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幼女が来た
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「奥様、お茶のご準備が整いました」
「ありがとう、もう少ししたらヴィアベルも戻ってくるわね」
中央に置かれたお皿には、カットされたミルクレープが保冷機能のある透明な覆いを被せられて置かれていた。
この覆いも魔法で作られている。
魔法って本当に便利ですね。
でも、ある意味、魔法があるせいで物理的な進歩がないのだとも思う。
不便なことがあるから、便利なものや役立つものを作ろうと人は考える。
でも、この世界では、全て魔法で解決できてしまう。
まあ、それが悪いというわけじゃない。
便利なものを追い求めすぎても良い結果ばかりじゃない。
機械や科学でいろいろなことができるようになるけれど、同時に様々な歪みも生まれる。
どちらが正解というわけじゃないのだろう。
「ベルタ、ヴィアベルが戻るまで少し庭を歩いてくるわ」
ここの庭は本当に美しい。
普通の庭園とは違い木々が多く、果樹も数多く植えられている。
「ヴィアベルの好きな果物が食べ頃だったから取ってきましょう」
意外にもアマーリエはヴィアベルの好きなものを知っていた。
キツい言葉しかかけず愛情も示さなかった。でも、愛していた?
その辺の感情はひどく曖昧で、アマーリエにも分かっていなかったのだろう。
ただ、とても気になる、気になってしょうがない存在だった。
馬鹿なアマーリエはそれが愛だと気付かなかった。
全てのものが怖くて、何より自分自身が怖いという感情に支配されていた。
その原因は、、、母親。
アマーリエが小さい頃に亡くなった人。
いつも笑顔で優しくてアマーリエを抱きしめてくれた。
、、、そっか、その所為でもあったのかな。
笑顔も見せず、優しくもせず、抱きしめもしない、、、出来なかった。
アマーリエにとって、それは恐ろしい体験だったから。
無意識にその行動を忌避してしまうほどに、、、
母は狂気の人だった。
「お待ちください!」
「え?」
背後で突然響いた声に反射的に振り返った。
うわっ、か、可愛い!
そこには、幼女がいた。
ヨタヨタと覚束ない足取りと無邪気な笑顔で走り寄ってくる。
「いい匂い」
パフッ、とスカートにしがみつかれた。
なにこれ、可愛い過ぎる!
だ、抱っこしていいかな?ダメ?
しちゃうよ?
「ア、アンネリース様」
幼女を抱き上げようと屈んだところで、頭上から慄き震えた声がした。
見上げると、見慣れない侍女が私を見て固まっていた。
私が少し身動きするたびに体をビクッと震わせる。
そんなにか!?
森で熊に遭遇してもこんなに怯えないと思うよ。
あ、そう言えば、この世界には魔物がいます。
この怯えは魔物級ですね。
ってことは、私は魔物かい!!
でも、ちょっと近いものがある現実が悲しい、、、
「お姉ちゃま、いい匂い」
腕の中の幼女が顔をグリグリ寄せてくる。
ああ、お菓子を作った、、、ところにいたから服に匂いが移ったのかな。
「ミルクレープの匂いよ」
「みゆくりーぷ?」
「ええ、牛乳味のケーキですね」
「アンネ、ケーキ食べゆ!」
私の簡単な説明に幼女が目を輝かせる。
おー、上目遣いですか。
この期待に満ちた瞳に誰が逆らえると言うのか!?ムリ!
もちろん、食べてもらうのは全然構いません。
寧ろウエルカムです!
でも、、、この子、アンネリース様だよね。
アンネリース様にアマーリエが食べ物を与えてもいいのかな?
危険物注意のアマーリエだよ?
多分、駄目な気がする。
ん~、どうしよう、、、
「奥様、どうされましたか?」
「ベルタ、、、ビアンカ様にアンネリース様をヴィアベルとのお茶にお呼びしていいか聞いてきてもらえるかしら」
「畏まりました」
即座に状況を見て取ったベルタは、固まっていたアンネリース様の侍女を促して本館に戻って行く。
「アンネリース様、果物はお好きかしら?」
「しゅき!」
「では、その木に生っている実を取ってもらえますか?」
アンネリース様を抱き上げて実の側に寄ると、小さな手が実を掴む。
「とえたの!」
「ありがとうございます。洗ってもらって後で食べましょうね」
私もいくつかヴィアベルのために取り、背後に控えていた侍女に渡す。
「そうだ、自己紹介がまだでしたね。アンネリース様、私はアマーリエです。ヴィアベルの母ですわ」
「ヴィ兄様のお母様?」
「そうです。ヴィアベルは優しくしてくれますか?」
「うん!ヴィ兄様、とっても優しいの!アル兄様より優しくてしゅき!」
そうでしょう、そうでしょう。
流石ヴィアベル、妹の心を掴んでますね。
アルトゥール様、残念!可愛い妹の心はヴィアベルのものでした。
「アンネリース様、では、あちらの椅子に座ってヴィアベルが戻るのを待ちましょう」
「うん!」
「ありがとう、もう少ししたらヴィアベルも戻ってくるわね」
中央に置かれたお皿には、カットされたミルクレープが保冷機能のある透明な覆いを被せられて置かれていた。
この覆いも魔法で作られている。
魔法って本当に便利ですね。
でも、ある意味、魔法があるせいで物理的な進歩がないのだとも思う。
不便なことがあるから、便利なものや役立つものを作ろうと人は考える。
でも、この世界では、全て魔法で解決できてしまう。
まあ、それが悪いというわけじゃない。
便利なものを追い求めすぎても良い結果ばかりじゃない。
機械や科学でいろいろなことができるようになるけれど、同時に様々な歪みも生まれる。
どちらが正解というわけじゃないのだろう。
「ベルタ、ヴィアベルが戻るまで少し庭を歩いてくるわ」
ここの庭は本当に美しい。
普通の庭園とは違い木々が多く、果樹も数多く植えられている。
「ヴィアベルの好きな果物が食べ頃だったから取ってきましょう」
意外にもアマーリエはヴィアベルの好きなものを知っていた。
キツい言葉しかかけず愛情も示さなかった。でも、愛していた?
その辺の感情はひどく曖昧で、アマーリエにも分かっていなかったのだろう。
ただ、とても気になる、気になってしょうがない存在だった。
馬鹿なアマーリエはそれが愛だと気付かなかった。
全てのものが怖くて、何より自分自身が怖いという感情に支配されていた。
その原因は、、、母親。
アマーリエが小さい頃に亡くなった人。
いつも笑顔で優しくてアマーリエを抱きしめてくれた。
、、、そっか、その所為でもあったのかな。
笑顔も見せず、優しくもせず、抱きしめもしない、、、出来なかった。
アマーリエにとって、それは恐ろしい体験だったから。
無意識にその行動を忌避してしまうほどに、、、
母は狂気の人だった。
「お待ちください!」
「え?」
背後で突然響いた声に反射的に振り返った。
うわっ、か、可愛い!
そこには、幼女がいた。
ヨタヨタと覚束ない足取りと無邪気な笑顔で走り寄ってくる。
「いい匂い」
パフッ、とスカートにしがみつかれた。
なにこれ、可愛い過ぎる!
だ、抱っこしていいかな?ダメ?
しちゃうよ?
「ア、アンネリース様」
幼女を抱き上げようと屈んだところで、頭上から慄き震えた声がした。
見上げると、見慣れない侍女が私を見て固まっていた。
私が少し身動きするたびに体をビクッと震わせる。
そんなにか!?
森で熊に遭遇してもこんなに怯えないと思うよ。
あ、そう言えば、この世界には魔物がいます。
この怯えは魔物級ですね。
ってことは、私は魔物かい!!
でも、ちょっと近いものがある現実が悲しい、、、
「お姉ちゃま、いい匂い」
腕の中の幼女が顔をグリグリ寄せてくる。
ああ、お菓子を作った、、、ところにいたから服に匂いが移ったのかな。
「ミルクレープの匂いよ」
「みゆくりーぷ?」
「ええ、牛乳味のケーキですね」
「アンネ、ケーキ食べゆ!」
私の簡単な説明に幼女が目を輝かせる。
おー、上目遣いですか。
この期待に満ちた瞳に誰が逆らえると言うのか!?ムリ!
もちろん、食べてもらうのは全然構いません。
寧ろウエルカムです!
でも、、、この子、アンネリース様だよね。
アンネリース様にアマーリエが食べ物を与えてもいいのかな?
危険物注意のアマーリエだよ?
多分、駄目な気がする。
ん~、どうしよう、、、
「奥様、どうされましたか?」
「ベルタ、、、ビアンカ様にアンネリース様をヴィアベルとのお茶にお呼びしていいか聞いてきてもらえるかしら」
「畏まりました」
即座に状況を見て取ったベルタは、固まっていたアンネリース様の侍女を促して本館に戻って行く。
「アンネリース様、果物はお好きかしら?」
「しゅき!」
「では、その木に生っている実を取ってもらえますか?」
アンネリース様を抱き上げて実の側に寄ると、小さな手が実を掴む。
「とえたの!」
「ありがとうございます。洗ってもらって後で食べましょうね」
私もいくつかヴィアベルのために取り、背後に控えていた侍女に渡す。
「そうだ、自己紹介がまだでしたね。アンネリース様、私はアマーリエです。ヴィアベルの母ですわ」
「ヴィ兄様のお母様?」
「そうです。ヴィアベルは優しくしてくれますか?」
「うん!ヴィ兄様、とっても優しいの!アル兄様より優しくてしゅき!」
そうでしょう、そうでしょう。
流石ヴィアベル、妹の心を掴んでますね。
アルトゥール様、残念!可愛い妹の心はヴィアベルのものでした。
「アンネリース様、では、あちらの椅子に座ってヴィアベルが戻るのを待ちましょう」
「うん!」
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