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18. Recovery!元気百倍なお姫様!!

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 目を覚ましてすぐ、自分がどこにいるか分からなかった。

 ここはどこ……私は誰……?と脳内で呟いてみる。

「あら!白川ちゃん、目を覚ましたのね!」

 聞き覚えのある声が聞こえ、顔を向けると、保健医の祭田先生がいた。

「祭田先生?あ、ここ、保健室ですか?」

「そうよ~白川ちゃん、昨日熱出してぶっ倒れたの。覚えてない?」

「あー……何となく、思い出しました」

 倒れる前の事はぼんやりと覚えているが、その後の事は何も思い出せない。気を失っていたのか、と把握する。

「白川ちゃん、お腹空いてる?何か食べられるかしら?」

 んー……と考え、パッと頭に浮かんだものを言う。

「サンドイッチが食べたいです!パストラミビーフいっぱい挟んだやつ!」

「食欲はあるのね。でも残念、病み上がりの人にはお粥よ」

 そんな……と地味にショックを受け、じゃあ、何故聞いた?と思った。

「今日1日は消化にいいものを食べなさい。明日から普通に食べていいから」

 ショックを受けた様子の私に、フォローするように祭田先生は言った。

 起き上がれるかしら?と聞かれ、私は体を起こそうとする。
 しかし、体中が痛くて中々起き上がれなかった。起き上がってからも打ち身のような痛みが体に響き、悶えることになった。

「何で、こんなに痛いんですか……?まさか、祭田先生、私に何かしました?!」

 私は自分の身を抱きしめるように腕を回す。その動作をするだけでも、体の節々が痛み、その痛みに悶える。

「手当しかしてないわよ!失礼ね!」

 私の反応を見た祭田先生は腕を組んでプンプンと怒ってから、一呼吸おいて話し出した。

「昨日落ちた時に打ったからだと思うわ。全身擦り傷と痣だらけだったもの。昨日はアドレナリンが分泌されてたから痛くなかっただけよ」

「そうですか、良かった」

「何も良くないわよ。……でも説教するのは彼に任せましょうか」

 …………ちょっと待って、彼?

 私は嫌な予感がしたため、ベッドから降りようと痛む体を無理矢理動かした。
 しかし、それよりも保健室のドアが開くのが先だった。

「いらっしゃい、白川ちゃんはさっき目を覚ましたわ」

「ありがとうございます」

 ちゃんとお礼を言って入ってきたのは、やはり予想通り、凪だった。

「おはよう、白川」

「お、おはようございます」

「さて、何か言いたいことは?」

「すみませんでした」

 私はすぐに謝った。こういう時は先手必勝だ。
 凪は、溜息を吐きながら、私の腕にある痣をグゥーっと押した。

「痛い!痛いです!」

「当たり前だ、痛くしてるんだから」

「やっぱり、凪にはそういった趣味が……」

「全身マッサージしてやろうか?」

「すみませんでした」

 そこから、怒涛の勢いで説教が続いた。一応私の体の具合を配慮してくれて、寝たままだったが、それでも説教は止めてくれなかった。


 説教が終わったのは、祭田先生がお粥を持ってきてくれた時だった。そして、先生と一緒にやってきた人がいた。

「雪月!」

「桜城くん……」

 目を覚ましたんだな、良かった……と安心したように言いながらベッド横に来た桜城くん。付き添いで有栖川先輩がいた。

「雪月、ごめん、ごめんな……!」

「大袈裟ですよ、死んだわけじゃありませんのに」

「それでも、俺が巻き込んだから……」

 ストップです。と黙らすように桜城くんの口に人差し指を当てる。

「小屋で話したでしょう?あれは私にも非があると。それに、お互い大きな怪我が無くて良かったじゃないですか。この話は終わりです」

「っ……分かった。あ、もう1つだけ……助けてくれて、ありがとう!」

 私は凪を見た。凪は私から視線を逸らした。やはり、凪の入れ知恵だったか……
 私は桜城くんに視線を戻し、微笑んで言った。

「……どういたしまして」

 桜城くんは、へへっと照れたように笑った。

「そういえば桜城くん、足はどうですか?」

「あ、捻挫だって。1、2週間くらいで治るっぽい!」

「そうですか。骨折してなくて良かったです」

 桜城くんの容態を聞き、一安心した所で、有栖川先輩が突然話し出した。

「蓮、話の途中で悪いが、白川に用件を話さないといけないんだ、少し代わってくれるか?」

「あ、そうだったな!いいぞ!」

 ベッド脇に立つ有栖川先輩。私は必然的に見上げる様に顔を向ける。

「今回の件は、蓮から事情を聞いている。災難だったな」

「ええ。ですが、生きているので問題は無いです」

「極論だな」

 フッと笑う有栖川先輩に、私も小さく笑う。しかしここからが本題のようで、有栖川先輩は真面目な顔で話し始めた。

「白川雪月、お前は先日のレクリエーションで見事鬼から逃げ切った。そのため何か1つ、欲しいものを特典として貰えるが、希望はあるか?」

 ……ああ、そういえば逃げ切ったな。と思い出し、欲しいものを考える。が、中々出てこない。

「…………これ、今じゃなきゃダメですか?」

「いや、1週間後までだ」

「じゃあ、一旦保留で……決まり次第、お伝えします」

 分かった、と有栖川先輩は言い、用事も済んだらしく、桜城くんをお姫様抱っこする。

「ちょ!雪月達がいるだろ!?」

「別に減るもんじゃないし、いいだろ?」

「良くない!」

 有栖川先輩と桜城くんは、イチャイチャと掛け合いをしながら、保健室を出ていった。
 2人が出ていったドアを食い入るようにガン見していると、凪にデコピンされた。

「痛っ!なんですか!?」

「邪心が見えたんで、つい」

 もぉ~と額を擦っていると、凪が祭田先生が持ってきたお粥を持って椅子に座った。

「食えるか?」

「勿論。お腹空きました!」

 ニコリと笑って、私はまだ温かいお粥に手をつけるのだった。


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