裁縫の御所

Nick Robertson

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5あ

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「タチ」私は神妙な顔つきになって言いました。
「君はこの世界の創始者なの?」
「そうだよ」タチは当然のように答えます。「時空も空間も越えることができるのさ」
「じゃあ私は帰れるの?」
「帰れないね」
「どうして?」
「なんで連れてこられたかわかってないよね。じゃあ言おう。君には試練があるからだ」
「試練?」
「そう。それを受けるためにここにいるんだよ」
「何するの?」
「それはまだわからない」タチは頭を掻きました。
「その試練はタチが作るのじゃないの?」
「違うよ」
「じゃあ誰が」
「それなんだよ」タチは顔を近づけました。
「それは君にしかわからないんだ。君だけが解けることなんだよ。」
それじゃあよくわからない。
「なんで私なの?」
「それもわからない」タチは落ち着き払って言いました。
私にもわからない。
「じゃあ今までのは?」
「ああ、あれは…あれは、遊びだよ」
「遊び?あれが?」
「そう。君はなんらかの理由でこの私が支配している世界に紛れ込んだ。私はすぐに君がここで役目があることに気づいた。それでこの世界を色々紹介してたんだ。」タチはもう口調を男の人に変えている。しかし顔は笑う女の子です。不気味にしか映りません。
「ちょっと待って、タチが私をここへ連れてきたんじゃないの?」
「違うよ」
「そうなんだ…てっきり私は、あなたが栗で私を呼んだのかと思ってた。りんご林の中に栗があったし。」
「なんだって!?」タチは腕組みした。すると、すぐに周りがりんご林になる。
「ここ?」とタチが聞くので「そう」と私は答えた。
「こんなところに栗なんて作ってないのに」とタチは呟く。
私は栗を見つけて怯えながら、勇気を出して指差した。タチも驚いている。
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