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第1章 欲望の目
刻を超えた宿命
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俺は一度寝てしまったせいか、眠れずに天井を眺めて、"奴"について考えていた。
──這いよる混沌。神々の魂としての役割を担う、千の姿を持つ邪神。その性格は酷く曲がっており、人を狂気に堕とすために動く特徴がある。
「俺も、あいつに弄ばれてるんだろうな。」
俺はある伝説を思い出して、悶々としながらもじっとして目を閉じていた。
"ある時代の話だ。俺の家系の流派である生ける炎は、ニャルラトホテプの住むンガイの森を焼き払ったという。"
まさかその巡り合わせで、俺たち家族がニャルラトホテプを狙われているのではないだろうか。もし仮に他の召喚士に狙われながら、奴を相手にしていたというのなら、あれだけ強かった両親が殺されたのにも頷ける。だがそれでも、戦争に不参加表明をしていた俺の家族を奪ったことへの憤怒は消えなかった。──
──俺はいつのまにか寝ていたようで、起きると時刻は7時半。
今日は必修科目があるので学校に行かなければならない。のだが......
「あーんーたーねぇ!?カッコつけんな!あと、いきなり抱きついてきた挙句に寝てるところに入るとかありえないんだけど?」
痛い。やめて、痛い痛い。朝から良かれと思ってやったことへの猛批判と罵詈雑言を吐かれ、一片の容赦もない蹴撃をくらい続けている。
「痛いわ!この怪力幼女が!思いやりもダオロス様に吸われてんのじゃねぇの?殺す気かアホ!」
「アホ!?アホはどっちよ!こんのアホ疾!」
火に油を注ぎ、奴の怒りは猛烈に加速する。こんなことなら気遣いなんてするんじゃなかった。
昨日1日であんなにも感情がコロコロ変わって、きっと心身に疲労も積もっているだろうと、俺なりに気を利かせたつもりだったのに。
「あんたねぇ!?曲がりなりにも召喚士同士だってことを......」
何故かわからないが、彼の猛攻が止まった。俺は急所を隠して抱え込んだ姿から、彼女を見上げる。
「ん......?どうかしたのか。」
いきなり目を澄まして何かを眺める彼女。その目線の先には、昨日俺が寝転がる前にテーブルに置いておいた"義眼"のペンダント。
「あんたこれ、どこで?」
「あ?あぁ、これは俺の親代わりのおやっさんに貰ったんだよ。」
悠はそう、とそっけなく返したが、俺は何か彼女がこの義眼について知っているのではないかと予想した。
「おいお前、なんか隠してんだろ?」
俺はすかさず彼女に聞いた。今聞かなければ、これからずっと隠される気がして。
「あんた、もう忘れたのかしら。私に何かを聞くのはやめなさい。情報は命と繋がってるの。」
そうだった。でも、話を持ちかけたのは悠の方からじゃないか。
「分かった。なら等価交換でいこう。教えてもらうために俺はを何すればいい。」
「土下座して死になさい。」
昨日の戦いでは死ぬなって言ってくれたのに、掌返しが早すぎる。
「じゃあ土下座は誠意を込めてやる。だから死ぬのは来るべき時まで待ってくれ。」
俺は真剣に返した。この戦争を終結させた暁には死んでも構わない。
「いいわよ。あと、今日のご飯はお寿司?っていうのを食べてみたいわ。あ、間違ってもパックじゃないからね!」
いや、どこで寿司を覚えたんだよ......!ていうか名前的に寿司知らないわけないだろ。お前曲がりなりにも日本人ネームじゃんか。
「貧乏学生なめんな!てかお前日本名で寿司知らないは嘘だろ!」
「本当に知らないわ。今日あんたを叩き起こす前にテレビとやらで見た時に、衝撃が走ったわ......!」
畜生。たとえテレビを知っていたとしても、寿司を知っていたとしても、この2つを教えたのは俺。俺の散財は俺に責任があるのか......。
「分かったよ。金ないんだから、1ヶ月に1回ぐらいの贅沢だと思えよ。」
「ええ!」
子供らしく無邪気な輝かしい笑顔。この顔を見せられるとこっちも弱い。
ってあれ!?俺、こいつと長く同棲する感じのプランで話進めてなかったか今。
俺はこの時、改めて召喚士同士の戦争の終結を強く覚悟した。
「行ってくる。」
「早く帰ってきなさいよ。」
玄関先で手を振る彼女の姿はどこかおやっさんに似ていた気がした。
──這いよる混沌。神々の魂としての役割を担う、千の姿を持つ邪神。その性格は酷く曲がっており、人を狂気に堕とすために動く特徴がある。
「俺も、あいつに弄ばれてるんだろうな。」
俺はある伝説を思い出して、悶々としながらもじっとして目を閉じていた。
"ある時代の話だ。俺の家系の流派である生ける炎は、ニャルラトホテプの住むンガイの森を焼き払ったという。"
まさかその巡り合わせで、俺たち家族がニャルラトホテプを狙われているのではないだろうか。もし仮に他の召喚士に狙われながら、奴を相手にしていたというのなら、あれだけ強かった両親が殺されたのにも頷ける。だがそれでも、戦争に不参加表明をしていた俺の家族を奪ったことへの憤怒は消えなかった。──
──俺はいつのまにか寝ていたようで、起きると時刻は7時半。
今日は必修科目があるので学校に行かなければならない。のだが......
