『転生勇者の俺、家族に正体を隠さず話した結果、家族も最強になった件』

アルさんのシッポ

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第1部 第2章「冒険者への道」

第7話「冒険者への第一歩」

第7話「冒険者への第一歩」


 村に万能丸薬を配った翌日から、僕は家族への本格的な訓練を始めた。
 冒険者になるには、ただ魔力があるだけでは不十分だ。実戦で使える技術が必要になる。
 早朝、家の前の空き地に家族を集めた。
「今日から、冒険者ギルドに登録するための訓練を始めるね」
 母さん、ソフィア姉さん、マルク兄さんが真剣な表情で頷く。双子はまだ寝ている。
「まずは魔力の感覚を掴むことが一番大事なんだ。魔力を感じられなければ、魔法は使えないから」
 僕は母さんの後ろに立った。
「母さん、少しじっとしていてね」
「え? ええ…」
 僕は母さんの背中に手を当て、自分の魔力をゆっくりと流し込んでいく。
 これは、前世で習得した技術の一つ。五百年前、エルフの里を訪れた時、長老から直接教わった方法だ。
 魔力を他者に流すことで、魔力の流れを直接体感させる。この技術を使える者は、今の時代にはほとんどいないだろう。
 母さんの身体がビクッと震える。
「あ…! これ…温かい…」
「それが魔力だよ、母さん。自分の身体の中にも、同じものが流れてるんだ。感じてみて」
 母さんが目を閉じる。
「流れてる…確かに流れてる…青と緑の…」
「そうだよ。それが母さん自身の魔力なんだ」
 数分後、母さんは自分で魔力をコントロールできるようになっていた。
「すごい…自分で感じ取れる…」
「この方法なら、感覚を掴むのが早いんだよ」
 次にソフィア姉さんとマルク兄さんにも同じように魔力を流し込む。
 ソフィア姉さんの魔力は熱く、炎のように揺らめいている。
「熱い…燃えるような感じ…」
「それが姉さんの炎の魔力だよ」
 マルク兄さんの魔力は軽く、風のように流れている。
「軽い…風みたいに動いてる…」
「それが兄さんの風の魔力なんだ」
 僕は心の中で、エルフの長老の顔を思い出していた。
 白く長い髭を蓄えた老人。穏やかな笑顔で、この技術を教えてくれた。
『勇者殿、この技術を使えば、魔法の習得が格段に早くなりますぞ』
 長老の言葉通り、僕は短期間で様々な魔法を習得できた。
 その時、長老は苦笑いして言った。
『まったく、勇者という者はズルいのじゃ。我らエルフが何十年もかけて習得する魔法を、数週間で覚えてしまうとは』
 懐かしい記憶だ。あの時の恩を、今度は家族に返す番だ。
 この訓練を三日間続けた。
 三日目には、家族全員が自分の魔力を自在に感じ取れるようになっていた。
 四日目、無属性魔法の訓練を始めた。
「今日からは、誰でも使える無属性魔法を教えるね」
 家族が興味深そうに僕を見る。
「無属性魔法…?」
「うん。身体強化魔法と空間収納魔法だよ」
 僕は説明する。
「これらは属性に関係なくて、訓練すれば誰でも使えるんだ。ただし…」
 僕は少し言葉を選ぶ。
「訓練方法を知る人が、今の時代にはほとんどいないんだって。自分で文献を研究して覚えるしかないから、普及してないんだ」
 母さんが驚く。
「そんな便利な魔法が…でも、なぜ広まっていないの?」
「教える方法を知らないからだよ。でも、僕は知ってるんだ」
 これもエルフの長老から教わった技術だ。
「まずは身体強化魔法から。母さん、背中に手を当てるね」
 僕は母さんの背中に手を当て、魔力を流し込む。
 同時に、身体強化魔法を発動させる。
 魔力が全身を巡り、筋肉と骨を強化していく流れを、母さんに直接体感させる。
「あ…身体が…軽い…力が湧いてくる…」
 母さんが驚いて自分の手を見る。
「この感覚を覚えてね。自分でやってみて」
 母さんが集中する。
 最初は上手くいかなかったけど、僕が何度も魔力を流して感覚を教えていくうちに、徐々にコツを掴んでいく。
 二日目には、母さんは自力で身体強化魔法を発動できるようになった。
「できた…! 本当に身体が軽い…!」
 次にソフィア姉さんとマルク兄さん。
 二人にも同じように、魔力を流して身体強化魔法の感覚を教える。
 若いこともあり、二人は一日で習得した。
「すごい…こんなに力が出る…!」
「僕、木の上まで跳べそう…」
「空間収納魔法も教えるね」
 これも同じ方法で教える。
 魔力で空間を歪め、物を収納する感覚を、直接体感させる。
