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第1部 第3章「村の繁栄」
第15話「村の代表、そして新たな挑戦」
第15話「村の代表、そして新たな挑戦」
城壁が完成した翌日、村長が僕を訪ねてきた。
いつもより緊張した表情をしている。
「村長さん、どうしたんですか?」
「アレン…話がある。少し時間をもらえるか」
僕は村長を家に招き入れた。
母さんがお茶を出してくれる。
「実は…」
村長が重々しく口を開く。
「わしは、もう年だ。村長の仕事は、体力的にも精神的にも厳しくなってきた」
「村長さん…」
「それに、この村は大きく変わった。お前のおかげで、貧しい辺境の村から、立派な村になった」
村長が真剣な表情で僕を見る。
「だから…お前に、村長を…いや、村の代表になってほしいんだ」
僕は驚いた。
「え…でも、僕まだ七歳ですよ」
「年齢は関係ない。お前には実力がある。そして、村人全員がお前を信頼している」
村長が深々と頭を下げる。
「頼む。この村を、お前に任せたい」
僕は困惑した。
村の代表…
そんな大きな責任を、七歳の僕が…
「村長さん、でも…」
「わしも完全に引退するわけじゃない。お前を補佐する。経験が必要なことは、わしが助ける」
村長が続ける。
「それに、村人たちも望んでいる。みんな、お前についていきたいと言っている」
母さんが僕の肩に手を置く。
「アレン、あなたならできるわ」
僕は少し考えた。
確かに、村の代表になれば、もっと色々なことができる。
村の発展を、もっと加速できる。
でも、その責任は重い。
「…わかりました」
僕は頷いた。
「ただし、条件があります」
「条件?」
「村長さんは、これからも相談役として村に残ってください。僕一人じゃ、まだ経験が足りません」
村長が嬉しそうに微笑む。
「もちろんだ。喜んで」
その日の夕方、村の中央広場で集会が開かれた。
村人全員が集まっている。
村長が前に出る。
「皆の衆、聞いてくれ」
村長が声を張り上げる。
「わしは今日をもって、村長の職を退く」
村人たちがざわつく。
「そして、新しい村の代表として、アレン・ヴァルトハイムを推薦する」
村人たちが僕を見る。
「アレンは、この村を救ってくれた。貧困から救い、魔物から守り、そして繁栄をもたらしてくれた」
村長が続ける。
「わしは、アレンなら、この村をもっと良くしてくれると信じている」
一人の村人が手を挙げた。
「賛成だ!」
「俺も賛成!」
「アレンなら安心だ!」
次々と賛成の声が上がる。
村長が僕を見る。
「アレン、前へ」
僕は前に出た。
村人たちが拍手する。
「これより、アレン・ヴァルトハイムを、この村の代表とする。異議のある者は?」
誰も異議を唱えない。
全員が拍手している。
「では、決定だ。アレン、この村を頼む」
僕は深々と頭を下げた。
「精一杯頑張ります。みなさん、これからもよろしくお願いします」
村人たちが歓声を上げる。
「アレン代表、万歳!」
「ヴァルトハイム家、万歳!」
こうして、僕は七歳にして、村の代表になった。
翌日、僕は最初の代表としての仕事に取り組んだ。
村の本格的な建設計画だ。
「村長さん…いや、ゲオルグさん」
僕は前村長を呼ぶ。もう村長ではないから、名前で呼ぶことにした。
「これから、村全体の家を新しく建て替えます。それと、僕たち家族の屋敷も作ります」
「屋敷…?」
「はい。村の代表として、村人たちを迎え入れる場所が必要です。それに、家族も増えましたから」
僕は計画を説明する。
「まず、残りの家々を全て建て替えます。クラフト魔法チームを拡大して、効率を上げます」
「それから、村の中心に、代表の屋敷を建てます。そこを、村の行政の中心にします」
ゲオルグさんが頷く。
「わかった。必要な協力は惜しまない」
その日から、村の大建設が本格化した。
まず、クラフト魔法の適性がある村人を再度募集した。
新たに三人が見つかり、クラフト魔法チームは合計で僕とノエルを含めて十人になった。
「みんな、これから村全体を作り直すよ」
僕はチームに説明する。
「残りの家が約80軒。一日に四軒ずつ建てれば、二十日で完成する」
十人のチームを、二つのグループに分ける。
僕が率いるグループと、ノエルが率いるグループ。
「それぞれのグループで、一日に二軒ずつ建てよう」
チームメンバーが頷く。
建設が始まった。
僕のグループは村の東側を担当。
ノエルのグループは西側を担当。
朝から夕方まで、休憩を挟みながら作業を続ける。
一軒目――
設計図を共有し、土と石と木材を組み合わせる。
クラフト魔法で一体化させ、頑丈な家を作る。
四時間で完成。
二軒目も同じように。
夕方には、二軒の新しい家が完成していた。
「すごい…本当に一日で二軒も…」
村人たちが感動している。
ノエルのグループも、同じペースで建設を進めている。
「アレン、私のグループも二軒できたよ!」
ノエルが嬉しそうに報告してくれる。
「すごいね、ノエル!」
こうして、一日四軒ずつ、村の家が新しくなっていった。
十日目、村の半分以上の家が新しくなった。
その夜、僕は家族と新しい屋敷の設計について話し合った。
「僕たちの屋敷は、どんなのがいいかな?」
ソフィア姉さんが言う。
「私、大きな訓練場がほしい!」
マルク兄さんも言う。
「僕は、静かに本が読める部屋がほしいな」
母さんが言う。
「私は、診療室を屋敷の中に作りたいわ。いつでも治療できるように」
双子が叫ぶ。
「僕たちは、広い部屋!」
「遊べる部屋!」
ノエルも言う。
「私は…クラフト魔法の工房がほしいな。色々実験できる場所」
僕は全員の希望を聞いて、設計図を考えた。
「じゃあ、こんな感じはどうかな」
羊皮紙に設計図を描く。
二階建ての大きな屋敷。
一階:
- 玄関ホール
- 応接室(村人を迎える場所)
- 食堂
- 台所
- 母さんの診療室
- ノエルの工房
- 浴室
二階:
- 僕の部屋
- ソフィア姉さんの部屋
- マルク兄さんの部屋(兼書斎)
- 双子の部屋
- ノエルの部屋
- 母さんの部屋
そして、屋敷の隣に:
- 訓練場
- 倉庫
「これなら、みんなの希望が叶うと思うんだけど」
家族全員が目を輝かせる。
「すごい!」
「こんな立派な屋敷…」
「本当にできるの?」
「できるよ。クラフト魔法があれば」
二十日目、村の全ての家が新しくなった。
村全体が、まるで別の村のように美しくなっていた。
石と木と土で作られた、頑丈で美しい家々。
整然と並ぶ道。
綺麗な井戸。
そして、それを囲む立派な城壁。
「本当に…別の村みたいだ…」
村人たちが感動している。
「まるで町みたいだ」
「いや、町よりも綺麗かもしれない」
そして、二十一日目から、ヴァルトハイム家の屋敷の建設が始まった。
これは、村全体のプロジェクトだ。
クラフト魔法チーム全員が参加。
そして、村人たちも手伝ってくれる。
まず、村の中心に広い土地を確保する。
約500平方メートル。
そこに、基礎を作る。
クラフト魔法で、土と石を組み合わせた頑丈な基礎。
次に、壁を立てる。
石と木材を組み合わせた、美しい壁。
一階部分ができあがる。
三日後、二階部分も完成。
そして、屋根。
木材と瓦を組み合わせた、立派な屋根。
七日後――
ついに、ヴァルトハイム家の屋敷が完成した。
二階建ての美しい屋敷。
