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第1章 欲望の目
最強を謳う邪神
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家に入るために玄関を彼女とくぐるのはこれで二度目だ。この数時間で、いろいろなことがあったな。
俺は玄関の電気をつけると、玄関に敷かれたプラスチックの五芒星の陣を彼女に返し、その中心で燃え尽きた蝋燭をゴミ袋に放り込んだ。
「あんた、意外とマメなのね。儀式の手伝いとか後始末なんて、術者は普通しないものだけど。」
だろうな。と思いながら俺はフローリング床にチョークで書かれた下陣を拭き取っていた。
「とりあえず家が燃えなくてよかったよ。あと、世界が飲み込まれなくて。」
俺がそう言ってウェットティッシュをゴミ袋に捨てると彼女は、
仮面で隠れていない下半分の顔をひどく赤面させて俺の脛を思いっきり蹴った。
「あがっ!?うぁう......痛っつ~」
「もうあんたなんて知らないから!お風呂沸かしてくれるかしら!?」
意味が分からんぞ......。泣いたり軽蔑したりお願いしたり、忙しい奴だ。
俺は風呂を洗い、お湯張りのボタンをおしてリビングに戻ると、彼女が不思議そうにテレビを見つめていた。
「なーにみてんだよ。テレビがそんなに珍しいか?」
「フン。これ、どうやって使うか教えたらさっきの言動を許してやってもいいわ。」
レンジやケトルはわかるのにテレビを知らないってどういう事だ。まぁ何かわからないが、見たいなら教えてやろうとテーブルの上に置いていたリモコンを手に取った。
「ほれ、習うより慣れろ。これで操作するんだよ。まずは右上の赤丸のボタンを押して......」
彼女は今までに無いくらい素直に俺の言うことを聞いた。
「──今日のピックアップコーナーは!?」
テレビでは元気のいいお姉さんが耳寄りなニュースを紹介していた。一方彼女は固まっていた。
「これ、どうやってるの!?3次元の人間が2次元に投影されてるわ!?ボタンを押すだけなんて私の召喚魔術よりお手軽......。」
「それは魔術じゃなくて、科学の文明が作り出した投影器だ。もちろん魔術のみたいに万能じゃ無いから、トリミングした部分しか見ることはできないが。」
彼女は俺の話など聞く様子もなく、ただ座って画面を見つめていた。
「──今日のピックアップは!最強のアイドル!Lisya-リーシャ-さんをゲストにお迎えします!」
「最強!?今、最強って言ったわよね!?」
「"アイドルとして"って意味だと思うぞ。」
最強。最強......か。俺たち召喚士たちの世界にも名を口にするだけで身を滅ぼす禁忌の邪神がいる。流派として操ることはできなくは無いが、操るどころか奴に操られたり、そのパワーを扱いきれず生涯を終える召喚士もいると聞く。
「私、最強になりたいわ!最強の流派を教えなさい!」
俺は今ほどタイミングよく、都合の悪い会話を知らない。
「そ、そうだな。お前、お前が自信をもってダオロスが最強!って言えば、お前の中ではお前が最強だと思うぞ!......な?」
──お風呂が、沸きました♪
この時鳴った、お風呂の沸き上がりを伝える電子音に酷くビビった俺を見て、彼女は俺をジト目で見つめ、鼻で笑った。
「何焦ってんのよ。それより、お風呂沸いたみたいね!お先失礼するわ。のぞいたら殺す。」
覗かねーよ!俺はそう返そうと思ったが、ビビった反動で声が裏返ってしまい、また彼女に鼻で笑われた。
畜生......小娘、覚えてろよ......。
俺は仕方なくその場を黙って切り抜けた。
テレビに映る最強のアイドルとやらのパフォーマンスの何がいいのか、俺には全く分からなかった。でもやることもなかったので、ただ惰性でテレビを見て彼女の風呂上がりを待っていた。
俺は玄関の電気をつけると、玄関に敷かれたプラスチックの五芒星の陣を彼女に返し、その中心で燃え尽きた蝋燭をゴミ袋に放り込んだ。
「あんた、意外とマメなのね。儀式の手伝いとか後始末なんて、術者は普通しないものだけど。」
だろうな。と思いながら俺はフローリング床にチョークで書かれた下陣を拭き取っていた。
「とりあえず家が燃えなくてよかったよ。あと、世界が飲み込まれなくて。」
俺がそう言ってウェットティッシュをゴミ袋に捨てると彼女は、
仮面で隠れていない下半分の顔をひどく赤面させて俺の脛を思いっきり蹴った。
「あがっ!?うぁう......痛っつ~」
「もうあんたなんて知らないから!お風呂沸かしてくれるかしら!?」
意味が分からんぞ......。泣いたり軽蔑したりお願いしたり、忙しい奴だ。
俺は風呂を洗い、お湯張りのボタンをおしてリビングに戻ると、彼女が不思議そうにテレビを見つめていた。
「なーにみてんだよ。テレビがそんなに珍しいか?」
「フン。これ、どうやって使うか教えたらさっきの言動を許してやってもいいわ。」
レンジやケトルはわかるのにテレビを知らないってどういう事だ。まぁ何かわからないが、見たいなら教えてやろうとテーブルの上に置いていたリモコンを手に取った。
「ほれ、習うより慣れろ。これで操作するんだよ。まずは右上の赤丸のボタンを押して......」
彼女は今までに無いくらい素直に俺の言うことを聞いた。
「──今日のピックアップコーナーは!?」
テレビでは元気のいいお姉さんが耳寄りなニュースを紹介していた。一方彼女は固まっていた。
「これ、どうやってるの!?3次元の人間が2次元に投影されてるわ!?ボタンを押すだけなんて私の召喚魔術よりお手軽......。」
「それは魔術じゃなくて、科学の文明が作り出した投影器だ。もちろん魔術のみたいに万能じゃ無いから、トリミングした部分しか見ることはできないが。」
彼女は俺の話など聞く様子もなく、ただ座って画面を見つめていた。
「──今日のピックアップは!最強のアイドル!Lisya-リーシャ-さんをゲストにお迎えします!」
「最強!?今、最強って言ったわよね!?」
「"アイドルとして"って意味だと思うぞ。」
最強。最強......か。俺たち召喚士たちの世界にも名を口にするだけで身を滅ぼす禁忌の邪神がいる。流派として操ることはできなくは無いが、操るどころか奴に操られたり、そのパワーを扱いきれず生涯を終える召喚士もいると聞く。
「私、最強になりたいわ!最強の流派を教えなさい!」
俺は今ほどタイミングよく、都合の悪い会話を知らない。
「そ、そうだな。お前、お前が自信をもってダオロスが最強!って言えば、お前の中ではお前が最強だと思うぞ!......な?」
──お風呂が、沸きました♪
この時鳴った、お風呂の沸き上がりを伝える電子音に酷くビビった俺を見て、彼女は俺をジト目で見つめ、鼻で笑った。
「何焦ってんのよ。それより、お風呂沸いたみたいね!お先失礼するわ。のぞいたら殺す。」
覗かねーよ!俺はそう返そうと思ったが、ビビった反動で声が裏返ってしまい、また彼女に鼻で笑われた。
畜生......小娘、覚えてろよ......。
俺は仕方なくその場を黙って切り抜けた。
テレビに映る最強のアイドルとやらのパフォーマンスの何がいいのか、俺には全く分からなかった。でもやることもなかったので、ただ惰性でテレビを見て彼女の風呂上がりを待っていた。
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