 三日後、家族全員が空間収納魔法を使えるようになっていた。
「これで、荷物を持ち運ぶ必要がなくなったね」
 母さんが嬉しそうに自分の空間収納に物を入れたり出したりしている。
 一週間目、ソフィア姉さんへの剣術指導を始めた。
「姉さん、剣の基本から教えるね」
 僕は剣の構え、足の運び、重心の移動を実演する。
「剣術は力じゃないんだ。技術とバランスが大事なんだよ」
 ソフィア姉さんが真似をする。最初はぎこちないけど、身体強化魔法のおかげで動きが良い。
「いいよ。その調子だよ」
 基本的な型を教えた後、魔法剣の訓練に入る。
「次は、剣に魔力を流し込むんだ」
 僕は実演する。剣に炎魔力を流すと、剣身が赤く輝き、炎が揺らめく。
「これが魔法剣。炎剣士の基本技術なんだ」
 ソフィア姉さんが目を輝かせる。
「私もやってみたい…」
「じゃあ、姉さんの背中から魔力を流すから、その感覚を覚えてね」
 僕はソフィア姉さんの背中に手を当て、炎魔力を剣に流すルートを示す。
 魔力が腕を通り、手のひらを通り、剣に流れ込む。
 剣が微かに赤く光り始める。
「感じた…! これが魔力の流れ…!」
「そうだよ。この感覚を覚えて、自分でやってみて」
 ソフィア姉さんが集中する。
 最初は上手くいかなかったけど、二日目には剣を微かに光らせることができた。
 そして三日目――
「できた!」
 ソフィア姉さんの剣が赤く輝き、炎が揺らめく。
「すごいよ、姉さん! もう魔法剣が使えるんだ!」
「本当!? 私、できてる!?」
 母さんも驚いて見ている。
「ソフィア、すごいわ…」
 同じ頃、マルク兄さんには弓術と風魔法を教えていた。
「兄さん、弓は呼吸と集中力が全てなんだよ」
 的を設置し、基本的な射撃姿勢を教える。
 マルク兄さんは真面目な性格で、教えたことを忠実に守る。
 身体強化魔法で視力と集中力が高まっているため、上達が早い。
 二日目には、三十メートル先の的に当てられるようになっていた。
「よし、次は風魔法だよ」
 僕はマルク兄さんの背中に手を当て、風魔力を矢に纏わせる流れを示す。
 魔力が腕を通り、弓を通り、矢に集まる。
 矢の周りに、薄い風の膜ができる。
「これが…風魔法…」
 マルク兄さんが感覚を掴む。
 三日目、マルク兄さんは自分で風を矢に纏わせることができるようになった。
「やった…自分でできた…」
「じゃあ、撃ってみようか」
 マルク兄さんが弓を引き、風を纏った矢を放つ。
 矢は通常の倍の速度で飛び、的に命中――そして貫通した。
 的には、矢よりも明らかに大きな、丸い穴が空いていた。
「すごい…貫通した…」
「風魔法の力だよ。風が矢の威力を倍増させてるんだ」
 母さんへの治癒魔法の訓練も順調だった。
「母さん、回復魔法は優しさとイメージが大事なんだよ」
 僕は小さな傷を自分の手に作る。
「この傷を治すイメージをしながら、魔力を手のひらに集めてみて」
 母さんが僕の手を包み込む。
 緑色の柔らかな光が溢れ出し、傷が消えていく。
「できた…本当に治った…」
「母さんは治癒の才能があるよ」
 一週間の訓練で、母さんは小さな傷なら完全に治せるようになっていた。
 さらに母さんには、水魔法の基礎も教えた。
「母さんの魔力は水と回復の二つの属性があるんだ」
 母さんの手のひらに、小さな水の球を作らせる。
「これが水魔法の基本だよ」
 母さんが驚いて水の球を見つめる。
「私…水も操れるの…」
「うん。治癒魔法と組み合わせれば、もっと効果的な治療ができるようになるよ」
 訓練十日目、僕は家族全員を集めた。
「みんな、本当によく頑張ったね」
 家族の成長ぶりを見回す。
 母さん:身体強化、空間収納、治癒魔法、水魔法を習得
 ソフィア姉さん:身体強化、空間収納、魔法剣を習得
 マルク兄さん:身体強化、空間収納、風の矢を習得
「もう十分だと思う。明日、グランベルの町に行って、冒険者ギルドに登録しようか」
 ソフィア姉さんが嬉しそうに剣を振る。炎が揺らめく。
「私、魔法剣が使えるようになった!」
 マルク兄さんも自信を持って言う。
「僕も、風の矢が撃てる」
 母さんも微笑む。
「私も、治癒魔法が使えるようになったわ。それに、空間収納も便利ね」
「うん、じゃあ明日、町に行こう」
 翌朝、家族で町への準備をした。
 僕は空間収納から、質の良い服を取り出した。
「これを着よう。冒険者として活動するなら、ちゃんとした服装が必要だからね」
 母さんには上品で綺麗な服、ソフィア姉さんには動きやすいチュニックとズボン、マルク兄さんにはシンプルなシャツとズボン、双子には可愛らしい服。
 着替えを済ませると、家族全員が見違えるように立派に見えた。
「みんな、すごく似合ってるよ」
 そして、武器と防具を買うための金貨を用意した。
「じゃあ、行こうか」
 村人たちが見送ってくれる。
「アレン、行ってらっしゃい」
「気を付けてな」
 僕たちは身体強化魔法をかけて、グランベルへの道を歩き始めた。
 双子には僕が身体強化魔法のバフをかけた。母さんがしっかりと手を繋いでいる。
 約二時間後、グランベルの町に到着した。
 門番に用件を告げると、すぐに通してくれた。
「冒険者ギルドは中央広場の東側ですよ」
「ありがとうございます」
 町の中央広場は活気に満ちていた。
 石畳の道、並ぶ商店、行き交う人々。
 双子が目を丸くしている。
「すごい…人がいっぱい…」
「こんなに大きな町、初めて…」
 母さんも少し緊張している様子だ。
「大丈夫だよ、母さん。まずは武器を買おうね」
 武器屋に入ると、店主が愛想よく出迎えてくれた。
「いらっしゃい。武器をお探しかな?」
「はい。剣と弓を探しています」
 ソフィア姉さんには軽量の剣を、マルク兄さんには子供用の弓を購入。
 次に防具屋で、革の鎧とブーツ、手袋を揃えた。
 母さんの分も購入する。
「母さんも、いずれ前線に出るかもしれないからね」
「前線…私が…?」
「治癒術師は後方支援が基本だけど、自衛のための防具は必要なんだよ」
 合計で金貨三枚ほど使ったけど、まだ十分に残っている。
「さあ、冒険者ギルドに行こうか」
 三階建ての大きな建物。看板には「冒険者ギルド グランベル支部」。
 扉を開けると、広いロビーに冒険者たちが集まっている。
 僕たちが入ると、視線が集まった。
「子供…?」
「冒険者志望か?」
 受付カウンターに向かうと、若い女性が笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。私は受付のミラと申します」
「冒険者登録をお願いします」
「冒険者登録ですね。どなたが…?」
「僕と、姉さんと兄さんと、母さんです」
 ミラさんが少し驚いた表情を見せる。
「四名様ですね。えっと…お子様方はおいくつですか…?」
「僕は七歳です。姉さんは十三歳、兄さんは十歳です」
「七歳…通常は十歳以上ですが…」
「実力があれば年齢制限は撤廃できるはずですよね」
 ミラさんが驚く。
「よくご存知ですね…では、ギルドマスターに確認してきます」
 しばらくして、大柄な男性が現れた。筋骨隆々とした身体、傷だらけの顔、鋭い目つき。
「私がギルドマスターのガルムだ」
 低く太い声で僕を見る。
「七歳で冒険者になりたいと?」
「はい」
「理由は?」
「家族を養うためです。それと、困っている人を助けたいからです」
 ガルムさんが頷く。
「では、実技試験を行う。訓練場に来い」
 訓練場には、木製の人形や的が設置されている。
「あの木製人形を、武器か魔法で破壊しろ」
 僕は魔法で攻撃することにした。
「ファイアボール」
 手のひらから火球が放たれ、人形が砕け散る。
 周囲が静まり返る。
「七歳で…火球魔法を…」
 ガルムさんが驚いている。
「しかも詠唱が短く、制御が完璧だ…」
 彼は腕を組んで考え込む。
「普通、新人はGランクからスタートする。だが、お前の実力は明らかにそれ以上だ」
 しばらく考えた後、ガルムさんが宣言する。
「お前には…Dランクを与える」
 周囲の冒険者たちがざわつく。
「Dランクだと!?」
「新人が!?」
「馬鹿な…」
 ガルムさんが周囲を睨む。
「黙れ。この目で見た。あの魔法の精度と威力は、本来ならBランクに相応しい。だが、経験不足のためDランクからだ」
 そして僕に向き直る。
「ただし、条件がある。最初の一ヶ月は、Eランク以下の依頼のみ受けられる。実績を積んでから、Dランクの依頼に挑戦しろ」
「わかりました」
 次はソフィア姉さんの番だ。
「私は剣で」
 新しい剣を抜き、木製人形に向かう。
 深呼吸。そして、剣に魔力を流し込む。
 剣身が赤く輝き、炎が揺らめく。
「えい!」
 炎を纏った剣が、人形を真っ二つに切断した。
 ガルムさんが驚く。
「魔法剣…! しかも炎を纏わせた…!」
 彼は感心したように頷く。
「お嬢さん、いつから訓練を?」
「十日前からです」
「十日で魔法剣を…」