「あーんーたーねぇ!?カッコつけんな!あと、いきなり抱きついてきた挙句に寝てるところに入るとかありえないんだけど?」
痛い。やめて、痛い痛い。朝から良かれと思ってやったことへの猛批判と罵詈雑言を吐かれ、一片の容赦もない蹴撃をくらい続けている。
「痛いわ!この怪力幼女が!思いやりもダオロス様に吸われてんのじゃねぇの?殺す気かアホ!」
「アホ!?アホはどっちよ!こんのアホ疾!」
火に油を注ぎ、奴の怒りは猛烈に加速する。こんなことなら気遣いなんてするんじゃなかった。
昨日1日であんなにも感情がコロコロ変わって、きっと心身に疲労も積もっているだろうと、俺なりに気を利かせたつもりだったのに。
「あんたねぇ!?曲がりなりにも召喚士同士だってことを......」
何故かわからないが、彼の猛攻が止まった。俺は急所を隠して抱え込んだ姿から、彼女を見上げる。
「ん......?どうかしたのか。」
いきなり目を澄まして何かを眺める彼女。その目線の先には、昨日俺が寝転がる前にテーブルに置いておいた"義眼"のペンダント。
「あんたこれ、どこで?」
「あ?あぁ、これは俺の親代わりのおやっさんに貰ったんだよ。」
悠はそう、とそっけなく返したが、俺は何か彼女がこの義眼について知っているのではないかと予想した。
「おいお前、なんか隠してんだろ?」
俺はすかさず彼女に聞いた。今聞かなければ、これからずっと隠される気がして。
「あんた、もう忘れたのかしら。私に何かを聞くのはやめなさい。情報は命と繋がってるの。」
そうだった。でも、話を持ちかけたのは悠の方からじゃないか。
「分かった。なら等価交換でいこう。教えてもらうために俺はを何すればいい。」
「土下座して死になさい。」
昨日の戦いでは死ぬなって言ってくれたのに、掌返しが早すぎる。
「じゃあ土下座は誠意を込めてやる。だから死ぬのは来るべき時まで待ってくれ。」
俺は真剣に返した。この戦争を終結させた暁には死んでも構わない。
「いいわよ。あと、今日のご飯はお寿司?っていうのを食べてみたいわ。あ、間違ってもパックじゃないからね!」
いや、どこで寿司を覚えたんだよ......!ていうか名前的に寿司知らないわけないだろ。お前曲がりなりにも日本人ネームじゃんか。
「貧乏学生なめんな!てかお前日本名で寿司知らないは嘘だろ!」
「本当に知らないわ。今日あんたを叩き起こす前にテレビとやらで見た時に、衝撃が走ったわ......!」
畜生。たとえテレビを知っていたとしても、寿司を知っていたとしても、この2つを教えたのは俺。俺の散財は俺に責任があるのか......。
「分かったよ。金ないんだから、1ヶ月に1回ぐらいの贅沢だと思えよ。」
「ええ!」
子供らしく無邪気な輝かしい笑顔。この顔を見せられるとこっちも弱い。
ってあれ!?俺、こいつと長く同棲する感じのプランで話進めてなかったか今。
俺はこの時、改めて召喚士同士の戦争の終結を強く覚悟した。
「行ってくる。」
「早く帰ってきなさいよ。」
玄関先で手を振る彼女の姿はどこかおやっさんに似ていた気がした。
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