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27 遅れてきた英雄
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「リリィ!!」
墜落していく体が誰かに抱きとめられた気がした。
崖に身を投げたはずなのに、クッションに抱き留められたようにその衝撃は柔らかく、水に落ちたにしては暖かい温もりがある。
ほのかに香る忌々しい花の香りと共に、いる筈の無いネルの声が聞こえた。
ああ、これが走馬灯って奴か。と目を閉じながらぼんやり考える。
あんなに裏切られたのに、最期にネルが出てくるってことは、私、まだネルの事が好きなのね。
あんなやつ、もう忘れてしまいなさい。と心に語りかける。
「リリィ!!リリィ!!しっかりして!」
私の体が強く揺さぶられる。
うるさい走馬灯ね。
形があるなら引っぱたいてやったのに。
しかし、いつまで経ってもリリィ!と私を呼ぶ声が途切れない。
あれ?おかしいわね。走馬灯ってこんなに長いものかしら?
違和感を覚えてそっと目を開く。
眩しさに目を細めた次の瞬間、白銀の髪と宝石のような淡いブルーの瞳と目が合った。
今にも泣きだしそうな顔で私を見つめていたのは、間違いなくネルだった。
「・・・ネル?」
「リリィ!良かった」
ネルが安堵の声を漏らす。
魔法を使っているのか、私たちの体は崖には落ちずに浮いていた。
さすが魔法使い、空中浮遊もお手の物。
崖から吹きあがる風をものともせずに、ネルは私を抱きながら浮いている。
ゆっくりと体を起そうとしたところではたと気付いた。
肩がめちゃくちゃ痛いんだけれど!
そういえば射られてたわ!
痛みで次第に頭がはっきりとしていく。と当時に、怒りが湧いて来た。
どうしてネルがここにいるの?
どうやってここまで来たの?
今更何故助けに来たの?
本当に、本当に今さら過ぎる。私はもうネルへの想いも捨てたし、”番”なんて本当に碌な物じゃないんだと身に染みて知った。
喪女だと言われても良い。しばらくは恋なんてしたく無いし、家族や故郷と離れる原因になったネルへの恨みは時間を追うごとに膨らんでいく。
何より一番ムカつくのは、ネルが自分のことを全くと言っていいほどに語らない事だった。
裏切るならきれいさっぱり裏切りなさいよ!そっちの方がすっきりするわ。
なんでそんな後悔を滲ませた顔をするの?
本当にズルい人。
私は何もかも失ったのに!
そうやって自分からも逃げ続けるつもり?
後から後悔するくらいなら、最初から理由を説明してくれたっていいじゃない!
何故言えないの?なんでなの!?
私は嘘と隠し事が大嫌いなの!!
「ネルなんか、大嫌い!」
もう顔も見たくないわ!その綺麗な顔を思い出すだけで腹が立つくらい嫌いになったんだから!!
怒りに身を任せ、四肢を振りまわす。
右肩の痛みなんか気にするもんですか!
ここで会ったが百年目!恨みはらさでおくべきか!とばかりに暴れ散らかす。
「リリィ、落ち着いて。先に矢を___」
「今更助けに来たって遅いのよ!!」
私を落とさないようにネルがオロオロしながらバランスを取る。
抱きとめられる手にぎゅっと力がこもった。
ほらね、また中途半端に私の事を守ろうとしている。
そんなことより、まず先に私に「ごめんなさい」って言うべきでしょ!!
「嫌よ!絶対に許して・・・」
あげないんだから!と言おうとしたのに徐々にろれつが回らなくなってくる。
振り回す腕にも力が入らなくなり、だらりと腕が体の横に落ちていった。
あれ?何故かしら?徐々に頭がぼーっとして勝手に瞼が閉じていくわ。
まるで催眠術にでもかかったみたい。
駄目よ!まだネルに言いたい恨み事も、聞きたい本音も沢山あるのに!
気絶なんかしている場合じゃない。
そう思うのに、体はいう事を聞いてくれなかった。
「・・・毒だ」
と息を飲むネルの声が遠くで聞こえた。
もう目は閉じ切ってしまって、ネルの表情を見ることはできないけれど、珍しくその声には焦りが滲んでいた。
毒!?
(このまま私、死んでしまうのかしら・・・?)
はぐれた父と母にも、故郷にも戻れずにこのまま?