石造りの外壁に、木製の窓枠。
立派な玄関。
広い訓練場と倉庫。
「すごい…」
家族全員が、呆然としている。
「本当に…お城みたい…」
ソフィア姉さんが呟く。
「僕たちの家…こんなに立派な…」
マルク兄さんも驚いている。
双子が嬉しそうに走り回る。
「広い!」
「すごい!」
ノエルが涙を流している。
「こんな素敵な家…私も家族の一員なんだ…」
母さんがノエルを抱きしめる。
「当たり前よ。あなたは私たちの大切な家族」
村人たちも、屋敷を見上げている。
「代表の屋敷に相応しい」
「立派だ」
「これで、村の中心ができた」
その夜、家族全員で新しい屋敷で最初の夕食を食べた。
広い食堂に、大きなテーブル。
母さんが作った料理が並ぶ。
「乾杯! 新しい家に!」
僕が言うと、家族全員が笑顔で応える。
「乾杯!」
食事をしながら、みんな嬉しそうだ。
「私の部屋、本当に広い!」
ソフィア姉さんが言う。
「僕の部屋には、本棚がたくさんある!」
マルク兄さんも嬉しそうだ。
「僕たちの部屋、最高!」
双子が叫ぶ。
ノエルも微笑む。
「私の工房…色々実験できそう」
母さんが優しく言う。
「診療室も完璧。これで、もっと多くの人を治療できるわ」
僕は家族を見回した。
みんなの笑顔。
幸せそうな表情。
これが、僕が望んでいたものだ。
「みんな、これからもよろしくね」
翌日、新しい挑戦が始まった。
フォレストン村の村長が訪ねてきた。
「アレン代表、相談があるのだが」
「何でしょうか?」
「実は…他の村からも、クラフト魔法で家を建ててほしいという依頼が来ている」
フォレストンの村長が説明する。
「北のオークウッド村、東のリバーサイド村。みんな、あなたの噂を聞いて、依頼したいと」
「他の村からも…」
僕は少し考えた。
「でも、僕たちだけでは手が回りません」
「わかっている。だから、提案がある」
フォレストンの村長が言う。
「魔法建築屋を正式に組織化しないか? クラフト魔法の使い手を集めて、ギルドのような組織にするんだ」
「ギルド…」
「ああ。そうすれば、各村から依頼を受けて、報酬を得られる。村の新しい収入源にもなる」
それは面白い提案だった。
「わかりました。やってみましょう」
僕は決意した。
「魔法建築屋ギルドを作ります」
その日の午後、僕はクラフト魔法チームを集めた。
「みんな、新しい提案がある」
十人のチームメンバーが真剣な表情で聞く。
「魔法建築屋ギルドを作りたいんだ」
メンバーがざわつく。
「ギルド…?」
「そう。クラフト魔法の使い手を集めて、他の村からの依頼を受ける組織だよ」
僕は説明する。
「僕たちの村だけじゃなくて、この地域全体を発展させたい。そのために、他の村の建設も手伝うんだ」
「報酬は?」
一人が聞く。
「もちろん、報酬はもらう。でも、最初は安くする。村人たちが払える範囲で」
メンバーが顔を見合わせる。
そして、一人、また一人と頷き始めた。
「面白そうだ」
「やってみよう」
「俺たちの技術で、他の村も助けられるなんて」
全員が賛成してくれた。
「ありがとう。じゃあ、魔法建築屋ギルドを正式に立ち上げよう」
一週間後、魔法建築屋ギルドが正式に発足した。
メンバーは、僕とノエルを含めて十人。
本部は、ヴァルトハイム家の屋敷の隣に建てた専用の建物。
そこに、設計図や道具を保管する。
最初の依頼は、オークウッド村からだった。
「十軒の家を建て替えたい」
僕たちは五人ずつ二組に分かれて、オークウッド村に向かった。
そこで、同じように家を建設していく。
村人たちが驚く。
「本当に…一日で二軒も…」
「魔法って、すごいんだな」
五日後、十軒の家が完成した。
オークウッド村の村長が深々と頭を下げる。
