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俺は「もうおしまいか」と諦めかけた。
しかし、そこに救いの手が伸びてくる。
「……お、大当たりだ」
「え?」
地面からニョキッと人間の体が生えてきた。
「うわぁぁぁ!」
「おい、お前こっちへ来い!急がなきゃ追いつかれるから!!!」
「え?」
手を引っ張られ、強引に連れて行かれる。
「おわっ!」
「ちゃんと着地できたか?」
ガタガタ、とその人は地面に開けられた穴を封じた。
「ここは?」
「不用意に動くなよ。下水道だ」
「ウッ、だからこんなに臭いがキツいのか!」
「だから動くなっての!足を滑らしたら汚い水の中に頭が落っこっちゃうぞ!!」
ということは、さっきはマンホールから降りてきたってことらしい。
バタバタと上から音が聞こえた。
真っ暗で全く見えないが、「シッ」とその人が言うので、黙ってじっと耐える。暗闇は怖いものだ。
「くそ、消えたぞ?どこだ?!」
「さっき会話が聞こえたけどな。あいつ一人じゃなかったのか?」
「いや、あの声は、コソ……」
「何?!コソと合流しただと?マズい!何としてでも捕まえるんだ!!」
「「「「はい!!!」」」」
「あいつはここからそう離れていないはずだ!上は?!」
「………いません!!」
「お前達は念のため周囲のビルの中を探らせてもらえ!他の者は地下だ!下水道か何かがあるだろ!探せ!!奴がいつも使う手だ!!!」
大声でトップっぽい人が命令している。
「急げ!最悪殺しても構わん!!」
その最後の一行が俺を慌てさせる。
「に、逃げなき……」
ガンッ、と盛大な音をたてて俺は倒れた。
「おいバカ!そこからは道が極端に狭くなるんだ。高さも低くなる!だから這いつくばって動かなきゃいけねぇんだよ!!」
その人、恐らくコソと呼ばれる人は、俺を抱き起こしながらそう言った。
「くっ、いてぇ……」
「だから!何も知らないお前が勝手に進もうとするな!!分かったな!」
押し殺した叫び声だ。地上に漏れるのを警戒しているんだろう。
「あっ!ありました!マンホールです!!」
カタカタと真上で音がした。
「マズいぞ!!俺について来いっ!こっちだ!!」
俺を押しのけるようにコソが這って進んでいく。
ここでは、綺麗じゃないからどうとかこうとか、そういうのは言ってられない世界らしい。俺は決心して、彼の後を追う。
「……何をモタモタしている!今にもあいつらは逃亡中なんだぞ!!……あぁ、お前はここら辺、全ての下水道に張り込むように伝えろ!分かったな!!」
「くそっ、ダメです!このマンホール、何かでくっつけられてます!バールでも持ち上げられません!」
「ならここから入っていったことはほぼ確実なものになったな!引っぺがせ!それか、いっそのこと壊してしまえ!何か使えそうな道具を持って来ている奴がいたらすぐに出すんだっ!コソの対策として携帯しているのはないか?!」
「あ、それなら私が!!!」
少しして、ウィーンウィーン、という音楽が奏でられ始めた。電動ノコギリの類だろうか。
そのまま何かで叩いたようで、バキッとマンホールが崩れ落ちる。
俺は、そこへサッと差し込んできたライトの光が、迷子になった自分への道しるべのように見えていた。
しかし、そこに救いの手が伸びてくる。
「……お、大当たりだ」
「え?」
地面からニョキッと人間の体が生えてきた。
「うわぁぁぁ!」
「おい、お前こっちへ来い!急がなきゃ追いつかれるから!!!」
「え?」
手を引っ張られ、強引に連れて行かれる。
「おわっ!」
「ちゃんと着地できたか?」
ガタガタ、とその人は地面に開けられた穴を封じた。
「ここは?」
「不用意に動くなよ。下水道だ」
「ウッ、だからこんなに臭いがキツいのか!」
「だから動くなっての!足を滑らしたら汚い水の中に頭が落っこっちゃうぞ!!」
ということは、さっきはマンホールから降りてきたってことらしい。
バタバタと上から音が聞こえた。
真っ暗で全く見えないが、「シッ」とその人が言うので、黙ってじっと耐える。暗闇は怖いものだ。
「くそ、消えたぞ?どこだ?!」
「さっき会話が聞こえたけどな。あいつ一人じゃなかったのか?」
「いや、あの声は、コソ……」
「何?!コソと合流しただと?マズい!何としてでも捕まえるんだ!!」
「「「「はい!!!」」」」
「あいつはここからそう離れていないはずだ!上は?!」
「………いません!!」
「お前達は念のため周囲のビルの中を探らせてもらえ!他の者は地下だ!下水道か何かがあるだろ!探せ!!奴がいつも使う手だ!!!」
大声でトップっぽい人が命令している。
「急げ!最悪殺しても構わん!!」
その最後の一行が俺を慌てさせる。
「に、逃げなき……」
ガンッ、と盛大な音をたてて俺は倒れた。
「おいバカ!そこからは道が極端に狭くなるんだ。高さも低くなる!だから這いつくばって動かなきゃいけねぇんだよ!!」
その人、恐らくコソと呼ばれる人は、俺を抱き起こしながらそう言った。
「くっ、いてぇ……」
「だから!何も知らないお前が勝手に進もうとするな!!分かったな!」
押し殺した叫び声だ。地上に漏れるのを警戒しているんだろう。
「あっ!ありました!マンホールです!!」
カタカタと真上で音がした。
「マズいぞ!!俺について来いっ!こっちだ!!」
俺を押しのけるようにコソが這って進んでいく。
ここでは、綺麗じゃないからどうとかこうとか、そういうのは言ってられない世界らしい。俺は決心して、彼の後を追う。
「……何をモタモタしている!今にもあいつらは逃亡中なんだぞ!!……あぁ、お前はここら辺、全ての下水道に張り込むように伝えろ!分かったな!!」
「くそっ、ダメです!このマンホール、何かでくっつけられてます!バールでも持ち上げられません!」
「ならここから入っていったことはほぼ確実なものになったな!引っぺがせ!それか、いっそのこと壊してしまえ!何か使えそうな道具を持って来ている奴がいたらすぐに出すんだっ!コソの対策として携帯しているのはないか?!」
「あ、それなら私が!!!」
少しして、ウィーンウィーン、という音楽が奏でられ始めた。電動ノコギリの類だろうか。
そのまま何かで叩いたようで、バキッとマンホールが崩れ落ちる。
俺は、そこへサッと差し込んできたライトの光が、迷子になった自分への道しるべのように見えていた。
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