、価値がなくなったら、もうどうしようもできない時だってあるでしょ?」
どうしようもない何かが込み上げる。
「ねえ、教えて欲しい?薬」
「……え?」
突然そんなことを言い出すものだから驚いた。
彼女がいつも唐突だったり予想を超えてくるのはいつものことだったが、こればかりはどうしようもない驚きがあった。
「別にその知識を使って何をするかは自由だよ。強制もしない。でも、ただしね、約束して」
「…もし命に関わることとかに使うなら、本当に『どうしても』ってときだけだよ」
彼女の瞳が僕の目と交わる。
まるで噛み合うように、
「どうしても、もうこれしか選択できなくて、後で後悔しなくて、胸を張ってよかってって言えるなら、後から『別の選択肢があったかも』って思うなら、絶対に使っちゃダメだよ」
その瞳は真剣で、でも顔は笑ってて、
「…な、なんで?」
「だって、知ってるだけでも安心できるってこと、あるでしょ?」
驚きが、感情が、何かが、あふれでる気がした。
「…あとね、死んで悲しむ人いるから、って伝えたかった。わかる?私のことだよ。正真正銘ね。泣いて、泣いて、倒れちゃうかも。…まあ、選ぶのはキミだけど」
「私はキミがどんな選択をしても、絶対キミを責めないからさ、絶対ね、約束。キミを尊重する。」
「…ただ、悲しむのは勝手でしょ?ってだけ、」
その笑顔が忘れられない。
…そう、忘れられない。
僕はその後彼女に泣きついた。
彼女は受け止めた。
ただそれが、暖かくて、心地よくて、
——そして彼女は、高校三年生のあの日、帰らぬ人となった。
視点:???
※一部自殺関連の描写が垣間見える場面があります。決して推薦するものではございません。また、この作品はフィクションであり、実在する人物などには一切関係ございません。
—————————————————————
それは二人で夜公園に行って日のことだった。
空は曇ってて、星は見えなかった。
月がぼやけて、少し寒かった。
…親はきっと心配しないだろう。
そしてブランコで‥なんてこともなく、二人でベンチに座っていた。
「あ、のね、ぼ、ぼく、」
「うん、焦らずゆっくりで良いからね」
彼女はいつも僕が焦ったりして吃音が酷くなるとこうして声をかけてくれた。
いつだって彼女は隣で待っていてくれた。
「あ、あの」
「うん」
顔が熱くなる。
頭がくらくらするような感じ。
「あ、ああのね、ぼ、く…」
「———し、にたく、な、ななることが、あ、あるん、だ」
言ってしまった。
もう取り返しがつかない。
彼女はどういう反応をするのだろうか。
でも僕は俯いたまま顔は上げられなかった。
少しの沈黙さえ、長く感じる。
「ご、め」
「私ね、」
口が動かなくなる。喉が締め付けられるような
「私ね、別に悪いことじゃないと思うよ」
頭が真っ白になる。
「だって思ったってことは、思うまでの過程があった訳だよね?」
「それに私、キミじゃないから、キミよりキミの人生なんて知らないし、考えてることだって想像でしか予想ができないもん」
少し顔を上げる。
彼女は空を見上げていた。
「命の重さなんてさ、他人に勝手に決められて、それで常識に従って苦しまないといけないなんて、すっごいさ、苦しいじゃん?」
その顔はいつもと違って落ち着いていた。
儚くも綺麗な
「別にさ、生きようって、意味を探さなくたって良い。でもさ、価値がなくなったら、もうどうしようもできない時だってあるでしょ?」
どうしようもない何かが込み上げる。
「ねえ、教えて欲しい?薬」
「……え?」
突然そんなことを言い出すものだから驚いた。
彼女がいつも唐突だったり予想を超えてくるのはいつものことだったが、こればかりはどうしようもない驚きがあった。
「別にその知識を使って何をするかは自由だよ。強制もしない。でも、ただしね、約束して」
「…もし命に関わることとかに使うなら、本当に『どうしても』ってときだけだよ」
彼女の瞳が僕の目と交わる。
まるで噛み合うように、
「どうしても、もうこれしか選択できなくて、後で後悔しなくて、胸を張ってよかってって言えるなら、後から『別の選択肢があったかも』って思うなら、絶対に使っちゃダメだよ」
その瞳は真剣で、でも顔は笑ってて、
「…な、なんで?」
「だって、知ってるだけでも安心できるってこと、あるでしょ?」
驚きが、感情が、何かが、あふれでる気がした。
「…あとね、死んで悲しむ人いるから、って伝えたかった。わかる?私のことだよ。正真正銘ね。泣いて、泣いて、倒れちゃうかも。…まあ、選ぶのはキミだけど」
「私はキミがどんな選択をしても、絶対キミを責めないからさ、絶対ね、約束。キミを尊重する。」
「…ただ、悲しむのは勝手でしょ?ってだけ、」
その笑顔が忘れられない。
…そう、忘れられない。
僕はその後彼女に泣きついた。
彼女は受け止めた。
ただそれが、暖かくて、心地よくて、
——そして彼女は、高校三年生のあの日、帰らぬ人となった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
完結‼️翡翠の歌姫は 後宮で声を隠す―2人の皇子と失われた記憶【1/23本編完結】
雪城 冴
キャラ文芸
本編完結‼️【中華サスペンス】
皇帝が隠した禁忌の秘密。
それを“思い出してはいけない少女”がいた。
「その眼で見るな――」
特殊な眼を持つ少女・翠蓮は、忌み嫌われ、村を追われた。
居場所を失った彼女が頼れたのは、歌だけ。
宮廷歌姫を目指して辿り着いた都でも、待っていたのは差別と孤立。
そんな翠蓮に近づいたのは、
危険な香りをまとう皇子と、天女のように美しいもう一人の皇子だった。
だが、その出会いをきっかけに皇位争い、皇后の執着、命を狙われる日々。
追い詰められる中で、翠蓮の忘れていた記憶が揺り動く。
かつて王家が封じた“力”とは?
翠蓮の正体とは?
声を隠して生き延びるか。
それとも、すべてを賭けて歌うのか。
運命に選ばれた少女が、最後に下す決断とは――?
※架空の中華風ファンタジーです
※アルファポリス様で先行公開しており、書き溜まったらなろう、カクヨム様に移しています
※表紙絵はAI生成
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる