17 / 39
17
しおりを挟む
かなり急ぎ過ぎたコオロギが鳴いている
鳴いているからカマキリに食われるのだ
それでコオロギは悲しげな目をして足から徐々に散らして行く
バラバラになったかけらがカマキリの足元に落ちて行く
コオロギは、跳ぶから蜘蛛に捕まるのだ
巣に絡まって、足をかろうじて少し動かしつつあるコオロギよ
お前はなぜ、やることやることが死につながっているのか
私は人間を見ているようで怖いぞ
車を作り、ビルを造り
これでは死ねと言っているのも同じことだ
どうすれば良いのだろう
しかし、コオロギは鳴くことも、跳ぶことも、それらは生き長らえること、また、子孫を残し行くことにも同意している
と言うことは、人も同じだろうか
それで良いのだろうか
人には足があり、きっと求愛の言葉も用意されている
だのに、それより車を優先して良いものか、私には悩ましい
魚は泳ぐ
青年は死んだ
今日はいつもより悲しみが小さい
嬉しさは同じくらい
残った心の隙間は大きくなった
だからこそ、私はこうして顔を洗わねばならない
垢をどこか奥深くに落とし込むために
昨日観れなかったテレビをつけた
録画している番組は、もう何度観たか知れない
でも、内容を全て覚えているわけではないのである
バラエティーで誰かが誰かを笑う
笑う観客も笑っているようだ
私は変な気持ちになってテレビを消す
消すと笑いも消える
こんな簡単な操作で笑いを知ることができてたまるものか
ナメクジが這う
その後に白い糸が続く
キラキラ乾く
メダカがフンをする
フンは黒っぽい小さな物だ
やがて水に溶けるんだろう
そのメダカは金魚に食べられた
金魚は野良猫に、野良猫は野良犬に、野良犬はライオンに、ライオンは密猟者に食べられた
私はその脚を失敬して齧り付く
血が、鉄の味を忘れて、私の脳内に突き刺さる
鳴いているからカマキリに食われるのだ
それでコオロギは悲しげな目をして足から徐々に散らして行く
バラバラになったかけらがカマキリの足元に落ちて行く
コオロギは、跳ぶから蜘蛛に捕まるのだ
巣に絡まって、足をかろうじて少し動かしつつあるコオロギよ
お前はなぜ、やることやることが死につながっているのか
私は人間を見ているようで怖いぞ
車を作り、ビルを造り
これでは死ねと言っているのも同じことだ
どうすれば良いのだろう
しかし、コオロギは鳴くことも、跳ぶことも、それらは生き長らえること、また、子孫を残し行くことにも同意している
と言うことは、人も同じだろうか
それで良いのだろうか
人には足があり、きっと求愛の言葉も用意されている
だのに、それより車を優先して良いものか、私には悩ましい
魚は泳ぐ
青年は死んだ
今日はいつもより悲しみが小さい
嬉しさは同じくらい
残った心の隙間は大きくなった
だからこそ、私はこうして顔を洗わねばならない
垢をどこか奥深くに落とし込むために
昨日観れなかったテレビをつけた
録画している番組は、もう何度観たか知れない
でも、内容を全て覚えているわけではないのである
バラエティーで誰かが誰かを笑う
笑う観客も笑っているようだ
私は変な気持ちになってテレビを消す
消すと笑いも消える
こんな簡単な操作で笑いを知ることができてたまるものか
ナメクジが這う
その後に白い糸が続く
キラキラ乾く
メダカがフンをする
フンは黒っぽい小さな物だ
やがて水に溶けるんだろう
そのメダカは金魚に食べられた
金魚は野良猫に、野良猫は野良犬に、野良犬はライオンに、ライオンは密猟者に食べられた
私はその脚を失敬して齧り付く
血が、鉄の味を忘れて、私の脳内に突き刺さる
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる