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第四話 強すぎる者たち
しおりを挟むその冒険者たちは、
昼に現れた。
数は五人。
全員が、
高レベルだった。
鎧は新しく、
剣はよく手入れされている。
歩き方だけで、
わかる。
――慣れている。
「この辺り、
魔物が多いな」
「狩り尽くせば、
楽になる」
笑い声が、
軽かった。
ラストは、
遠くから見ていた。
胸の奥が、
冷える。
理由は、
わからない。
だが、
嫌な予感がした。
彼らは、
境界を越えた。
石の壁を、
意にも介さず。
「細かい取り決めだ」
「気にするな」
剣が、
振るわれた。
魔法が、
放たれた。
森の奥から、
悲鳴が上がる。
魔物は、
逃げなかった。
逃げ場が、
なかった。
ラストは、
歯を噛みしめる。
止められない。
言葉も、
力も。
何も、
足りない。
夕方までに、
森は静まり返った。
静かすぎるほどに。
「いい稼ぎだ」
冒険者たちは、
満足そうだった。
「経験値も、
山ほど入った」
その夜。
風が、
止んだ。
虫の声も、
聞こえない。
ラストは、
眠れなかった。
胸が、
ざわつく。
まるで、
何かが
欠けたような。
翌日。
異変は、
すぐに起きた。
森の外で、
別の魔物が現れた。
昨日より、
大きい。
凶暴だ。
「なぜだ?」
村は、
混乱した。
「狩ったはずだろ!」
高レベル冒険者は、
首をかしげる。
「おかしいな」
「数は、
減ったはずだ」
ラストは、
境界を見る。
石の壁が、
崩れていた。
踏み荒らされ、
意味を失っている。
「……空いた」
小さく、
呟く。
魔物が消えた場所。
そこに、
別の何かが
入り込む。
それが、
自然だ。
「全部、
狩ればいい」
冒険者が、
剣を構える。
だが――
村人の顔は、
青ざめていた。
「前より、
危なくなってないか」
誰かが、
言った。
その言葉に、
ラストの胸が
強く打たれた。
夜。
水晶板を、
見る。
レベル:1
変わらない。
だが。
境界は、
もう戻らない。
静けさは、
消えた。
ラストは、
初めて思った。
「……強さが」
「間違うことも、
あるんだ」
水晶板が、
微かに光った。
だが表示は、
変わらない。
レベル1。
その夜。
世界は、
少しだけ
不安定になった。
誰も、
それを
数値で
測れなかった。
――少年だけが、
気づいていた。
「減っている」
何かが。
確実に。
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