「ありがとうございます。報酬です」
金貨五枚を渡される。
「こんなに…」
「いえ、これでも安すぎるくらいです。普通の職人に頼めば、十倍はかかります」
僕たちは報酬を受け取った。
これを、ギルドメンバーで分配する。
そして、次の依頼。
リバーサイド村から、二十軒の家の建設依頼。
その次は、別の村から城壁の建設依頼。
どんどん依頼が来る。
魔法建築屋ギルドの名前が、地域中に広まっていった。
三ヶ月後、魔法建築屋ギルドは大成功していた。
メンバーも増えて、二十人になった。
他の村からクラフト魔法の適性がある者が、弟子入りを志願してきたのだ。
「アレン様、私にもクラフト魔法を教えてください」
「クラフト魔法を学びたいです」
僕とノエルは、新しいメンバーにも丁寧に教えた。
そして、ギルドの収入も増えていた。
月に金貨二十枚ほど。
それを、メンバーに分配し、一部を村の運営資金にする。
村はますます豊かになっていった。
ある日、グランベルの町から使者が来た。
町の代表からの招待状だった。
「アレン・ヴァルトハイム殿
貴殿の功績と、村の発展について聞き及んでおります。
つきましては、一度町にお越しいただき、お話をさせていただきたく存じます。
グランベル町代表 カール・フォン・グレイ」
僕は招待状を読んで、少し驚いた。
「町の代表から…?」
ゲオルグさんが言う。
「これは、大きな話かもしれんぞ」
「どういうことですか?」
「町が、お前を正式に認めたということだ。辺境の村の代表が、町から認められるなんて、前代未聞だ」
僕は考えた。
これは、新しい挑戦の始まりかもしれない。
「わかりました。行ってみます」
翌日、僕は家族と相談した。
「町の代表に会いに行くんだけど…」
母さんが言う。
「一人で行くの?」
「いや、誰か一緒に来てほしいな」
ソフィア姉さんが手を挙げる。
「私が行く!」
マルク兄さんも言う。
「僕も!」
ノエルも言う。
「私も行きたい!」
結局、家族全員で行くことになった。
双子は村に残すつもりだったけど、泣いて頼まれて、一緒に連れて行くことにした。
翌日、僕たちはグランベルの町に向かった。
町の中心にある、立派な建物。
町代表の屋敷だ。
使者に案内されて、応接室に通される。
そこには、立派な服を着た中年男性が座っていた。
カール・フォン・グレイ。グランベル町の代表だ。
「ようこそ、アレン殿。そして、ご家族の皆様」
カールさんが立ち上がって、丁寧に挨拶する。
「初めまして。アレン・ヴァルトハイムです」
僕たちも丁寧に挨拶する。
「座ってください」
カールさんが勧めてくれる。
「早速ですが、本題に入りましょう」
カールさんが真剣な表情で言う。
「貴殿の村の発展、そして魔法建築屋ギルドの活躍、全て聞いております」
「ありがとうございます」
「それで…提案があるのですが」
カールさんが身を乗り出す。
「貴殿の村を、正式に『町』に昇格させたいのです」
「町に…昇格…?」
僕は驚いた。
「はい。人口、経済力、防衛力、全てが町の基準を満たしています」
カールさんが説明する。
「町に昇格すれば、税制上の優遇措置、交易の自由、そして領主様への直接の発言権が得られます」
「それは…」
「もちろん、責任も増えます。でも、貴殿ならできると信じています」
カールさんが微笑む。
僕は家族を見た。
みんな、驚いているけど、期待に満ちた表情だ。
「わかりました。町への昇格、受け入れます」
カールさんが嬉しそうに頷く。
「では、手続きを進めましょう。一ヶ月後、正式に昇格します」
こうして、僕たちの村は、町へと変わることになった。
新しい挑戦が、また始まろうとしていた。
