10 / 18
第1章 欲望の目
月に吠える夜の化身
しおりを挟む
しかし、久しぶりにテレビをつけた。いつもなら暇で寝てしまっている午後10時。この時間帯のテレビは一部の層が喜びそうな、準メジャーな番組が多い。
「──こんなの誰が買うんだよ!」
「──これ美味いっすね!」
「──私ぃこういう飾り好きじゃなくてぇ」
ピッピッと番組をコロコロ変えて面白そうな番組を探すが、なんだかどれにも興味を惹かれない。
俺は大きなため息をつきながら、かいていたあぐらを解き、足を伸ばして腕を頭の下に敷いて寝転がった。
それにしてもダオロス、ノーデンスの流派を持つ奴等の戦いは凄まじかった。怪我なく事なきを得てほっとしているとある情景が蘇った。
──怪我。そうだ、彼女の指にはあの仮面でつけた傷がある。
俺は急いで飛び起きると、お風呂上がりにすぐ治療できるようにキッチン近くにあるタンスから小さい救急箱を取り出した。
中身が全て入っていることを確認した俺は、仮面の血を拭き取る物も必要だよなと思い立ちウェットティッシュのある玄関まで足を運んだ。
さて、これで一通り彼女が帰ってきた後の処置は出来るだろう。
俺はリビングに戻ろうと振り向くと、得体の知れない人物が、そこにはいた。見たところ悠と同年代くらいか、それより少し上の、蒼く輝く目と毛先に入った赤色が特徴的な少女だった。
「だ、誰だお前!どうやって入った!」
彼女は自慢げな顔をしながら腕を組む。
「やぁやぁ。直接会うのは初めてかな!?こんばんは疾くん!──」
俺の名前を知っている。誰だ。こいつも召喚士か?素早く腰を下げて身構える。だが、交戦できる状況でも場所でもない。
「──そう構えるなよ。僕はちょっと自己紹介しにきただけさ。
改めてこんばんは!僕の名前はニャルラトホテプ。この戦争の根源にして監視者さ。」
俺は奴の一人称と正体に驚きを隠せなかった。こいつが──
「──お前が......俺の大切なものを奪ったのか!!」
俺は冷や汗をかき、震えていた。噴き出すような衝動に抑えが効かなかったのだ。
「おいおい。よしてくれよ。僕は願いを叶えるダイスを人間にくれてやっただけ。それを奪い合ったのは人間じゃないの。」
あくまでこの戦争は自分のものではないと言い張る奴に俺はさらに激情した。俺が掴みかかろうと手を前に出すと奴は俺を嘲り「面白くなりそう」とだけ俺の耳に囁くと体を光の粉のようにして消えてしまった。
俺は掴みかかろうとした勢いが止められず、体の重心を支えきれなかった。
──その時。
「何事よ。こんな夜中にセールスでも......」
俺はいきなりドアを開けて出てくる彼女に、しかもよりによって胸に、勢いあまってに飛び込んだ。風呂上がりで火照った温度をバスタオル越しで感じるが、それを差し引いてもこの殺気によって感じる寒気は人智を超えていた。
「あんたねぇ......!?」
歯軋りしながら苛立つ彼女の体から、比較的速やかに遠ざかり弁解をはかる。
「あ、あの......霧宮さん?わざとじゃな......うぐっ!」
俺の脳天にかなりの勢いで振り下ろされたグー。しかも、手の甲の骨を頭蓋骨に食い込ませるようなグー。俺は意識が薄れゆくなか、彼女の怒号を聞いたのだった......。
ちらっとだけ見えた仮面の内側はとても子供らしく、それでいてとても可憐だった。ような気がする。
──そうして俺は気を失った。
「──こんなの誰が買うんだよ!」
「──これ美味いっすね!」
「──私ぃこういう飾り好きじゃなくてぇ」
ピッピッと番組をコロコロ変えて面白そうな番組を探すが、なんだかどれにも興味を惹かれない。
俺は大きなため息をつきながら、かいていたあぐらを解き、足を伸ばして腕を頭の下に敷いて寝転がった。
それにしてもダオロス、ノーデンスの流派を持つ奴等の戦いは凄まじかった。怪我なく事なきを得てほっとしているとある情景が蘇った。
──怪我。そうだ、彼女の指にはあの仮面でつけた傷がある。
俺は急いで飛び起きると、お風呂上がりにすぐ治療できるようにキッチン近くにあるタンスから小さい救急箱を取り出した。
中身が全て入っていることを確認した俺は、仮面の血を拭き取る物も必要だよなと思い立ちウェットティッシュのある玄関まで足を運んだ。
さて、これで一通り彼女が帰ってきた後の処置は出来るだろう。
俺はリビングに戻ろうと振り向くと、得体の知れない人物が、そこにはいた。見たところ悠と同年代くらいか、それより少し上の、蒼く輝く目と毛先に入った赤色が特徴的な少女だった。
「だ、誰だお前!どうやって入った!」
彼女は自慢げな顔をしながら腕を組む。
「やぁやぁ。直接会うのは初めてかな!?こんばんは疾くん!──」
俺の名前を知っている。誰だ。こいつも召喚士か?素早く腰を下げて身構える。だが、交戦できる状況でも場所でもない。
「──そう構えるなよ。僕はちょっと自己紹介しにきただけさ。
改めてこんばんは!僕の名前はニャルラトホテプ。この戦争の根源にして監視者さ。」
俺は奴の一人称と正体に驚きを隠せなかった。こいつが──
「──お前が......俺の大切なものを奪ったのか!!」
俺は冷や汗をかき、震えていた。噴き出すような衝動に抑えが効かなかったのだ。
「おいおい。よしてくれよ。僕は願いを叶えるダイスを人間にくれてやっただけ。それを奪い合ったのは人間じゃないの。」
あくまでこの戦争は自分のものではないと言い張る奴に俺はさらに激情した。俺が掴みかかろうと手を前に出すと奴は俺を嘲り「面白くなりそう」とだけ俺の耳に囁くと体を光の粉のようにして消えてしまった。
俺は掴みかかろうとした勢いが止められず、体の重心を支えきれなかった。
──その時。
「何事よ。こんな夜中にセールスでも......」
俺はいきなりドアを開けて出てくる彼女に、しかもよりによって胸に、勢いあまってに飛び込んだ。風呂上がりで火照った温度をバスタオル越しで感じるが、それを差し引いてもこの殺気によって感じる寒気は人智を超えていた。
「あんたねぇ......!?」
歯軋りしながら苛立つ彼女の体から、比較的速やかに遠ざかり弁解をはかる。
「あ、あの......霧宮さん?わざとじゃな......うぐっ!」
俺の脳天にかなりの勢いで振り下ろされたグー。しかも、手の甲の骨を頭蓋骨に食い込ませるようなグー。俺は意識が薄れゆくなか、彼女の怒号を聞いたのだった......。
ちらっとだけ見えた仮面の内側はとても子供らしく、それでいてとても可憐だった。ような気がする。
──そうして俺は気を失った。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる