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「あら、ずいぶん遅かったのね」
そんな言葉を投げかけられた。
「…誰のせいだと思ってんだ」
「それより見て!この人」
大男が横たわっていた。
焼死体って、この人のことか。ナズハの能力の効果でススなんかは全く見当たらないが。
「おっきくない?」
「そうだな」
「この人ね、息してるのよ」
「えっ」
思わずナズハを見る。死体は死体のままくっつくんじゃなかったのか。
「だからさぁ、不完全燃焼だったんだって。死んでなかったのよ!」
「さっきの家の様子からして、それはない」
「どーかなぁ」
174は壁に体を預けて退屈そうにしているのだが、汚れることを承知の上での行動だろうか。
「丸焦げになってて死なないなんて、あると思う?」
「どうだかなぁ…」
俺にも分からない。こういうのは術を使う本人に聞けばいいんじゃないか。
「なぁ、ナズハ……」
「わたっ、私の技は、蘇生なんかじゃないの。死んだ物は生き返らないわ」
「そうだよ。僕だって何度も見てる」
コウキが肯定した。
「じゃあ、なんで…」
大男の胸がわずかに上下している。
「…ずっと前に、私、爪切りで足がなくなった友達を治そうとしたことがあったの。それで、その時にね……」
ナズハの回想話が始まった。て言うか、最初のシュチュエーションからしておかしい。爪切りで足がなくなるって、何したらそうなるんだ?
「出血が止まらなくて顔が少し青ざめていた友達の足を繋げることには成功したの。止血もできたわ。でも………」
後でその足は腐ったのだと言う。
「細胞が壊死したのね。血液が巡らなくて」
だから、怪我したところから先の部分が、綺麗に朽ち果てた。
「出血多量で死ぬことからは救えたし、傷口からばい菌が入って膿むこともなかったから、それからも私はそういうことをやらされたわ。だから知ってるの。見かけは元どおりになっても、切れた細胞がつながったり、再びその器官が活動を始めることはない、って」
「それからも」、今、「それからも」と言ったな?爪切りで手足を切断するというような奇妙な怪我の仕方を経験した人間が、複数人いるということなのか?!
「不思議ですねぇ。くっつけた直後は、跡も残らなかったのでしょう?止血もできたんですから」
「そうね」
「なら、細胞もくっついてないと変ですよ。あり得ません」
「お前は『身体強化』は信じて、時間の『巻き戻し』は信じないのか?」
「むむぅ。ですが、なにぶん私がそれを目撃していないものですから。『身体強化』は幾度も拝見したので認めざるを得ないのですが」
カズオは深く礼をした。
そんな言葉を投げかけられた。
「…誰のせいだと思ってんだ」
「それより見て!この人」
大男が横たわっていた。
焼死体って、この人のことか。ナズハの能力の効果でススなんかは全く見当たらないが。
「おっきくない?」
「そうだな」
「この人ね、息してるのよ」
「えっ」
思わずナズハを見る。死体は死体のままくっつくんじゃなかったのか。
「だからさぁ、不完全燃焼だったんだって。死んでなかったのよ!」
「さっきの家の様子からして、それはない」
「どーかなぁ」
174は壁に体を預けて退屈そうにしているのだが、汚れることを承知の上での行動だろうか。
「丸焦げになってて死なないなんて、あると思う?」
「どうだかなぁ…」
俺にも分からない。こういうのは術を使う本人に聞けばいいんじゃないか。
「なぁ、ナズハ……」
「わたっ、私の技は、蘇生なんかじゃないの。死んだ物は生き返らないわ」
「そうだよ。僕だって何度も見てる」
コウキが肯定した。
「じゃあ、なんで…」
大男の胸がわずかに上下している。
「…ずっと前に、私、爪切りで足がなくなった友達を治そうとしたことがあったの。それで、その時にね……」
ナズハの回想話が始まった。て言うか、最初のシュチュエーションからしておかしい。爪切りで足がなくなるって、何したらそうなるんだ?
「出血が止まらなくて顔が少し青ざめていた友達の足を繋げることには成功したの。止血もできたわ。でも………」
後でその足は腐ったのだと言う。
「細胞が壊死したのね。血液が巡らなくて」
だから、怪我したところから先の部分が、綺麗に朽ち果てた。
「出血多量で死ぬことからは救えたし、傷口からばい菌が入って膿むこともなかったから、それからも私はそういうことをやらされたわ。だから知ってるの。見かけは元どおりになっても、切れた細胞がつながったり、再びその器官が活動を始めることはない、って」
「それからも」、今、「それからも」と言ったな?爪切りで手足を切断するというような奇妙な怪我の仕方を経験した人間が、複数人いるということなのか?!
「不思議ですねぇ。くっつけた直後は、跡も残らなかったのでしょう?止血もできたんですから」
「そうね」
「なら、細胞もくっついてないと変ですよ。あり得ません」
「お前は『身体強化』は信じて、時間の『巻き戻し』は信じないのか?」
「むむぅ。ですが、なにぶん私がそれを目撃していないものですから。『身体強化』は幾度も拝見したので認めざるを得ないのですが」
カズオは深く礼をした。
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