次回:第16話「町への昇格、そして新たな責任」
城壁が完成した翌日、村長が僕を訪ねてきた。
いつもより緊張した表情をしている。
「村長さん、どうしたんですか?」
「アレン…話がある。少し時間をもらえるか」
僕は村長を家に招き入れた。
母さんがお茶を出してくれる。
「実は…」
村長が重々しく口を開く。
「わしは、もう年だ。村長の仕事は、体力的にも精神的にも厳しくなってきた」
「村長さん…」
「それに、この村は大きく変わった。お前のおかげで、貧しい辺境の村から、立派な村になった」
村長が真剣な表情で僕を見る。
「だから…お前に、村長を…いや、村の代表になってほしいんだ」
僕は驚いた。
「え…でも、僕まだ七歳ですよ」
「年齢は関係ない。お前には実力がある。そして、村人全員がお前を信頼している」
村長が深々と頭を下げる。
「頼む。この村を、お前に任せたい」
僕は困惑した。
村の代表…
そんな大きな責任を、七歳の僕が…
「村長さん、でも…」
「わしも完全に引退するわけじゃない。お前を補佐する。経験が必要なことは、わしが助ける」
村長が続ける。
「それに、村人たちも望んでいる。みんな、お前についていきたいと言っている」
母さんが僕の肩に手を置く。
「アレン、あなたならできるわ」
僕は少し考えた。
確かに、村の代表になれば、もっと色々なことができる。
村の発展を、もっと加速できる。
でも、その責任は重い。
「…わかりました」
僕は頷いた。
「ただし、条件があります」
「条件?」
「村長さんは、これからも相談役として村に残ってください。僕一人じゃ、まだ経験が足りません」
村長が嬉しそうに微笑む。
「もちろんだ。喜んで」
その日の夕方、村の中央広場で集会が開かれた。
村人全員が集まっている。
村長が前に出る。
「皆の衆、聞いてくれ」
村長が声を張り上げる。
「わしは今日をもって、村長の職を退く」
村人たちがざわつく。
「そして、新しい村の代表として、アレン・ヴァルトハイムを推薦する」
村人たちが僕を見る。
「アレンは、この村を救ってくれた。貧困から救い、魔物から守り、そして繁栄をもたらしてくれた」
村長が続ける。
「わしは、アレンなら、この村をもっと良くしてくれると信じている」
一人の村人が手を挙げた。
「賛成だ!」
「俺も賛成!」
「アレンなら安心だ!」
次々と賛成の声が上がる。
村長が僕を見る。
「アレン、前へ」
僕は前に出た。
村人たちが拍手する。
「これより、アレン・ヴァルトハイムを、この村の代表とする。異議のある者は?」
誰も異議を唱えない。
全員が拍手している。
「では、決定だ。アレン、この村を頼む」
僕は深々と頭を下げた。
「精一杯頑張ります。みなさん、これからもよろしくお願いします」
村人たちが歓声を上げる。
「アレン代表、万歳!」
「ヴァルトハイム家、万歳!」
こうして、僕は七歳にして、村の代表になった。
翌日、僕は最初の代表としての仕事に取り組んだ。
村の本格的な建設計画だ。
「村長さん…いや、ゲオルグさん」
僕は前村長を呼ぶ。もう村長ではないから、名前で呼ぶことにした。
「これから、村全体の家を新しく建て替えます。それと、僕たち家族の屋敷も作ります」
「屋敷…?」
「はい。村の代表として、村人たちを迎え入れる場所が必要です。それに、家族も増えましたから」
僕は計画を説明する。
「まず、残りの家々を全て建て替えます。クラフト魔法チームを拡大して、効率を上げます」
「それから、村の中心に、代表の屋敷を建てます。そこを、村の行政の中心にします」
ゲオルグさんが頷く。
「わかった。必要な協力は惜しまない」
その日から、村の大建設が本格化した。
