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第17話 真実
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「だってさ。シン。」
俺の指摘にシンは動きを止める。彼のサラダの皿は空。完食していた。しかし、緑色の着色料の影響は受けていない。たったそれだけの事実が、彼の素性を明らかにした。全員がシンの顔に注目する。さすがのエウルールも驚きを隠せないようであった。
「貴様・・・。どういうことだ?」
シンはエウルールのドスの効いた声色での質問にも動じていない。静かに目を閉じている。
「私も、気になるな。シン君。」
カールも加わり、問い詰める。シンは決心がついたように小さくため息を漏らし、遂に口を開く。
「俺は・・・、そいつと同じ異世界人だ。」
「やはりそうか!貴様!」
エウルールは机に拳を立て勢いよく身を乗り出し、それをカールとレイが制止する。
「エーベルハルト殿、落ち着いて!」
マキナの存在のカミングアウトに続き、シンが異世界人であるという事実が発覚した今、面倒ごと嫌いのエウルールの不満はその許容量を完全に越えていた。エウルール氏が落ち着きを取り戻し始めた時、シンがその素性を語り出す。
「俺は異世界人だ。当然俺も魔具は使えないし、その効果も受けない。そしてこの世界に転移してきたのは3年以上前のことだ。」
「それじゃあ、君も”マキナ”と共に行動をしているのかい?」
そうカールが問う。
「そうだ。異世界転移は”管理者”の意思を反映した”マキナ”によって行われる。転移先の世界に適用し得る特性を持つ人間を転移させるんだ。言語が通じ、能力相性も良く、英雄思考の強い者が選ばれる。そして、”管理者”は異世界人が目的を達成しようとしない時には同じ異世界人にその制裁をさせようとする。俺はデューオの制裁のために召喚されたんだ。」
「デューオって、支配者デューオのことかい?まさか、奴も異世界人だったってのか。」
カールは押し寄せる様々な新事実に整理が追いついていないようであった。だがデューオのことは今はどうでもいい。俺はこの事件とシンの関わりについて詰めを始める。
「シン、単刀直入に言うと俺は君が君のマキナを使いエドさんとヨハンさんを殺したんじゃないかと考えている。君のマキナの”斬撃による防衛システム”が凶器となっていると考えれば、犠牲者の首が綺麗に落とされていることにも納得がいく。」
全員が息を飲み、シンを見つめる。
「はは。仮にそうだとして、俺に奴らを殺すほどの動機があると思うか?」
「それは俺も推測の域を出ないけど、まずエドさんへの殺害動機は”自分が異世界人だとバレないようするため”だ。彼の提供する調味料魔具は今回の着色料と同様に君には効果がない。それを違和感に感じるものが現れると君は疑われる。つまりエドさんは君にとって邪魔な存在だったんだ。そしてヨハンさんへの殺害動機は、ヨハンさんがこの結界の外に出ようとしたからだ。結界の外に出れば麓にまで進軍してきたデューオ軍によって発見される。そのリスクを回避するために君は彼を殺害したんだ。」
「俺が”異世界人であること”を隠す理由などないだろ?」
「あるよ。”ベティーナ”だ。彼女が異世界人に因縁があり、用心棒をしている君自身が異世界人だとバレればただ事では済まないだろ?君たちが行動を共にしている経緯まではわからないが、なんというか、その、君がベティーナに特別な感情を抱いていると俺は考えている。」
俺の推理にレイが顔を赤らめる。
「だから、君は異世界人だということをバレたくなくてエドさんを殺し、彼女の身の安全のためにヨハンさんを・・・。」
シンは黙る。その黙秘をYESと捉えたエウルールが指示を出す。
「その男を拘束せよ。連れの少女も同様にだ。」
「彼のマキナちゃんのことですね。」
カールは”連れの少女”が誰のことかを確かめ、シンを麻製の縄で拘束し始める。シンは抵抗をしなかった。カールはシンを連れて彼の部屋へと移動を始める。”マキナ”の拘束に向かったのであろう。
