ドラゴン使いを終えて

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「……じゃ、さ。ここで一回口裏を合わせとこうか」クサカベが言った。
「口裏？」
「そうだ。まずは……君達は初めての共同訓練に浮かれてしまって、みんな結託し、僕が熱心に指導していた甲斐もなく、訓練を逃げ出してこの部屋で籠城した。………自覚した？」

「何だよ、そんなこと全くしてないぜ！！」批判の声が波のように殺到する。「クサカベちゃあん！おらっち信じてたのに…」なんていう言葉も聞こえる。

「いやいや、これ協力プレイだから！一人でも欠けたら成り立たない偉業なんだよ！それに、僕が解雇させられるかさせられないかも、これにカカってるんだ！」クサカベがこれでもかというくらい頭を下げる。

「頼むよ！みんなで僕を助けてくれ！」

それでも私達からの反応は薄いものだ。
「えー？」
「嫌だね」
「だって根も葉もないことを自覚しろだなんて…」
「お辞儀も度が過ぎればタダの柔軟体操だよ」
「そう、前屈にしか見えない」………

それを聞いて、先生は顔をガバッと上げた。

「…どうしてもやってくれないの？」
「いや、どーしよーかなーって」
「なら、いい」

クサカベは両手を前に突き出して目を瞑った。
そして少しすると、驚いたことに、私達の分身が次々とできてきた。

「うわ！」
私達と寸分たがわぬ容姿をした人形達だ。いや、動くから、やっぱり人形ではなく分身か。

部屋が一気に狭く感じる。

いや、待てよ。ここにはもともと五十二人居ただろ？(新入生二十五人、上級生二十六人、教師一人)それで生徒の数が二倍だと…百三人！そうか！この部屋にそんな大人数が入るわけないんだ！

クサカベ先生は、「今さら気がつく？」と肩をすぼめた。部屋の大きさも、こっそり拡張していたのだ。

「ね！結構知られてないマイナー事項だけど、僕はすごい魔法使いだから、君達を消して、この分身達に僕の無実を証明してもらうことだってできるんだよ！」
それはもう証明ではなく、捏造の枠まで踏み込んでると思うが。