まず、クラフト魔法の適性がある村人を再度募集した。
新たに三人が見つかり、クラフト魔法チームは合計で僕とノエルを含めて十人になった。
「みんな、これから村全体を作り直すよ」
僕はチームに説明する。
「残りの家が約80軒。一日に四軒ずつ建てれば、二十日で完成する」
十人のチームを、二つのグループに分ける。
僕が率いるグループと、ノエルが率いるグループ。
「それぞれのグループで、一日に二軒ずつ建てよう」
チームメンバーが頷く。
建設が始まった。
僕のグループは村の東側を担当。
ノエルのグループは西側を担当。
朝から夕方まで、休憩を挟みながら作業を続ける。
一軒目――
設計図を共有し、土と石と木材を組み合わせる。
クラフト魔法で一体化させ、頑丈な家を作る。
四時間で完成。
二軒目も同じように。
夕方には、二軒の新しい家が完成していた。
「すごい…本当に一日で二軒も…」
村人たちが感動している。
ノエルのグループも、同じペースで建設を進めている。
「アレン、私のグループも二軒できたよ!」
ノエルが嬉しそうに報告してくれる。
「すごいね、ノエル!」
こうして、一日四軒ずつ、村の家が新しくなっていった。
十日目、村の半分以上の家が新しくなった。
その夜、僕は家族と新しい屋敷の設計について話し合った。
「僕たちの屋敷は、どんなのがいいかな?」
ソフィア姉さんが言う。
「私、大きな訓練場がほしい!」
マルク兄さんも言う。
「僕は、静かに本が読める部屋がほしいな」
母さんが言う。
「私は、診療室を屋敷の中に作りたいわ。いつでも治療できるように」
双子が叫ぶ。
「僕たちは、広い部屋!」
「遊べる部屋!」
ノエルも言う。
「私は…クラフト魔法の工房がほしいな。色々実験できる場所」
僕は全員の希望を聞いて、設計図を考えた。
「じゃあ、こんな感じはどうかな」
羊皮紙に設計図を描く。
二階建ての大きな屋敷。
一階:
- 玄関ホール
- 応接室(村人を迎える場所)
- 食堂
- 台所
- 母さんの診療室
- ノエルの工房
- 浴室
二階:
- 僕の部屋
- ソフィア姉さんの部屋
- マルク兄さんの部屋(兼書斎)
- 双子の部屋
- ノエルの部屋
- 母さんの部屋
そして、屋敷の隣に:
- 訓練場
- 倉庫
「これなら、みんなの希望が叶うと思うんだけど」
家族全員が目を輝かせる。
「すごい!」
「こんな立派な屋敷…」
「本当にできるの?」
「できるよ。クラフト魔法があれば」
二十日目、村の全ての家が新しくなった。
村全体が、まるで別の村のように美しくなっていた。
石と木と土で作られた、頑丈で美しい家々。
整然と並ぶ道。
綺麗な井戸。
そして、それを囲む立派な城壁。
「本当に…別の村みたいだ…」
村人たちが感動している。
「まるで町みたいだ」
「いや、町よりも綺麗かもしれない」
そして、二十一日目から、ヴァルトハイム家の屋敷の建設が始まった。
これは、村全体のプロジェクトだ。
クラフト魔法チーム全員が参加。
そして、村人たちも手伝ってくれる。
まず、村の中心に広い土地を確保する。
約500平方メートル。
そこに、基礎を作る。
クラフト魔法で、土と石を組み合わせた頑丈な基礎。
次に、壁を立てる。
石と木材を組み合わせた、美しい壁。
一階部分ができあがる。
三日後、二階部分も完成。
そして、屋根。
木材と瓦を組み合わせた、立派な屋根。
七日後――
ついに、ヴァルトハイム家の屋敷が完成した。
二階建ての美しい屋敷。
石造りの外壁に、木製の窓枠。
立派な玄関。
広い訓練場と倉庫。
「すごい…」
家族全員が、呆然としている。
「本当に…お城みたい…」
ソフィア姉さんが呟く。
