『観察眼』は便利

Nick Robertson

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これを踏まえた上で、作戦は練られた。
団体のトップクラスに君臨する二人の能力があれば、この街の組織を欺けると考えられたのだ。

始めに、ハルとミナギの行動を隠すことのできる人間を決めることになった。
そこで、『火柱』と『体内エネルギー上昇』ができるフミとナギに白羽の矢が立ったわけだ。『火柱』は『突炎』を誤魔化せるし、『体内エネルギー上昇』をすればワザと目立つことができ、「崖に登る」という選択肢を生み出すことも可能だからだ。

そして、ハルとミナギはそれぞれフミとナギに『変化』した。ハルが『変化』できたのは、『共鳴』のお陰である。服は同一のものを着ていた。

次に、フミとナギはカズヤを連れて門を通った。当然、身分証明書は事前に用意してある。
それから、17分23秒後にハルとミナギもそこを通過した。なぜそんな時間を指定したかというと、もしキリのいい時間の間隔にしてしまったら、怪しまれるかもしれないからだってさ。頑張るなぁ。

街に入るとすぐに、二人は組織の本拠地に向かった。その場所も調べ済みだったらしい。どうやら、パソコンに侵入したら、それが置いてある位置が分かるそうで。

そこへ来ると、ハルとミナギは近くにいた手頃な調査員を二人選んで『操作』をし(ハルも『共鳴』を使って『操作』をした)、『変化』でその二人の姿を写し取って調査員に紛れ込んだ。捕まった調査員は服を脱がされて早々に殺され、ナギとフミが着ていた服と共に土に埋められたらしい。
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