17 / 18
第1章 欲望の目
死霊を醒す唄
しおりを挟む
俺は唸る獣がたどったルートを追いかけながら、「結局あのモヤはなんだったのか」と屋上で見たあの仄暗い霧のようなものについて考えていた。
「あいつ......速すぎるだろ......ハァ、ハァ......追いつけない......。」
俺は、何かを探すように辺りを見渡しながら高速で走る毛むくじゃらを全力で追う。だが、俺にも体力の限界が近づいていた。
「グルルガウア!!ググゥ......!」
当の毛むくじゃらはまだまだ活力旺盛で、このまま純粋に追いかけていてはこれ以上近づくことができないだろう。だが、考えることが整理しきれていないせいで、奴を不意打ちで捕まえる術など考えている暇はなかった。
予定変更。怪物がB棟へ走っていったところを見るに、B棟には必ず何かがあると断定していい。なら、追いかけるよりもB棟で俺も術者や陣を探せばいい。
B棟は何故か、およそ半数の教室が男子禁制なのである。4階まである教室の2階までは男女問わず入れるのだが、3階からは男子が入れないようになっている。
「チッ。結局どんなに推測出来ても3、4階は見て回れないじゃねえか!!」
俺はとりあえずB棟の入れる範囲であの毛むくじゃらを歩いて探した。多分だがニャルラトホテプが言っていた「今日ここで起きる戦い」っていうのはあの毛むくじゃらとあの霧の怪異の戦闘で間違いないだろう。
B棟の各階講義室にはピアノが設置されているのだが、これは人が弾くものではない。ある一定の時間になると一斉に違う音が鳴る。その音が重なりあうことで、一つの曲が完成する。
曲名は確か......ん?ド忘れしてしまった。だが、どこかの宗教で主が復活する日をイースターと呼び、それに用いられる曲だったはず。入学式の時に聞いた話で直近までおぼえていたのだが。
というか、毎日朝、昼、夕の3回学内全体に聞こえるほどの爆音で流れている。毎日聞いていても曲名を忘れたのだが。
俺はB棟の全て(こっそり男子禁制の方にも入って)見回りを終えたが結局、術者や陣どころかあの怪物すら見つからなかった。
「特に争った形式もない......と。いったいどこにいるんだよ。」
俺は全ての教室をまわったが、それでなお見つからないので少し焦っていた。もし、講義終わりの不特定多数が散乱する時間帯にあんなのが暴れたら、そう考えただけでゾッとする。
俺は一旦B棟の外に出ると、また学内マップを見に走った。すると遠くから"あの音楽"が聞こえてくる。
「あぁ、もう昼かよ。霧宮には午前中に帰るって言っちまったし。起こってるだろうな......」
俺は家に残してきた霧宮のことを不安に思いながら掲示板に向かった。
それにしても、おかしい。何故、昼なのにだれもいないんだ。B棟にも確かに人がいなかった。
俺は護啓の講義のあるA棟の4階へと足を運んだ。階段を登りきり、廊下を右に曲がった時。そこで俺は校舎を徘徊する半透明な、"人間ではない何か"を見てしまった。それはみる限り「幽霊」と言っても差し支えのない容姿だった。
「あいつ......速すぎるだろ......ハァ、ハァ......追いつけない......。」
俺は、何かを探すように辺りを見渡しながら高速で走る毛むくじゃらを全力で追う。だが、俺にも体力の限界が近づいていた。
「グルルガウア!!ググゥ......!」
当の毛むくじゃらはまだまだ活力旺盛で、このまま純粋に追いかけていてはこれ以上近づくことができないだろう。だが、考えることが整理しきれていないせいで、奴を不意打ちで捕まえる術など考えている暇はなかった。
予定変更。怪物がB棟へ走っていったところを見るに、B棟には必ず何かがあると断定していい。なら、追いかけるよりもB棟で俺も術者や陣を探せばいい。
B棟は何故か、およそ半数の教室が男子禁制なのである。4階まである教室の2階までは男女問わず入れるのだが、3階からは男子が入れないようになっている。
「チッ。結局どんなに推測出来ても3、4階は見て回れないじゃねえか!!」
俺はとりあえずB棟の入れる範囲であの毛むくじゃらを歩いて探した。多分だがニャルラトホテプが言っていた「今日ここで起きる戦い」っていうのはあの毛むくじゃらとあの霧の怪異の戦闘で間違いないだろう。
B棟の各階講義室にはピアノが設置されているのだが、これは人が弾くものではない。ある一定の時間になると一斉に違う音が鳴る。その音が重なりあうことで、一つの曲が完成する。
曲名は確か......ん?ド忘れしてしまった。だが、どこかの宗教で主が復活する日をイースターと呼び、それに用いられる曲だったはず。入学式の時に聞いた話で直近までおぼえていたのだが。
というか、毎日朝、昼、夕の3回学内全体に聞こえるほどの爆音で流れている。毎日聞いていても曲名を忘れたのだが。
俺はB棟の全て(こっそり男子禁制の方にも入って)見回りを終えたが結局、術者や陣どころかあの怪物すら見つからなかった。
「特に争った形式もない......と。いったいどこにいるんだよ。」
俺は全ての教室をまわったが、それでなお見つからないので少し焦っていた。もし、講義終わりの不特定多数が散乱する時間帯にあんなのが暴れたら、そう考えただけでゾッとする。
俺は一旦B棟の外に出ると、また学内マップを見に走った。すると遠くから"あの音楽"が聞こえてくる。
「あぁ、もう昼かよ。霧宮には午前中に帰るって言っちまったし。起こってるだろうな......」
俺は家に残してきた霧宮のことを不安に思いながら掲示板に向かった。
それにしても、おかしい。何故、昼なのにだれもいないんだ。B棟にも確かに人がいなかった。
俺は護啓の講義のあるA棟の4階へと足を運んだ。階段を登りきり、廊下を右に曲がった時。そこで俺は校舎を徘徊する半透明な、"人間ではない何か"を見てしまった。それはみる限り「幽霊」と言っても差し支えのない容姿だった。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる