上 下
65 / 88

5

しおりを挟む
若い男の説明は、つまりこうだ。
私達は三年前にバスケの親善試合をすることが決まった。
なぜならバスケは他国では国民的スポーツで、やろうという意見がつのったからだ。

しかしここの王はそれを承知しておきながら放っておいた。
そして試合を三日後に控えた今日、急に焦って召喚術師を呼んだ、というわけだ。

俺はバスケなんてしてないぞ。帰宅部だぞ。
胡蝶は変なところに俺をよこしたものだ。どうすりゃいんだ?
「とにかく」王は気をとりなおして言う。
「君たちには練習をしてもらわんとならんわけだ」

冗談じゃない。俺は王を睨んだ。
すると王もこちらを見てくる。しまった。気づかれた。
「フォッフォッフォッ、気合いジューブンのようじゃな」
しかし、王はどこまでも楽天的だった。

「ロンバート、略して38号、下がってよいぞ」
「はっ」召喚術師がスルスルと消えていく。
略してって、何?

家来38号なるロンバートが部屋を出ていく時、「私が目をつけた精鋭達様、私の名を上げるためにも努力してくださいませ!」と叫んでいた。


しおりを挟む

処理中です...