「僕たちの家…こんなに立派な…」
マルク兄さんも驚いている。
双子が嬉しそうに走り回る。
「広い!」
「すごい!」
ノエルが涙を流している。
「こんな素敵な家…私も家族の一員なんだ…」
母さんがノエルを抱きしめる。
「当たり前よ。あなたは私たちの大切な家族」
村人たちも、屋敷を見上げている。
「代表の屋敷に相応しい」
「立派だ」
「これで、村の中心ができた」
その夜、家族全員で新しい屋敷で最初の夕食を食べた。
広い食堂に、大きなテーブル。
母さんが作った料理が並ぶ。
「乾杯! 新しい家に!」
僕が言うと、家族全員が笑顔で応える。
「乾杯!」
食事をしながら、みんな嬉しそうだ。
「私の部屋、本当に広い!」
ソフィア姉さんが言う。
「僕の部屋には、本棚がたくさんある!」
マルク兄さんも嬉しそうだ。
「僕たちの部屋、最高!」
双子が叫ぶ。
ノエルも微笑む。
「私の工房…色々実験できそう」
母さんが優しく言う。
「診療室も完璧。これで、もっと多くの人を治療できるわ」
僕は家族を見回した。
みんなの笑顔。
幸せそうな表情。
これが、僕が望んでいたものだ。
「みんな、これからもよろしくね」
翌日、新しい挑戦が始まった。
フォレストン村の村長が訪ねてきた。
「アレン代表、相談があるのだが」
「何でしょうか?」
「実は…他の村からも、クラフト魔法で家を建ててほしいという依頼が来ている」
フォレストンの村長が説明する。
「北のオークウッド村、東のリバーサイド村。みんな、あなたの噂を聞いて、依頼したいと」
「他の村からも…」
僕は少し考えた。
「でも、僕たちだけでは手が回りません」
「わかっている。だから、提案がある」
フォレストンの村長が言う。
「魔法建築屋を正式に組織化しないか? クラフト魔法の使い手を集めて、ギルドのような組織にするんだ」
「ギルド…」
「ああ。そうすれば、各村から依頼を受けて、報酬を得られる。村の新しい収入源にもなる」
それは面白い提案だった。
「わかりました。やってみましょう」
僕は決意した。
「魔法建築屋ギルドを作ります」
その日の午後、僕はクラフト魔法チームを集めた。
「みんな、新しい提案がある」
十人のチームメンバーが真剣な表情で聞く。
「魔法建築屋ギルドを作りたいんだ」
メンバーがざわつく。
「ギルド…?」
「そう。クラフト魔法の使い手を集めて、他の村からの依頼を受ける組織だよ」
僕は説明する。
「僕たちの村だけじゃなくて、この地域全体を発展させたい。そのために、他の村の建設も手伝うんだ」
「報酬は?」
一人が聞く。
「もちろん、報酬はもらう。でも、最初は安くする。村人たちが払える範囲で」
メンバーが顔を見合わせる。
そして、一人、また一人と頷き始めた。
「面白そうだ」
「やってみよう」
「俺たちの技術で、他の村も助けられるなんて」
全員が賛成してくれた。
「ありがとう。じゃあ、魔法建築屋ギルドを正式に立ち上げよう」
一週間後、魔法建築屋ギルドが正式に発足した。
メンバーは、僕とノエルを含めて十人。
本部は、ヴァルトハイム家の屋敷の隣に建てた専用の建物。
そこに、設計図や道具を保管する。
最初の依頼は、オークウッド村からだった。
「十軒の家を建て替えたい」
僕たちは五人ずつ二組に分かれて、オークウッド村に向かった。
そこで、同じように家を建設していく。
村人たちが驚く。
「本当に…一日で二軒も…」
「魔法って、すごいんだな」
五日後、十軒の家が完成した。
オークウッド村の村長が深々と頭を下げる。
「ありがとうございます。報酬です」
金貨五枚を渡される。
「こんなに…」
「いえ、これでも安すぎるくらいです。普通の職人に頼めば、十倍はかかります」