カールがシンとマキナを拘束し終え、広間Bに戻ってきた。
「二人とも大人しく拘束されましたよ。ついでにベティーナ嬢の様子も見てきましたが、タクト君と戦闘を終えてからグッタリし続けていますね。一応朝食も運んでおいておきましたよ。」
カールはそう報告をして、自室に戻っていった。続くようにしてエウルールも疲れ果てた顔で部屋に戻っていった。
そして俺は広間Bに残り、レイと食後のコーヒーを飲んでいた。
「まさか彼が犯人だったとはな。マキナの存在や異世界人の特性等、我々の知識だけでは到底辿り着くことができなかった真実であったな。改めて君が召喚された理由が理解できたよ。」
「たしかに、管理者は俺にこの解決を望んでいたのかもしれないですね。シンが言っていたように、異世界人の--シンの制裁を俺にさせようと。」
隣ではまたマキナがウトウトとしている。コーヒーを一飲みした後に、俺は今回の事件を振り返る。
「今回の事件は、マキナの存在・能力と異世界人には魔具が効かないということがポイントになっていました。最初にエウルールさんが”嘘を見抜く魔具”を使ったのにも限らずにシンに反応しなかったのは異世界人の特性によるもので、そのせいでシンが犯人と疑われることは無かった。そしてシンが皆の前に姿を現している時にマキナがエドさんを殺害し、そのタイミングで俺が転移。焦ったマキナが窓から逃走する姿を目撃。」
「そこを君はベティーナ嬢に目撃され、容疑者になったわけだな。正直言えば最初は私含め皆君を疑っていたよ。」
「まぁ、無理はありませんよね。でも、なんだかんだで今日この瞬間を迎えられてよかったです。」
「そうだな。私もそう思う。差し支えなければ君の居た世界について聞かせて欲しいのだが、いいかな?」
「わかりました。簡単にお話いたします。」
「あれは2025年7月30日、学校からの帰り道だったんですけど、あ、2025年っていうのは俺のいた世界での・・・」
俺の指摘にシンは動きを止める。彼のサラダの皿は空。完食していた。しかし、緑色の着色料の影響は受けていない。たったそれだけの事実が、彼の素性を明らかにした。全員がシンの顔に注目する。さすがのエウルールも驚きを隠せないようであった。
「貴様・・・。どういうことだ?」
シンはエウルールのドスの効いた声色での質問にも動じていない。静かに目を閉じている。
「私も、気になるな。シン君。」
カールも加わり、問い詰める。シンは決心がついたように小さくため息を漏らし、遂に口を開く。
「俺は・・・、そいつと同じ異世界人だ。」
「やはりそうか!貴様!」
エウルールは机に拳を立て勢いよく身を乗り出し、それをカールとレイが制止する。
「エーベルハルト殿、落ち着いて!」
マキナの存在のカミングアウトに続き、シンが異世界人であるという事実が発覚した今、面倒ごと嫌いのエウルールの不満はその許容量を完全に越えていた。エウルール氏が落ち着きを取り戻し始めた時、シンがその素性を語り出す。
「俺は異世界人だ。当然俺も魔具は使えないし、その効果も受けない。そしてこの世界に転移してきたのは3年以上前のことだ。」
「それじゃあ、君も”マキナ”と共に行動をしているのかい?」
そうカールが問う。
「そうだ。異世界転移は”管理者”の意思を反映した”マキナ”によって行われる。転移先の世界に適用し得る特性を持つ人間を転移させるんだ。言語が通じ、能力相性も良く、英雄思考の強い者が選ばれる。そして、”管理者”は異世界人が目的を達成しようとしない時には同じ異世界人にその制裁をさせようとする。俺はデューオの制裁のために召喚されたんだ。」
「デューオって、支配者デューオのことかい?まさか、奴も異世界人だったってのか。」
カールは押し寄せる様々な新事実に整理が追いついていないようであった。だがデューオのことは今はどうでもいい。俺はこの事件とシンの関わりについて詰めを始める。
