木の実と少年

B.Branch

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第1章

この世界のこと。

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私が転生したこの世界には大きな三つの大陸があり、あとは小さな島が点在しているそうだ。

大陸の一つ、ミリュー大陸の中心に私の木はある。
この大陸の中央部は森に覆われ、森の外枠を囲むように、東西南北4つの国が存在する。

ウィルの住む村は、南に位置するパンゴワン王国にある。
村から首都アンペラールまで馬車で10日かかる。

他二つの大陸はミリュー大陸の北に位置するため、ミリュー大陸の南に位置するパンゴワン王国は最も南にある国と言える。

気候風土は穏やかで、人々も穏やかな者が多い。
魔物、魔獣もいるが、彼らが出現し難い土地というものがあるらしく、村や街はそういう所に作られるそうだ。
なので、村や街から遠くなると魔物たちに遭遇することも多くなる。

そして、北に位置する大陸の一つは魔物の大陸として知られ、人型の魔人や魔物、魔獣が主に暮らしている。

以上がチビ改め、キリが簡単に解説してくれたこの世界のことだ。
詳しいことは追々教えてもらうことにする。

『中央の森って小さいの?キリもウィルも割と簡単に聖域に近付いて来たよね?』
『森全体は大きいですが、聖域は言わば隔絶された空間にあるので、行こうとすると迷います。近くて遠いって感じです。資格のある者には近く、ない者には遠いです』

『ふ~ん、キリは分かるけど、ウィルに資格?』
『僕にもよく分かりませんが、もしかするとカリン様が無意識に呼ばれたのかもしれませんね』

成る程、私がね~
人に会ってみたかったんだろうな。
で、ウィルが人畜無害そうで都合が良かったと、そういうことかな。

『ところで、カリンママ呼びでいいって言ってるのに。様って堅いよ』
『いえ、先ほどはすみません。精霊様に恐れ多いので、様付けでお願いします』

キリが黄金の体をフルフルさせて頭を下げる。
まあ、強引に進めるのは良くないって教訓を得たばっかりだし、押し付けるのはやめようかな。

『分かったよ。好きに呼んでいいよ』

『レンちゃんはキリに好かれてるから、レンちゃんのままなの~』

え!?好感度低いと様呼びになるの!?
キリ、ひどいよ~
っていうか、レンちゃんは私をいたぶるのが好き過ぎません!?
レンちゃんこそをレン(女王)様と呼ぶべきだと思う!!

『キリ・・・私のこと嫌いなの?』
『嫌ってませんよ!様呼びなのは尊敬してるからです。すっごく痛かったですけど、命を救ってもらいましたから』

やっぱり、キリはフォロー下手です。
好きとは言ってくれないし・・・
母は悲しいです。

『カリンママ、可愛そう~』

おお、あ、憐れまれてしまった。
グスン。
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