僕たちは報酬を受け取った。
これを、ギルドメンバーで分配する。
そして、次の依頼。
リバーサイド村から、二十軒の家の建設依頼。
その次は、別の村から城壁の建設依頼。
どんどん依頼が来る。
魔法建築屋ギルドの名前が、地域中に広まっていった。
三ヶ月後、魔法建築屋ギルドは大成功していた。
メンバーも増えて、二十人になった。
他の村からクラフト魔法の適性がある者が、弟子入りを志願してきたのだ。
「アレン様、私にもクラフト魔法を教えてください」
「クラフト魔法を学びたいです」
僕とノエルは、新しいメンバーにも丁寧に教えた。
そして、ギルドの収入も増えていた。
月に金貨二十枚ほど。
それを、メンバーに分配し、一部を村の運営資金にする。
村はますます豊かになっていった。
ある日、グランベルの町から使者が来た。
町の代表からの招待状だった。
「アレン・ヴァルトハイム殿
貴殿の功績と、村の発展について聞き及んでおります。
つきましては、一度町にお越しいただき、お話をさせていただきたく存じます。
グランベル町代表 カール・フォン・グレイ」
僕は招待状を読んで、少し驚いた。
「町の代表から…?」
ゲオルグさんが言う。
「これは、大きな話かもしれんぞ」
「どういうことですか?」
「町が、お前を正式に認めたということだ。辺境の村の代表が、町から認められるなんて、前代未聞だ」
僕は考えた。
これは、新しい挑戦の始まりかもしれない。
「わかりました。行ってみます」
翌日、僕は家族と相談した。
「町の代表に会いに行くんだけど…」
母さんが言う。
「一人で行くの?」
「いや、誰か一緒に来てほしいな」
ソフィア姉さんが手を挙げる。
「私が行く!」
マルク兄さんも言う。
「僕も!」
ノエルも言う。
「私も行きたい!」
結局、家族全員で行くことになった。
双子は村に残すつもりだったけど、泣いて頼まれて、一緒に連れて行くことにした。
翌日、僕たちはグランベルの町に向かった。
町の中心にある、立派な建物。
町代表の屋敷だ。
使者に案内されて、応接室に通される。
そこには、立派な服を着た中年男性が座っていた。
カール・フォン・グレイ。グランベル町の代表だ。
「ようこそ、アレン殿。そして、ご家族の皆様」
カールさんが立ち上がって、丁寧に挨拶する。
「初めまして。アレン・ヴァルトハイムです」
僕たちも丁寧に挨拶する。
「座ってください」
カールさんが勧めてくれる。
「早速ですが、本題に入りましょう」
カールさんが真剣な表情で言う。
「貴殿の村の発展、そして魔法建築屋ギルドの活躍、全て聞いております」
「ありがとうございます」
「それで…提案があるのですが」
カールさんが身を乗り出す。
「貴殿の村を、正式に『町』に昇格させたいのです」
「町に…昇格…?」
僕は驚いた。
「はい。人口、経済力、防衛力、全てが町の基準を満たしています」
カールさんが説明する。
「町に昇格すれば、税制上の優遇措置、交易の自由、そして領主様への直接の発言権が得られます」
「それは…」
「もちろん、責任も増えます。でも、貴殿ならできると信じています」
カールさんが微笑む。
僕は家族を見た。
みんな、驚いているけど、期待に満ちた表情だ。
「わかりました。町への昇格、受け入れます」
カールさんが嬉しそうに頷く。
「では、手続きを進めましょう。一ヶ月後、正式に昇格します」
こうして、僕たちの村は、町へと変わることになった。
新しい挑戦が、また始まろうとしていた。
次回:第16話「町への昇格、そして新たな責任」
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