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風が通る
それに誘われて
カエルも踊り出す
木は面白そうに見ている
ひょっとしたらこんなこともあるんじゃないかしら
私は転がりながら呻く
呻きながら浮かぶ
浮かびながら手を伸ばす
手を伸ばしても何も掴めない
それでも懸命に体をよじ曲げる
猫も恐れおののいてどこかへ行ってしまった
音楽はさっきからガンガンと音を響かせている
バイオリンも泣いた
それから、それから、草はそよいで、馬に食われた
馬は走って、私の隣に来た
私は黙ってその背中に乗る
ゆっくりと駆け出す
丘を越えて、原っぱに着く
おーい、と呼びかけると、野球ボールが飛んでくる
それを片手でキャッチし損ねて、後ろへどんどん飛んで行く
取りに行こうとも思ったが、馬は許してくれない
ネズミが走る
そのネズミを踏みつけようと馬は怒る
ネズミは逃げる
馬は追いかける
私は囃し立てる
そのせいで、カエルは鳴くのをやめた
今日も満月かな
スーパームーン
りんごの形をしたお化けがやって来て、遊ぼうよ、と鼻息を吐く
私は笑って首を横に降る
鎖鎌がようやく屋根から滑り落ちて
犬小屋に突き刺さる
ポチは何事かとのそのそ起きて来て
田んぼの中に落ちる
田んぼの中のザリガニは驚いて目を飛び出す
そのまま泡を吹いてカブトエビになる
カブトエビは宇宙へ泳ぎだす
火星には水がある
水の中に自分が映る
カブトエビは怖くなった
それから木は切り倒された
バサン、バサン、レッドカーペットの上を人間が通る。
ういいいん、と電気のこぎりは唸りを上げて、枝という枝をはねとばす
うさぎがその一つを人参と間違えて食べた
それを指摘する前に、空から青酸カリの雨が降って来て傘をさす
その傘はウラッ返しになっていたので、雨水がたまる
溜まって破ける
破けて滝になる
そこには鹿が行水をしていた
だから、ラッパは吹き荒れる
プップラプーと吹き荒れる
山火事だ
みんなでてこい逃げる支度をするのだ
蜂が一目散に飛んで行った
煙はここまで届いている
逃げるのだ、遠くへ
遠くの、どこかへ
どこかは、分からないけれど、分からないながらに、逃げ続けるしかあるまい
ずっと追いかけ続けてくる、鎮火を忘れた煙から
馬も手綱を引きちぎって走る
私は依然ぼんやりと歩く
猿に頭を叩かれた
イノシシに腰をぶたれた
豚に鼻を擦り付けられた
魚は泳ぐ
それに誘われて
カエルも踊り出す
木は面白そうに見ている
ひょっとしたらこんなこともあるんじゃないかしら
私は転がりながら呻く
呻きながら浮かぶ
浮かびながら手を伸ばす
手を伸ばしても何も掴めない
それでも懸命に体をよじ曲げる
猫も恐れおののいてどこかへ行ってしまった
音楽はさっきからガンガンと音を響かせている
バイオリンも泣いた
それから、それから、草はそよいで、馬に食われた
馬は走って、私の隣に来た
私は黙ってその背中に乗る
ゆっくりと駆け出す
丘を越えて、原っぱに着く
おーい、と呼びかけると、野球ボールが飛んでくる
それを片手でキャッチし損ねて、後ろへどんどん飛んで行く
取りに行こうとも思ったが、馬は許してくれない
ネズミが走る
そのネズミを踏みつけようと馬は怒る
ネズミは逃げる
馬は追いかける
私は囃し立てる
そのせいで、カエルは鳴くのをやめた
今日も満月かな
スーパームーン
りんごの形をしたお化けがやって来て、遊ぼうよ、と鼻息を吐く
私は笑って首を横に降る
鎖鎌がようやく屋根から滑り落ちて
犬小屋に突き刺さる
ポチは何事かとのそのそ起きて来て
田んぼの中に落ちる
田んぼの中のザリガニは驚いて目を飛び出す
そのまま泡を吹いてカブトエビになる
カブトエビは宇宙へ泳ぎだす
火星には水がある
水の中に自分が映る
カブトエビは怖くなった
それから木は切り倒された
バサン、バサン、レッドカーペットの上を人間が通る。
ういいいん、と電気のこぎりは唸りを上げて、枝という枝をはねとばす
うさぎがその一つを人参と間違えて食べた
それを指摘する前に、空から青酸カリの雨が降って来て傘をさす
その傘はウラッ返しになっていたので、雨水がたまる
溜まって破ける
破けて滝になる
そこには鹿が行水をしていた
だから、ラッパは吹き荒れる
プップラプーと吹き荒れる
山火事だ
みんなでてこい逃げる支度をするのだ
蜂が一目散に飛んで行った
煙はここまで届いている
逃げるのだ、遠くへ
遠くの、どこかへ
どこかは、分からないけれど、分からないながらに、逃げ続けるしかあるまい
ずっと追いかけ続けてくる、鎮火を忘れた煙から
馬も手綱を引きちぎって走る
私は依然ぼんやりと歩く
猿に頭を叩かれた
イノシシに腰をぶたれた
豚に鼻を擦り付けられた
魚は泳ぐ
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