 ガルムさんが信じられないという表情をする。
「誰に教わった?」
「弟に教わりました」
 ガルムさんが僕を見る。
「七歳の子供が…魔法剣を教えられるのか…?」
 僕は答える。
「はい。訓練方法を知っていたので」
 ガルムさんは何か言いかけたけど、首を振った。
「…まあいい。とにかく、合格だ。Eランクを与える」
 次はマルク兄さんだ。
「僕は弓で」
 ガルムさんが三十メートル先に的を設置する。
「あの的に当てろ」
 マルク兄さんが弓を構える。
 呼吸を整え、矢に風魔力を纏わせる。
 矢の周りに、薄い風の膜が見える。
 そして――
 ヒュン。
 矢が放たれる。
 通常の倍の速度で飛び、的に命中。
 そして貫通。
 的には、矢よりも明らかに大きな、丸い穴が空いていた。
 ガルムさんが目を見開く。
「何と…風を纏わせて矢を放ったのか…!」
 彼は的に近づき、穴を確認する。
「矢の直径の倍はある…風魔法が威力を増幅させたのだ…」
 マルク兄さんに向き直る。
「お前も、いつから訓練を?」
「十日前からです」
「十日で風魔法を矢に纏わせられるとは…」
 ガルムさんが再び僕を見る。
「お前は一体…どこでそんな訓練方法を…」
 僕は答える。
「独学です。色々と研究しました」
 嘘じゃない。前世で、エルフの長老から学んだことを研究し、応用しているのだから。
 ガルムさんは深く息を吐いた。
「…わかった。合格だ。お前にもEランクを与える」
 最後は母さんの番だ。
「私は…治癒魔法で」
 母さんが少し緊張した表情で前に出る。
 ガルムさんが興味深そうに見る。
「治癒術師志望か。では…」
 彼は自分の腕に小さな切り傷を作った。
「この傷を治してみてくれ」
 母さんが頷き、ガルムさんの腕に手を当てる。
 目を閉じて集中する。
 数秒後――
 母さんの手のひらから、緑色の柔らかな光が溢れ出した。
 光がガルムさんの傷を包み込み、みるみる傷が消えていく。
 完全に治癒した。
 ガルムさんが驚いて自分の腕を見る。
「これは…完璧な治癒だ…」
 周囲の冒険者たちもざわつく。
「すごい…一瞬で治した…」
「治癒術師だ…貴重な…」
 ガルムさんが母さんを見る。
「いつから魔法を?」
「十日前から息子に教わりました」
「十日で…この精度の治癒魔法を…」
 ガルムさんが感心する。
「治癒術師は貴重だ。我々冒険者にとって、命を救ってくれる存在だからな」
 そして宣言する。
「合格だ。Eランクを与える」
 母さんが安堵の表情を浮かべる。
「ありがとうございます…」
 四人とも無事に合格して、ギルドカードを受け取った。
 ミラさんが魔法の石板で登録手続きをしてくれる。
アレン・ヴァルトハイム
Dランク冒険者
ソフィア・ヴァルトハイム
Eランク冒険者
マルク・ヴァルトハイム
Eランク冒険者
エレナ・ヴァルトハイム
Eランク冒険者(治癒術師)
 ガルムさんが真剣な表情で言う。
「お前たち、普通ではないな。だが、無理はするな。実戦は訓練とは違う」
「わかっています」
 僕たちは依頼掲示板を見た。
 様々な依頼が並んでいる。
「ゴブリン討伐…報酬銀貨五十枚…これにしようか」
 Eランク依頼だ。僕たち四人で挑戦するには丁度いい。
「では、この依頼を受けます」
 ミラさんが依頼書を渡してくれる。
「気をつけてくださいね」
「ありがとうございます」
 ギルドを出ると、双子が嬉しそうに飛びついてきた。
「お兄ちゃん、すごかった!」
「みんな合格した!」
 母さんが優しく微笑む。
「本当に…みんな冒険者になれたのね…」
 僕は家族を見回した。
 十日間の訓練で、家族は確実に成長した。
 身体強化魔法と空間収納魔法、そして各自の得意魔法。
 これから、一緒に冒険者として活動していく。
 一緒に強くなっていく。
「さあ、帰ろうか。明日、ゴブリン討伐に行くよ」
 家族全員が、決意に満ちた表情で頷いた。
 これが、ヴァルトハイム家の冒険者としての、第一歩だった。
 そして僕は、心の中でエルフの長老に感謝した。
「長老…あなたから教わった技術のおかげで、家族を強くすることができました。ありがとうございます」
 きっと、遠い異世界で、長老は苦笑いしながら頷いているだろう。
『まったく、勇者という者はズルいのじゃ』
 その声が、聞こえた気がした。


次回:第8話「初めての依頼」


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