「シン、単刀直入に言うと俺は君が君のマキナを使いエドさんとヨハンさんを殺したんじゃないかと考えている。君のマキナの”斬撃による防衛システム”が凶器となっていると考えれば、犠牲者の首が綺麗に落とされていることにも納得がいく。」
全員が息を飲み、シンを見つめる。
「はは。仮にそうだとして、俺に奴らを殺すほどの動機があると思うか?」
「それは俺も推測の域を出ないけど、まずエドさんへの殺害動機は”自分が異世界人だとバレないようするため”だ。彼の提供する調味料魔具は今回の着色料と同様に君には効果がない。それを違和感に感じるものが現れると君は疑われる。つまりエドさんは君にとって邪魔な存在だったんだ。そしてヨハンさんへの殺害動機は、ヨハンさんがこの結界の外に出ようとしたからだ。結界の外に出れば麓にまで進軍してきたデューオ軍によって発見される。そのリスクを回避するために君は彼を殺害したんだ。」
「俺が”異世界人であること”を隠す理由などないだろ?」
「あるよ。”ベティーナ”だ。彼女が異世界人に因縁があり、用心棒をしている君自身が異世界人だとバレればただ事では済まないだろ?君たちが行動を共にしている経緯まではわからないが、なんというか、その、君がベティーナに特別な感情を抱いていると俺は考えている。」
俺の推理にレイが顔を赤らめる。
「だから、君は異世界人だということをバレたくなくてエドさんを殺し、彼女の身の安全のためにヨハンさんを・・・。」
シンは黙る。その黙秘をYESと捉えたエウルールが指示を出す。
「その男を拘束せよ。連れの少女も同様にだ。」
「彼のマキナちゃんのことですね。」
カールは”連れの少女”が誰のことかを確かめ、シンを麻製の縄で拘束し始める。シンは抵抗をしなかった。カールはシンを連れて彼の部屋へと移動を始める。”マキナ”の拘束に向かったのであろう。
カールがシンとマキナを拘束し終え、広間Bに戻ってきた。
「二人とも大人しく拘束されましたよ。ついでにベティーナ嬢の様子も見てきましたが、タクト君と戦闘を終えてからグッタリし続けていますね。一応朝食も運んでおいておきましたよ。」
カールはそう報告をして、自室に戻っていった。続くようにしてエウルールも疲れ果てた顔で部屋に戻っていった。
そして俺は広間Bに残り、レイと食後のコーヒーを飲んでいた。
「まさか彼が犯人だったとはな。マキナの存在や異世界人の特性等、我々の知識だけでは到底辿り着くことができなかった真実であったな。改めて君が召喚された理由が理解できたよ。」
「たしかに、管理者は俺にこの解決を望んでいたのかもしれないですね。シンが言っていたように、異世界人の--シンの制裁を俺にさせようと。」
隣ではまたマキナがウトウトとしている。コーヒーを一飲みした後に、俺は今回の事件を振り返る。
「今回の事件は、マキナの存在・能力と異世界人には魔具が効かないということがポイントになっていました。最初にエウルールさんが”嘘を見抜く魔具”を使ったのにも限らずにシンに反応しなかったのは異世界人の特性によるもので、そのせいでシンが犯人と疑われることは無かった。そしてシンが皆の前に姿を現している時にマキナがエドさんを殺害し、そのタイミングで俺が転移。焦ったマキナが窓から逃走する姿を目撃。」
「そこを君はベティーナ嬢に目撃され、容疑者になったわけだな。正直言えば最初は私含め皆君を疑っていたよ。」
「まぁ、無理はありませんよね。でも、なんだかんだで今日この瞬間を迎えられてよかったです。」
「そうだな。私もそう思う。差し支えなければ君の居た世界について聞かせて欲しいのだが、いいかな?」
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「あれは2025年7月30日、学校からの帰り道だったんですけど、あ、2025年っていうのは俺のいた世界での・・・」
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