灯 完

2,1からす

からすの隊長はがああと怒鳴りつけました
「うちの隊はこれだからいけない。こんなに整列が遅いやつがあるか！今からかけすを追い出すという時になんというざまだ。これは、いけない。いいか、今から変に遅れたものは他の奴が踏み潰すからな。そう思っとけ！」
みんなみんな、それはしんとしてしまいました。
そうして出発と号令がかかったのです。
からすどもは果敢にがあがあ言いながらかけすのいる、あすこの向こうの木へばたばたいきました。
やはり一人こけました。
が、踏み潰す人なぞあろうはずもありません。
めいめいそのからすを下に見ながら戦地へと急ぎます。
隊長はそのからすのところへ行って「ばかっ！」と言うとそのからすはますます硬直してしまいました。それを見て隊長は周りを見渡しました。
もう他のすべてのからすは行ったようであります。
これを見ると隊長はやっと安心して「さあゆっくり行こう。もうじき危ないところへ行く。みんなにも死ぬなと言っておやり。」と優しく言ってそのからすを起こしてやりました。
そのからすは目を瞬かせて首をちょっと曲げてお辞儀をして飛んで行きました。
隊長も飛びました。
しかしこけたからすは隊長よりずっと遅かったので隊長はもっと周りを見渡して誰も見ていないと分かるとそのからすをおぶって飛びました。
そうして隊の近くでおろしたのでした。