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【第十四話】朧月
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視点がいつもと違います。
視点:???
※一部自殺関連の描写が垣間見える場面があります。決して推薦するものではございません。また、この作品はフィクションであり、実在する人物などには一切関係ございません。
—————————————————————
それは二人で夜公園に行って日のことだった。
空は曇ってて、星は見えなかった。
月がぼやけて、少し寒かった。
…親はきっと心配しないだろう。
そしてブランコで‥なんてこともなく、二人でベンチに座っていた。
「あ、のね、ぼ、ぼく、」
「うん、焦らずゆっくりで良いからね」
彼女はいつも僕が焦ったりして吃音が酷くなるとこうして声をかけてくれた。
いつだって彼女は隣で待っていてくれた。
「あ、あの」
「うん」
顔が熱くなる。
頭がくらくらするような感じ。
「あ、ああのね、ぼ、く…」
「———し、にたく、な、ななることが、あ、あるん、だ」
言ってしまった。
もう取り返しがつかない。
彼女はどういう反応をするのだろうか。
でも僕は俯いたまま顔は上げられなかった。
少しの沈黙さえ、長く感じる。
「ご、め」
「私ね、」
口が動かなくなる。喉が締め付けられるような
「私ね、別に悪いことじゃないと思うよ」
頭が真っ白になる。
「だって思ったってことは、思うまでの過程があった訳だよね?」
「それに私、キミじゃないから、キミよりキミの人生なんて知らないし、考えてることだって想像でしか予想ができないもん」
少し顔を上げる。
彼女は空を見上げていた。
「命の重さなんてさ、他人に勝手に決められて、それで常識に従って苦しまないといけないなんて、すっごいさ、苦しいじゃん?」
その顔はいつもと違って落ち着いていた。
儚くも綺麗な
「別にさ、生きようって、意味を探さなくたって良い。でもさ、価値がなくなったら、もうどうしようもできない時だってあるでしょ?」
どうしようもない何かが込み上げる。
「ねえ、教えて欲しい?薬」
「……え?」
突然そんなことを言い出すものだから驚いた。
彼女がいつも唐突だったり予想を超えてくるのはいつものことだったが、こればかりはどうしようもない驚きがあった。
「別にその知識を使って何をするかは自由だよ。強制もしない。でも、ただしね、約束して」
「…もし命に関わることとかに使うなら、本当に『どうしても』ってときだけだよ」
彼女の瞳が僕の目と交わる。
まるで噛み合うように、
「どうしても、もうこれしか選択できなくて、後で後悔しなくて、胸を張ってよかってって言えるなら、後から『別の選択肢があったかも』って思うなら、絶対に使っちゃダメだよ」
その瞳は真剣で、でも顔は笑ってて、
「…な、なんで?」
「だって、知ってるだけでも安心できるってこと、あるでしょ?」
驚きが、感情が、何かが、あふれでる気がした。
「…あとね、死んで悲しむ人いるから、って伝えたかった。わかる?私のことだよ。正真正銘ね。泣いて、泣いて、倒れちゃうかも。…まあ、選ぶのはキミだけど」
「私はキミがどんな選択をしても、絶対キミを責めないからさ、絶対ね、約束。キミを尊重する。」
「…ただ、悲しむのは勝手でしょ?ってだけ、」
その笑顔が忘れられない。
…そう、忘れられない。
僕はその後彼女に泣きついた。
彼女は受け止めた。
ただそれが、暖かくて、心地よくて、
——そして彼女は、高校三年生のあの日、帰らぬ人となった。
視点:???
※一部自殺関連の描写が垣間見える場面があります。決して推薦するものではございません。また、この作品はフィクションであり、実在する人物などには一切関係ございません。
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それは二人で夜公園に行って日のことだった。
空は曇ってて、星は見えなかった。
月がぼやけて、少し寒かった。
…親はきっと心配しないだろう。
そしてブランコで‥なんてこともなく、二人でベンチに座っていた。
「あ、のね、ぼ、ぼく、」
「うん、焦らずゆっくりで良いからね」
彼女はいつも僕が焦ったりして吃音が酷くなるとこうして声をかけてくれた。
いつだって彼女は隣で待っていてくれた。
「あ、あの」
「うん」
顔が熱くなる。
頭がくらくらするような感じ。
「あ、ああのね、ぼ、く…」
「———し、にたく、な、ななることが、あ、あるん、だ」
言ってしまった。
もう取り返しがつかない。
彼女はどういう反応をするのだろうか。
でも僕は俯いたまま顔は上げられなかった。
少しの沈黙さえ、長く感じる。
「ご、め」
「私ね、」
口が動かなくなる。喉が締め付けられるような
「私ね、別に悪いことじゃないと思うよ」
頭が真っ白になる。
「だって思ったってことは、思うまでの過程があった訳だよね?」
「それに私、キミじゃないから、キミよりキミの人生なんて知らないし、考えてることだって想像でしか予想ができないもん」
少し顔を上げる。
彼女は空を見上げていた。
「命の重さなんてさ、他人に勝手に決められて、それで常識に従って苦しまないといけないなんて、すっごいさ、苦しいじゃん?」
その顔はいつもと違って落ち着いていた。
儚くも綺麗な
「別にさ、生きようって、意味を探さなくたって良い。でもさ、価値がなくなったら、もうどうしようもできない時だってあるでしょ?」
どうしようもない何かが込み上げる。
「ねえ、教えて欲しい?薬」
「……え?」
突然そんなことを言い出すものだから驚いた。
彼女がいつも唐突だったり予想を超えてくるのはいつものことだったが、こればかりはどうしようもない驚きがあった。
「別にその知識を使って何をするかは自由だよ。強制もしない。でも、ただしね、約束して」
「…もし命に関わることとかに使うなら、本当に『どうしても』ってときだけだよ」
彼女の瞳が僕の目と交わる。
まるで噛み合うように、
「どうしても、もうこれしか選択できなくて、後で後悔しなくて、胸を張ってよかってって言えるなら、後から『別の選択肢があったかも』って思うなら、絶対に使っちゃダメだよ」
その瞳は真剣で、でも顔は笑ってて、
「…な、なんで?」
「だって、知ってるだけでも安心できるってこと、あるでしょ?」
驚きが、感情が、何かが、あふれでる気がした。
「…あとね、死んで悲しむ人いるから、って伝えたかった。わかる?私のことだよ。正真正銘ね。泣いて、泣いて、倒れちゃうかも。…まあ、選ぶのはキミだけど」
「私はキミがどんな選択をしても、絶対キミを責めないからさ、絶対ね、約束。キミを尊重する。」
「…ただ、悲しむのは勝手でしょ?ってだけ、」
その笑顔が忘れられない。
…そう、忘れられない。
僕はその後彼女に泣きついた。
彼女は受け止めた。
ただそれが、暖かくて、心地よくて、
——そして彼女は、高校三年生のあの日、帰らぬ人となった。
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