(そんなの・・・そんなの嫌よ。死にたくない)
私の気持ちとは裏腹に、世界は暗転していく。
その中で、ネルの温もりだけがやけに暖かく感じた。
墜落していく体が誰かに抱きとめられた気がした。
崖に身を投げたはずなのに、クッションに抱き留められたようにその衝撃は柔らかく、水に落ちたにしては暖かい温もりがある。
ほのかに香る忌々しい花の香りと共に、いる筈の無いネルの声が聞こえた。
ああ、これが走馬灯って奴か。と目を閉じながらぼんやり考える。
あんなに裏切られたのに、最期にネルが出てくるってことは、私、まだネルの事が好きなのね。
あんなやつ、もう忘れてしまいなさい。と心に語りかける。
「リリィ!!リリィ!!しっかりして!」
私の体が強く揺さぶられる。
うるさい走馬灯ね。
形があるなら引っぱたいてやったのに。
しかし、いつまで経ってもリリィ!と私を呼ぶ声が途切れない。
あれ?おかしいわね。走馬灯ってこんなに長いものかしら?
違和感を覚えてそっと目を開く。
眩しさに目を細めた次の瞬間、白銀の髪と宝石のような淡いブルーの瞳と目が合った。
今にも泣きだしそうな顔で私を見つめていたのは、間違いなくネルだった。
「・・・ネル?」
「リリィ!良かった」
ネルが安堵の声を漏らす。
魔法を使っているのか、私たちの体は崖には落ちずに浮いていた。
さすが魔法使い、空中浮遊もお手の物。
崖から吹きあがる風をものともせずに、ネルは私を抱きながら浮いている。
ゆっくりと体を起そうとしたところではたと気付いた。
肩がめちゃくちゃ痛いんだけれど!
そういえば射られてたわ!
痛みで次第に頭がはっきりとしていく。と当時に、怒りが湧いて来た。
どうしてネルがここにいるの?
どうやってここまで来たの?
今更何故助けに来たの?
本当に、本当に今さら過ぎる。私はもうネルへの想いも捨てたし、”番”なんて本当に碌な物じゃないんだと身に染みて知った。
喪女だと言われても良い。しばらくは恋なんてしたく無いし、家族や故郷と離れる原因になったネルへの恨みは時間を追うごとに膨らんでいく。
何より一番ムカつくのは、ネルが自分のことを全くと言っていいほどに語らない事だった。
裏切るならきれいさっぱり裏切りなさいよ!そっちの方がすっきりするわ。
なんでそんな後悔を滲ませた顔をするの?
本当にズルい人。
私は何もかも失ったのに!
そうやって自分からも逃げ続けるつもり?
後から後悔するくらいなら、最初から理由を説明してくれたっていいじゃない!
何故言えないの?なんでなの!?
私は嘘と隠し事が大嫌いなの!!
「ネルなんか、大嫌い!」
もう顔も見たくないわ!その綺麗な顔を思い出すだけで腹が立つくらい嫌いになったんだから!!
怒りに身を任せ、四肢を振りまわす。
右肩の痛みなんか気にするもんですか!
ここで会ったが百年目!恨みはらさでおくべきか!とばかりに暴れ散らかす。
「リリィ、落ち着いて。先に矢を___」
「今更助けに来たって遅いのよ!!」
私を落とさないようにネルがオロオロしながらバランスを取る。
抱きとめられる手にぎゅっと力がこもった。
ほらね、また中途半端に私の事を守ろうとしている。
そんなことより、まず先に私に「ごめんなさい」って言うべきでしょ!!
「嫌よ!絶対に許して・・・」
あげないんだから!と言おうとしたのに徐々にろれつが回らなくなってくる。
振り回す腕にも力が入らなくなり、だらりと腕が体の横に落ちていった。
あれ?何故かしら?徐々に頭がぼーっとして勝手に瞼が閉じていくわ。
まるで催眠術にでもかかったみたい。
駄目よ!まだネルに言いたい恨み事も、聞きたい本音も沢山あるのに!
気絶なんかしている場合じゃない。
そう思うのに、体はいう事を聞いてくれなかった。
「・・・毒だ」
と息を飲むネルの声が遠くで聞こえた。
もう目は閉じ切ってしまって、ネルの表情を見ることはできないけれど、珍しくその声には焦りが滲んでいた。
毒!?
(このまま私、死んでしまうのかしら・・・?)
はぐれた父と母にも、故郷にも戻れずにこのまま?
(そんなの・・・そんなの嫌よ。死にたくない)
私の気持ちとは裏腹に、世界は暗転していく。
その中で、ネルの温もりだけがやけに暖かく感じた。
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